この記事は、CAST AI社により公開されたブログ記事を元に翻訳・作成したものです。元の記事については以下をご覧ください。
(記事最終更新日:2023年12月13日)
クラウド自動化 in 2024:テクノロジー業界のニューノーマル
公開日:2024年4月25日
更新日:2024年3月30日
クラウド自動化は、エンジニアがクラウドリソースとサービスの設定変更、管理、最適化に費やす手作業の労力と時間を削減するための、一連のプロセス、ベストプラクティス、ツールです。クラウド自動化の目標は、ユーザーの要求に合わせてクラウドインフラストラクチャリソースの提供を加速することです。
手作業でクラウドリソースのスケーリング、プロビジョニング、設定変更を行った場合、可用性やパフォーマンスに影響を及ぼす可能性のある障害が発生することは少なくありません。その解決方法は何でしょうか?そう、クラウドの自動化です。
この記事では、テクノロジー業界全体のクラウド自動化の最も影響力のあるユースケースを紹介します。最新のクラウド自動化ツールの核となる機能を是非ご確認ください。
クラウド自動化とは何ですか?
クラウドサービスプロバイダにより、オンデマンドでのリソースへのアクセスは確実に容易になりました。しかし、それらリソースの管理までは提供されませんでした。仮想マシンを構成し、VMクラスタを作成し、仮想ネットワークをセットアップしたうえで、さらに可用性とパフォーマンスの両方を管理していく必要があることを認識してください。
クラウド自動化により、エンジニアの多忙なスケジュールから、これらのタスクをすべて排除することができます。
クラウド設定を自動化することで、クラウドワークロードの展開と管理のような反復的な手作業のプロセスを排除できます。これら作業は非効率的で人為的エラーが発生しやすいため、トラブルシューティングが必要となりがちで、ワークロードの可用性にも影響を及ぼします。
さらに、手動でクラウドを展開すると、セキュリティ上の脆弱性が発生し、会社を危険にさらす可能性も生まれます。そして、自動化はインフラストラクチャと技術スタックの変動性と複雑性を軽減するのにも役立ちます。
はっきり言ってしまうと、DevOpsをまともに機能させたい場合は、Infrastructure as Code (IaC)、短期間でのフィードバックループ、継続的デリバリーが必須となります。そしてそれらはすべてクラウド自動化が前提となります。
では、チームはクラウドの自動化をどのように実現していけばよいでしょうか?答えは仮想化環境上で実行されるオーケストレーションおよびクラウド自動化ツールを使用することです。
クラウド自動化のメリットは何ですか?
クラウド費用の削減
クラウドベースの運用管理では、手作業を減らすことで、プロセスを加速し、さらには何もせずにプロセスが実行できるようになります。
手作業のプロセスが減ることで、障害が減り、調査やデバッグに費やす時間も減ります (そして新しいものの開発や革新に、より多くの時間をかけられるようになります)。
継続的デプロイの実現
継続的デプロイメントの背後にある考え方は、アプリケーションのデプロイメントパイプラインを自動化し、より頻繁な更新ができることです。スムーズな継続的デプロイプロセスの構築に努め、DevOpsのベストプラクティスに沿って作業するチームは、クラウドベースの環境へのデプロイを自動化する自動化ツールから多くのメリットを得ることができます。
クラウド活用の最大化
クラウド自動化ツールは、チームがクラウドインフラストラクチャを最大限に活用できるように支援します。以下のような多くの領域で、効果が得られる可能性があります。
- ストレージ管理の自動化とバックアップ
- セキュリティとコンプライアンスの管理
- 構成や設定の変更
- コードのデプロイ
セキュリティとレジリエンスの向上
機密性の高いタスクを自動化することは賢明な選択と言えるでしょう。自動化によりミッションクリティカルなシステムに複数の人がログインする必要がなくなります。これにより人為的エラーやアカウント侵害のリスクが大幅に軽減されます。
また、セキュリティのベストプラクティスが組み込まれたワークフローの自動化は、すべてのデプロイメントでセキュリティ原則を強制するための近道になります。
バックアッププロセスの強化
機器の故障からサイバー攻撃に至るまで、さまざまなリスクからシステムを保護したい場合、システムのバックアップは必須となります。システムのレジリエンスを高めるために、クラウド上でバックアップを自動化するか、オンプレミスのシステムをクラウドベースの環境に自動的にバックアップすべきでしょう。
ガバナンスを次のレベルに引き上げる
チームが手作業または場当たり的にシステムを構築してしまうと、管理者は実際に何が実行されているかを把握できなくなる場合があります。システムを一元化するようなビューなしでインフラストラクチャをどのように制御できると言うのでしょうか?
これもクラウド自動化において、大きな割合を占めます。標準化された方法でリソースを設定することで、会社全体で実行されているインフラストラクチャを、より詳細に制御できるようになります。
クラウド自動化とオーケストレーション – その違いは何か?
クラウドの自動化とクラウドオーケストレーションはどちらも、効果的なクラウド戦略を構築するのに役立ちます。しかし、それらは決して同じものではありません。それらの違いを理解し、クラウドオーケストレーションと自動化の目的を理解することが重要です。
クラウド自動化とは、クラウド管理ツールを使用して、手作業を一切行わずにタスクを完了することです。
ここで言うタスクとは、サーバーのプロビジョニング、データのバックアップ、使用されていないプロセスの特定と削除などです。クラウド自動化は、チームの時間や労力を費やすことなく、これらすべてを実行できます。
クラウドオーケストレーションとは、自動化されたタスクを準備しておきクラウドインフラストラクチャにおける目標を達成することです。
考え方としては、インフラストラクチャ全体(ときには複数のシステムや異なる場所にまたがります)の低レベルのタスクを集めてプロセスを作成し、それらの実行を進めることを指します。
クラウド自動化は、自動化を目的としてデプロイメントタスクと管理タスクを定義しますが、クラウドオーケストレーションは、これら定義されたタスクを活用して目標に近づく戦略的アプローチです。
オーケストレーションなしでも自動化を機能させることはできますが、これら2つの手法を組み合わせることで最良の結果が得られます。
クラウド自動化はチームを加速させます
1.クラウドリソースの自動プロビジョニング
固有のパラメータを持つさまざまな選択肢が数多く存在するため、業務に適切なVMを選択するのは簡単ではありません。最適なコストパフォーマンスの比率を持つVMをどうやって探せばよいでしょうか?
このようなサイズの適正化と自動スケーリングのタスクはインスタンス選択アルゴリズムに任せてしまうことができます。そうすることで、クラスタに追加のノードが必要な場合、常にアプリケーションの要件を満たす最適なインスタンスタイプが選択されます。ワークロードは最大のパフォーマンスと最小のコストで実行されます。
以下は自動プロビジョニングを処理するマネージドKubernetesソリューションでアプリケーションを実行した場合の動きです。
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15:41に、アプリケーションでトラフィックの急増が発生し始めます。ツールはそれに対応するための新しいポッドを作成しますが、実行する場所がありません。新しいCPUコアが必要です。
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このソリューションは2分もたたないうちに、新しい16コアのノードを自動的に追加しました。
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15:45に、アプリケーションにさらにトラフィックが増加しました。1分後にはツールにより8コアノードが追加され、アプリケーションはトラフィックを処理できるようになります。
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トラフィックがなくなると、ソリューションはリソースの無駄を避けるために、これら2つのノードをすぐ削除します。
2.クラウドの拡大を緩和し、無駄を回避
クラウド自動化ソリューションは、未使用のインスタンスとプロセスをシャットダウンして、クラウドのコストを削減します。これがなされずに、クラウドにデプロイされたインスタンスが放置されることは、想像以上によくある話です。
多くのチームが、所有権を持つ人がいない孤立したインスタンスに直面し、クラウド内のリソースが適切に管理されていないシャドーITプロジェクトに奮闘しています。このようなゾンビインフラストラクチャは依然としてあるため、毎月請求書が生成されますが、その資産から得られる価値はゼロです。
クラウド自動化によって、このようなゾンビ化したITインフラストラクチャを特定し、月末に雪だるま式に膨らんだ高額のクラウド料金が発生する前に、問題に対処するプロセスを合理化できます。
3.コードとしてのインフラストラクチャ(IaC)の導入
Infrastructure as Code(IaC)の確立は、クラウド自動化のもう1つのユースケースです。IaCでは、ITインフラストラクチャが構成ファイルで定義され、その構成にしたがって自動的に起動されます。これらの構成ファイルは、ソースコードと同じプロセスを経て、バージョンコントロール、管理、テスト、開発が行われなければなりません。
クラウド自動化を使用することで、インフラストラクチャのほぼすべての面でクラウドプラットフォームの拡張が可能になり、より複雑なシステムのオーケストレーションが可能になります。
- クラウド自動化プロセスは、リソースプールから共通の構成アイテム(VM、コンテナ、仮想プライベートネットワークなど)を定義できます。
- そして、これらのアプリケーションコンポーネントとサービスを構成アイテムとして配備することができます。
- 最後に、それらを組み合わせて、より改善された運用環境を構築できます。
これがどのように機能するかを示す例を次に示します。クラウドオートメーションテンプレートは、マイクロサービスアプリケーションを機能させるために多くのタスクを実行できます。
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アプリケーション用の多数のコンテナを作成
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コンポーネントをコンテナクラスタに配備
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ストレージとデータベースを統合
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仮想ネットワークをシームレスに構成
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クラスタのロードバランサーを作成
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そして、ワークロードをユーザーに公開
4.アプリケーション開発とテストの強化
継続的デリバリーと継続的デプロイメントには、自動化された開発パイプラインの一部である、自動的にプロビジョニングされる開発/テスト環境が必要となります。パブリッククラウドでの自動化は、継続的デリバリーパイプラインを提供する基本となる方法です。
最新の開発手法は、リソースを頻繁にデプロイし、新しいリリースをテストするためにリソースを拡張するチームの能力に依存しています。テストが終了したら、リソースを再利用のために解放する必要があります。自動化ツールを備えたパブリッククラウドがそれを実現します。
5.ハイブリッドクラウドを機能させる
控えめに言っても、ハイブリッドクラウド環境は複雑です。これにはオンプレミスとパブリッククラウドシステムの間を慎重に統合させる必要があります。ここでもクラウド自動化が役に立ちます。
クラウド自動化ツールは、、ローカルデータセンターとクラウドリソースの間でリソースを同期し、「クラウドバースト」を可能にします。クラウドバーストとは、アプリケーションがローカルのリソースを超えた場合に、負荷をクラウドに移すプロセスのことです。
ハイブリッドクラウドでクラウド自動化を使用することにより、オンプレミス環境をミラーリングするリモートサイトによる災害復旧シナリオも可能になります。
Kubernetesはクラウド自動化ツールの1つとして数えるか?
Kubernetesを使用している場合は、それだけですでに自動化ゲームで、一歩先を進んでいると言えます。確かにKubernetesは、使用しているすべてのクラウドリソースを自動化するわけではないため、自動化ソリューションとは言えないかもしれません。それでも、クラウド上で実質的にあらゆるワークロードを実行するために使用できるコンテナを管理および指揮します。
どのAmazon Kubernetesサービスがアプリケーションに最適であるか悩んでいる場合は、こちらをお読みください。AWS EKS vs. ECS vs. Fargate: Where to manage your Kubernetes?
クラウド自動化の準備はできていますか?
クラウドの自動化により、チームの時間と労力が大幅に節約されます。より高速な、よりスケーラブルな、よりセキュアな、予測可能で信頼性の高いワークフローが構築できます。
このテクノロジーは成長途中ではありますが、これまでの事例とレポートでは、効果的な自動化が企業にとって真の戦力倍増となることを示しています。
クラウドリソースのプロビジョニング、管理、拡張に自動化ツールを使用していますか?自動化された運用プロセスを試してみる計画はありますか?
FAQ
2018年にオラクルに買収されたZenedgeの共同創業者兼最高製品・事業責任者を務めました。
Laurentは、2012年にGoogleに買収されたViewdleのCEO兼共同創業者でもあります。
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