クラウド監視とは?

マルチクラウド環境で障害発生箇所をすぐに特定する方法

更新日:2023年10月20日

近年、システム環境をオンプレミスからクラウドへ移行する企業が増加しています。クラウドには、柔軟性の高さやコスト削減などのメリットがあります。一方で、複雑なネットワーク構成をコントロールすることは難しく、監視・運用に課題を抱えている企業も少なくありません。

システムの安定稼働を実現するためには、適切な監視を行い、稼働状況を可視化する必要があります。本記事では、クラウド監視の課題やポイント、効果的なソリューションについて詳しく解説します。

1. クラウド監視とは

クラウド監視とは、クラウドサービスの稼働状況やネットワーク環境などをリアルタイムで監視し、パフォーマンスを最適化することです。SaaSなどのクラウドサービスをユーザーへ提供する企業、または社内で利用する企業にとって、サービスの停止や性能低下はビジネスに大きな影響を及ぼします。そのため、24時間監視を行い、問題が発生した際には迅速な対処が必要です。

しかし、クラウド監視ではクラウドサービス、社内ネットワーク、インターネットそれぞれの監視が必要となるため、従来のオンプレミス環境向けの監視体制では運用が成り立ちません。また、Amazon Web Services や Google Cloud、Microsoft Azure などの各クラウドサービスを併用するマルチクラウド環境では、コントロールがより困難となります。

そこで、クラウド環境の課題に特化して効率的に監視するためのソリューションが求められています。

2. クラウド環境の課題

クラウド環境でよく見られる課題について解説します。

障害発生時の原因特定が難しい

クラウド環境は、自社ネットワークやインターネット、サービスを利用して構築します。そのため、Webサイトにアクセスできない・動作が重いなどのトラブルが発生した際、即座に原因を特定することが難しい傾向があります。

監視コストが大きい

特に、複数のクラウドサービスを併用するマルチクラウド環境では、それぞれのクラウドサービスの仕組みやサービスレベルが異なるため、監視・運用負荷が大きくなるおそれがあります。また、各サービスに適した複数の監視ツールを導入する場合、費用もかさむでしょう。

リモートワークユーザーの環境把握が難しい

リモートワークの普及によって、社員がオフィス以外で業務を行えるようになり、クラウドサービスの利用環境が多様化しました。これにより、各ユーザーのIT環境の管理が難しくなっています。オフィス外から社内システムへのアクセスが安定しないといった問題が発生した際に、リモートワークユーザーのネットワーク環境や端末の状況を管理者がスムーズに把握することは困難です。

3. クラウド監視ツールThousandEyesとは

前述したクラウド環境の課題を解決するために有効なのが、マルチレイヤ監視ソリューション「ThousandEyes」です。 ThousandEyesは、インターネットを含めた社内外のネットワーク環境や、クラウドサービスの稼働状況をリアルタイムに可視化できます。

オブザーバビリティ(可観測性)に優れており、まるでオンプレミス環境のようにクラウド環境を可視化・監視できるサービスです。

ThousandEyesの特長

ThousandEyesは、世界64ヵ国253都市以上に監視用エージェントを設置し、複数階層のネットワーク状況を同時に把握してマップ化します。また、Amazon Web Services(以下、AWS)、Google Cloud、Microsoft Azure(以下、Azure)などの監視対象となるクラウドサービスを登録すると、複数サービスの稼働状況を同一時間軸で監視可能です。運用負荷を軽減しながら、障害発生時の原因をスムーズに特定できます。

4. ThousandEyesにできること

では、ThousandEyesを導入すると、具体的にどのようにクラウド環境の課題を解決できるのでしょうか。

ネットワークの迅速な可視化

ThousandEyesは、任意の場所にエージェントを設置できるため、世界中のインターネットと社内ネットワークを同時に可視化できます。本社・支社・工場などの各拠点に設置し、各拠点からのアクセス品質を可視化することも可能です。

自動的にネットワーク経路を認識してダッシュボードに全体図を表示するなど、高いオブザーバビリティによりモニタリングを支援します。また、ThousandEyesが通信品質を客観的に評価し、アラートメールで利用者に通知できるため、迅速なトラブルシューティングにも役立ちます。

効率的なマルチクラウド監視

世界各国のISPにエージェントを設置することで、ISPパフォーマンスや、各クラウドサービスへのアクセス品質や稼働状況を監視できます。

AWS、Google Cloud、Azureだけではなく、Microsoft 365 や Salesforce、Google Workspace などにも対応しており、社内で複数のサービスを利用している場合に最適です。SaaSとして提供され、迅速な導入が可能なThousandEyesのみで管理できるため、コストを抑えながら効率的に一元管理できます。

リモートワークユーザー環境の可視化

ユーザーのPCにエージェントをインストールすれば、リモートワークユーザーのネットワーク環境やPC環境、アクセスも可視化できます。管理が容易になるうえ、オフィス外からのアクセス不具合など、リモートワークならではの問題が発生した際にも迅速に原因を特定できるでしょう。

グローバルなユーザーエクスペリエンスの向上

エージェントを活用してさまざまな地域からアクティブ監視を行うことで、レスポンスタイムやパケットロス比率を計測し、ユーザーエクスペリエンスを可視化できます。

ネットワーク遅延が発生している箇所や、アクセスできない地域、レスポンスタイムが遅くなっている場所などを迅速に割り出せるため、原因の切り分けも容易です。スムーズな改善によって、ユーザーエクスペリエンスの向上にもつながります。

インテグレーションと拡張機能の活用

ThousandEyesは幅広いツールとの連携が可能で、必要に応じて機能を拡張できます。

たとえば、ThousandEyesのダッシュボードやメトリクスをアプリケーションパフォーマンス管理(APM)製品である「AppDynamics」のダッシュボードに表示することで、ネットワークのエンドからアプリケーションの内部までを統合的に可視化できます。また、アプリケーションリソース管理(ARM)製品の「Turbonomic」を併用することで、ThousandEyesによる強力なモニタリング支援に加え、ITリソース全体のコスト最適化を実現します。

5. まとめ

クラウド環境には、ネットワークの複雑さに伴う課題が多く存在します。これらの課題を解決するために役立つのが、マルチレイヤ監視ソリューション ThousandEyesです。

ThousandEyesはインターネットを含む社内外のネットワーク環境や、クラウドサービスの稼働状況をリアルタイムで可視化することで、効率的な監視・運用をサポートします。信頼性の高いマルチクラウド監視を実現するために、ThousandEyesの導入を検討してみてはいかがでしょうか。

日本企業初【Full-Stack Observability Solution Specialization】に認定

日本企業初【Full-Stack Observability Solution Specialization】に認定

ThousandEyes と AppDynamics に関するパートナー企業としての深い専門知識が評価され、 日本企業で初めて「Full-Stack Observability Solution Specialization」に認定されました。

【Innovation Partner of the Year Reimagine Application】受賞

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シスコシステムズ合同会社の「Cisco Partner Conference Japan 2023」において、2年連続で「Innovation Partner of the Year, Reimagine Application」アワードを受賞しました。

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