PLMソリューション PTC Windchillの導入事例
株式会社アーレスティ様大容量の3DCADデータを海外拠点と高速にやり取り。設計時間短縮と管理工数削減で原価低減をめざす
アルミダイカスト製品を製造するアーレスティは、3D設計への完全移行に際してシステム環境の再整備を計画。海外拠点との高速なデータ転送や関連データの統合管理が可能なPLMソリューション「PTC Windchill」を新たに導入することで、原価低減をめざしました。新ツールは2020年4月に稼働。設計以降の工程におけるデータ管理でも「Windchill」を活用し始めています。
Interviewee :
PDM推進担当管理職 技術主幹 永井 隆司 氏
PDMグループリーダー 清水 真人 氏
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背景
3D設計のためのシステム環境を再整備
愛知県豊橋市に本社を置く株式会社アーレスティ。アルミ合金を溶かして鋳造するダイカスト製品を製造しており、自動車などのものづくりを支える企業です。国内だけでなく米国、メキシコ、中国、インド、タイでも製造を行っており、国内外合わせて12カ所に製造拠点を置いています。新製品の設計は豊橋市にあるテクニカルセンターが担当していますが、改造のための設計変更については海外拠点でも実施しています。
こういった事業を展開するアーレスティは、3D設計への完全移行を2017年ごろから進めてきました。
「当社の製品は、自動車だけでなく、船や農機具などにも使われています。製品の種類は、量産品だけで約6,000。設計に要する時間を3DCADの活用で短縮し、海外拠点でも3D設計をすることによって、原価を低減できると当社は考えています」(永井氏)
ただ、その取り組みを進めていく過程で、システム環境をさらに整備する必要があることが明らかになってきました。
「3DCADデータは、2Dに比べて容量が大きくなります。また、海外拠点が3D設計を行うには、日本のテクニカルセンターとデータ共有をする必要があります。図面管理ツールは以前から使っていましたが、グローバルでの共有には力不足であるという感覚でした」(清水氏)
取り組み
決め手は高速データ転送と要件適合度
そこでアーレスティは、2018年4月に図面管理方法の見直しに着手。対象データと実施拠点を拡大するとともに、新たに採用する管理ツールの検討に取りかかりました。
「対象データとしては、3DCAD図面とモデルを検討しました。Microsoft Excel の台帳で管理されている関連データも対象です。また、図面管理ツールには、国内とすべての海外拠点との間でデータを高速にやり取りできて、検索や表示の速度も速く、容易に管理できることを求めました」(清水氏)
資料検討の段階で候補に挙がったのは、約10製品。各社からの提案書とプレゼンテーションを審査した結果、日立ソリューションズが提案した「PTC Windchill」(以下、Windchill)を採用することに決めました。
「『Windchill』は当社の要求事項をほぼ満たしていました。日立ソリューションズは国内での『Windchill』導入実績が多かったので、早期の立ち上げが見込めると判断しました」(永井氏)
「検討段階で海外とのデータ転送テストをしたところ、十分な結果が得られました。カスタマイズなしで当社の要件を満たせたのも決め手の1つです」(清水氏)
採用決定は、2019年6月。「Windchill」導入とアドオン開発は日立ソリューションズが実施し、アーレスティは運用方法の見直しや旧・図面管理ツールからのデータ移行を担当しました。
効果
転送時間は70%減、管理工数も半分以下に
アーレスティで「Windchill」が稼働を開始したのは2020年4月。海外を含むすべての製造拠点で一斉スタートしたことによって、3DCADデータを拠点間でスムーズにやり取りできるようになりました。また、従来は Excel の台帳で管理されていた関連データも「Windchill」の属性データとして登録する運用方法に切り替えられ、データの統合化と一元管理が進んでいます。
「定量的な効果として、1GBを超えるような大容量のデータに対しては、拠点間で3DCADデータをやり取りするための時間を70%減らせました。また、関連データが『Windchill』の属性に登録されているので、設計データの管理や可視化がしやすくなりました。例えば、グラフなどを自由な検索条件に基づいて作成できるのは便利ですし、1枚の図面に複数の管理番号が設定されているケースの取り扱いも容易になっています。属性登録というこれまでなかった作業が増えているので、そこでは工数が増加していますが、トータルでは設計データ管理工数が従来の半分以下になっています」(清水氏)
「管理サイドとしては、データの一元管理、セキュリティの確立、承認ルールなどの内部統制の充実について、顧客に根拠をもって説明しやすくなったことを評価しています」(永井氏)
展望
設計以降の工程においても活用を開始
設計工程での図面データ管理が軌道に乗ったことを受けて、アーレスティは「Windchill」をほかの工程でのデータ管理にも活用し始めました。
「2020年度から、設計以降の工程でも業務データを『Windchill』に取り込むことにしました。また、生産現場で発生した不具合事象の映像を『Windchill』に登録して次の製品・モデルの設計に生かそうというアイデアも温めています」(清水氏)
このほか、関連データを「Windchill」の属性に登録する際の工数を削減するために、登録する管理項目の数を減らしたり、システム連携でデータを自動的に取り込んだりといった対策も検討中です。これらの対策が完了すれば、「Windchill」の導入効果はさらに大きくなるでしょう。
「システムをスムーズに立ち上げられたのは、日立ソリューションズのおかげです。稼働後の問い合わせにも丁寧に対応してくれるので、信頼しています。今後は、『Windchill』のさらなる活用方法について提案してもらいたいと思います」(永井氏)
ものづくりに関わるデータを統合的に管理する「PTC Windchill」――。日立ソリューションズはこれからも日本のものづくりを支援していきます。
製品に関する全情報を一元的に管理
- CADデータから技術資料まであらゆる情報を管理
- すべての工程・関係者で情報を共有可能
- 製品開発におけるプロセスとワークフローの管理を最適化
- 海外拠点とも大容量データを高速にやり取り
- 設計時間の短縮、管理工数の削減により原価を低減
株式会社アーレスティ
所在地 | 東京本社:東京都中野区本町2-46-1 中野坂上サンブライトツイン5F 本社・テクニカルセンター:愛知県豊橋市三弥町中原1-2 |
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設立 | 1943年11月2日(創業1938年6月22日) | |
従業員数 | 1,016名(単体 2023年3月31日現在)、5,499名(連結 2023年3月31日現在) | |
事業内容 | ダイカスト製品、アルミニウム合金地金、フリーアクセスフロアパネル、 ダイカスト周辺機器の製造 |
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URL | https://www.ahresty.co.jp/ |
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本事例の内容は2023年8月2日公開当時のものです。
最終更新日:2023年8月2日