PLMソリューションの導入事例
株式会社オーハマ様60%もの工数を削減した、小回りのきくPLM&3D設計
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導入前の背景と課題
競合他社との競争が激化。金型製造業として利益を増やすために、工数削減に着手
ここ数年、製造業界は、競合他社との競争が激化してきています。顧客からは、今までに増して、高品質・高精度・短納期のものが求められるようになりました。特に、納期をもっと短縮してほしい、という厳しい要求が増える傾向にあり、それと同時に、コストを抑えることも求められています。
高品質・高精度・短納期と、低コストを両立させるために、製品の加工時間の短縮はもちろん、工程の見直しや、目に見えないロスをなくすことが必要となってきました。また、技(ワザ)やノウハウのスムーズな引き継ぎが難しく、熟練工の後継者を育てるために、膨大な時間とコストがかかることも課題のひとつでした。
これらの課題に対して、まず、ものづくりのBPRとして、工数削減・原価削減に挑みました。また、設計部門のノウハウを有効活用するためのシステムの仕掛け作りにも着手。PLMでのデータ管理を一元化し、蓄積したナレッジを、設計者が活用できる環境を整えることにしました。
※BPR:Business Process Reengineering
※PLM:Product Lifecycle Management
導入時の取り組み
中小企業にはマッチしないと考えられていたPLMや3Dをうまく適用
一般的に、PLMや3D設計は、大企業向け、というイメージがあります。実際、当初検討時にリサーチしたシステム構築が、膨大なコストと構築期間を要するものでした。しかし、日立システムアンドサービス(以下、日立システム)から、コンパクトで、業務内容にあったシステムの提案を受け、システムを導入。大企業向けという印象のあるWindchill PDMLinkを、「設計ナビ」という親しみやすい仕組みに落とし込みました。そして、PLMを利用し、熟練の技に左右されない、高精度、短納期の製作環境を整え、金型の受注~納品まで1週間、という目標を立てたのです。これは、業界で比較してもかなり短納期の目標でした。
導入効果
営業・設計・加工・組み立て…「早くてうまい店」になるために、全ての業務を改善
「早くてうまい店」――つまり、「良いものを、早く、安く」というのは、製造業の追求するべきところです。今回のシステム導入により、これに近づくようなさまざまな効果があらわれました。
まず、受注までのプロセスが改善されました。具体的には、従来は、営業マンが図面を持って訪問、あるいはFAXなどでやり取りしていたため、顧客と設計者の間で、注文内容のすり合わせに時間がかかっていました。しかし、インターネットやシステムを介して、3Dモデルを相互に確認・検討しあうことで、効率的に受注にいたることができるようになりました。
さらに、営業情報をすばやく社内展開できるPLMシステム導入により、エンジニアが営業を効果的に支援できるようになったため、受注確度が向上しました。営業エリアも拡大し、地元静岡だけでなく、全国に顧客が誕生しました。
また、PLMによる設計テンプレートの活用で、設計時間を従来よりもさらに短縮。電極、治具設計まで分業可能になりました。試作型の金型の場合、受注から1週間で製品を納品可能になりました。
熟練工の後継者を育てる、という課題についても、PLMを作りこんだ「業務ナビ」の活用で、新人でもベテラン並みの型設計が可能になりました。例えば、入社1日目で、加工パスが出せる、といった熟練工に匹敵する活躍ができるようになったのです。
今後の展望
小回りのきくPLM&3Dをさらに活用し、さらなる進化を
PLM活用&3D設計活動は、最初はなかなか進まず、成果も明確にはあらわれません。しかし、ある段階から個別の効果が相乗的に作用し、次々に効果が明確になってきます。当初の停滞期をいかに乗り切るかが重要なのです。そしてその困難な時期に、支援の手を必要な時に必要なボリュームでさしのべてくれるSIパートナー、日立システムの存在を強く実感しました。
大企業向けという印象があるWindhcill-PLMを「設計ナビ」という親しみやすい仕組みに落とし込み、設計から金型製作までの総時間を、現段階で60%もカットできた満足度は非常に大きい。しかし昨今の製造不況の中、さらに進化を遂げるための努力は惜しみません。今後下流工程部門むけに「加工ナビ」「成型ナビ」の構築も進めています。これらを総合的な「業務ナビ」として有機的に連携させるために、日立システムには、半歩先を支えてくれるパートナーとして頑張って欲しいと思います。
株式会社オーハマ
「早さと品質で仕事がくる」を実践する総合プラスチックエンジニアリング企業。例えば試作方の簡易金型なら一週間で製作。簡易金型から精密金型まで難易度の高い製品もなんなくスピード供給しています。
最新鋭の設備導入とその特徴を活かした独自システムで高速・高精度・高品質・無人化により、お客様のニーズに応えるという『オーハマ基準』を掲げ、【短納期受注】【揺るぎない安定品質】にどこよりも特化してお客様の製品開発をご支援しています。
本社所在地 | 〒422-8033 静岡県静岡市登呂2-6-32 | |
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創業 | 1967年 | |
代表者 | 佐藤雅俊 | |
従業員数 | 65名 | |
事業内容 | 総合プラスチックエンジニアリング | |
URL | http://www.ohhama.co.jp/ |
私たちが担当しました
近年PLMや3D活用についてのお客様ご自身による業務プロセス効率化へのお取り組みは我々ベンダーにとっても非常に新鮮な内容が多くなっています。
その中でもオーハマ様のお取り組みは「何故?この業務が必要なのか?本当にこれ以上の改善は無理なのか?」を突き詰めた内容でした。システムについてのご要請内容についても非常に厳しいものが多かったですが一つ一つの内容解決に一丸になって取り組む中、日立システムのデジタルエンジニアリングチームとして学ばせて頂いた事が最も多かったプロジェクトとして印象に残っています。今後は、現在お取り組みいただいている解析やCAM分野でのお取り組み以外にも、お客様の基幹業務との連携といった分野でもお役にたてるよう、頑張らせていただきたいと思います。
株式会社日立システムアンドサービス
デジタルエンジニアリング部 技師 鈴木丈晴
中部第一営業部 部長代理 平野正人
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本事例の内容は2009年6月22日公開当時のものです。
最終更新日:2021年5月21日