三菱ケミカル株式会社様 プラント向け予防保全 進捗管理サービスの導入事例やシステム構築例を紹介|システム構築やトータルソリューションをお探しなら、日立ソリューションズにお問い合わせください。

プラント向け予防保全 進捗管理サービスの導入事例

三菱ケミカル株式会社様

プラント定期修繕作業の進捗をクラウドで一元管理。DXで業務効率化を実現し、作業員の稼働率向上に成功

総合化学メーカーの三菱ケミカル株式会社は、プラント定期修繕効率化のためのソリューションとしてSaaS型の「プラント向け予防保全 進捗管理サービス」を採用。岡山と茨城の2つの事業所に導入することで、作業員の稼働率向上などの成果を上げました。このサービスは同社の全社標準システムに位置付けられており、その他の事業所・工場にも順次導入されていく予定です。

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課題
導入後
プラント定期修繕においても働き方改革対応として、作業員の効率改善が必要だった
一元管理によるリアルタイムでの進捗管理が可能となり、作業員の稼働率が16%高まった
定期修繕業務プロセスが紙と人手ベースで、進捗管理表も関係各社が個々に作成しており非効率的だった
進捗管理データを一元管理することで、リアルタイムでの情報更新・参照が可能になり作業効率が向上した
現場に行って確かめないと、前工程の作業が終了しているかどうかがわからず、次工程にも影響があった
前工程の進捗状況をいつでもどこでもPCやスマートフォンから確認でき、待ち時間を短縮できるようになった

背景

さまざまな課題を抱えるプラント定期修繕

森本 氏広島事業所 設備技術部 企画調整グループ グループ長
森本 吏一 氏

日本を代表する石油化学製品メーカーの1社である三菱ケミカルの製造拠点は、国内に12カ所あります。それぞれのプラントでは、高圧ガス保安法や社内の保安規程にしたがい、1年、2年、4年などの間隔で製造設備を一斉に止めて定期修繕を実施しています。

定期修繕はプラントの安全確保に欠かせない作業ではあるものの、実施するための負担はけっして小さくありません。そこで同社は、各事業所・工場の設備技術部署を横断するワーキンググループを立ち上げて、定期修繕作業の改革に取り組んできました。

「経営の視点でも、定期修繕の効率化による作業員の稼働率改善が求められていました。定期修繕の現場では各社がそれぞれに進捗管理をしており、全体を把握するのは日々の工程会議となります。それ以降の調整となると作業着工が遅れたり、再調整などで時間のロスが発生したりするケースがあります。2024年4月に建設業でも働き方改革関連法が適用されることも考えると、対策を急ぐ必要がありました」(森本氏)

取り組み

実証を進めながら段階的に機能を追加

久本 氏岡山事業所 設備技術部 機械2グループ チームリーダー
久本 祐輔 氏

このような背景から、三菱ケミカルはIT活用による定期修繕のスマート化を企画しました。2021年春に製品選定を開始し、三菱ケミカルのニーズにマッチしたプロジェクト管理サービスをプラットフォームに選びました。足りない部分については、概念実証(PoC)を進めながら機能を段階的に追加していくやり方です。

「必須の機能として当社が設定したのは、作業予定の登録と実績の入力、進捗のリアルタイム確認などです。作業員の誰にとっても使いやすいものであることと、事務所に戻らなくてもスマートフォンからデータ入力と確認ができることも求めました」(久本氏)

三菱ケミカルでのPoCは、岡山事業所の秋期定期修繕(2021年10月から12月)でスタート。その後、茨城事業所の定期修繕(2022年5月から8月)でのPoCの際に「スマートフォンからの実績入力」「日報の登録と出力」「前工程完了をメールで通知」などの機能を日立ソリューションズが追加開発しました。

「スマートフォンアプリの画面デザインはシンプルさを重視して茨城事業所で検討しました。また、日報については重複した入力を避けるため、プロジェクト管理サービスの入力データを使用して出力可能となるように、日立ソリューションズに開発してもらいました」(上田氏)

効果

作業員の稼働率が16%向上

上田 氏茨城事業所 設備技術部 企画調整グループ
上田 美明 氏

このような三菱ケミカルとの協創作業と並行して、日立ソリューションズはプラットフォームであるプロジェクト管理サービスに対してアドオン開発を行いプラント定期修繕向けに仕立てた「プラント向け予防保全 進捗管理サービス」を商品化し、2023年4月からSaaS形態での提供を開始しました。

一方、三菱ケミカルは、このサービスによる進捗の共有化により、次工程へのスムーズな引き継ぎが可能となりました。ほかの施策も含めて作業員の手待ち時間を削減することで岡山事業所では稼働率が16%高まると算出されています。

「従来、作業がどこまで進んでいるかを知るには、現場に行って直接話を聞くしかありませんでした。このサービスがあれば、いつでもどこでもPCやスマートフォンで進捗をチェックできます」(久本氏)

また、進捗管理サービスを現場にリリースするにあたって、作業員の意見も重視しました。

「定期修繕の期間中は、各社に出向いて困りごとなどをヒアリングしたり、データの入力方法を説明したりしました。その結果、現場の評価も少しずつ高まってきたと感じています」(上田氏)

展望

岡山・茨城以外の事業所・工場にも展開の予定

「プラント向け予防保全 進捗管理サービス」導入の十分な成果を確認した三菱ケミカルは、このサービスを全社標準システムの1つとして2024年3月初めに採用。岡山と茨城以外の事業所・工場にも順次展開していくことにしています。ただ、設備の規模や定期修繕時の入場者数は事業所・工場ごとに異なるので、実際の展開にあたっては現地のニーズに合った機能の変更や追加を調整していくことになります。このほか、クラウドに蓄積された予実データなどを分析に利活用する計画も進行中です。

「PoCと導入の過程では、毎週のようにオンライン会議を開催し、日立ソリューションズに当社の現場ニーズを伝えていきました。日立ソリューションズは『現場がどうなっているかを知らなければ、最適な課題解決を見い出せないから』と、熱心に耳を傾け、何をしなければならないかを一緒に考えてくれました。また、サービス導入後の現在も、現場に定着させるために寄り添い一緒に検討いただいています」(森本氏)

三菱ケミカル 設備技術部のワーキンググループでは、定期修繕業務の改革に向けて、進捗管理以外の課題についても解決策を検討中です。日立ソリューションズはこれからも、現場ニーズに合った多様な業務向けソリューションで支援してまいります。

プラント点検・修繕の進捗をクラウドで管理

  • 進捗をクラウドで一元管理することによって、関係者による最新状況の共有を実現
  • 段取りの最適化によって次工程の待ち時間を短縮し、設備点検・修繕業務の効率化を実現
  • スマートフォンからいつでもどこでも予定と実績を入力でき、最新状況もリアルタイムに確認可能
プラント向け予防保全進捗管理サービスの概要

プラント向け予防保全進捗管理サービスの概要

三菱ケミカル株式会社

所在地 東京都千代田区丸の内1-1-1 パレスビル 三菱ケミカル株式会社
設立 2017年4月1日(創業:1933年8月31日)
従業員数 連結40,736人 単独13,462人(2024年3月31日現在)
事業内容 各種化学品、ポリマー、コンパウンド類、フィルムなどの石油化学製品や機能商品の製造
URL https://www.mcgc.com/index.html

この事例に関するソリューション・商品

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本事例の内容は2024年7月17日公開当時のものです。

最終更新日:2024年7月17日