サービス申込管理システムへ
JBoss Enterprise BRMS Platformを活用

  • 公開日

    2015年1月30日

  • 適用製品

    JBoss Enterprise BRMS Platform

お客様からのサービス申込受付や契約管理、顧客管理、サービス提供までを実施するシステムにおいて、JBoss Enterprise BRMS Platform(以下,JBoss BRMS)を採用しました。

利用者はサービス加入者と社内オペレータです。加入者向けにサービスの変更機能を、社内オペレータ向けにサービスの申し込み機能(登録・変更・解約)とその他業務機能を提供しています。 業務量は200~500申込/日を処理しています。

システム導入前の課題

本システムで提供するサービスは、競合他社が同様のサービスを提供しています。本システムでは、競合他社が新規サービスを開始した場合、他社に追従するために短期間で同様のサービスを提供するというポリシーでサービスの提供を行っています。そのため、本システムでは、他社の動向やビジネスニーズの変化に対して、スピーディーに対応できる変化に強いシステムが求められていました。

また、本システムでは、運用フェーズにおいて細かい変更作業が頻繁に発生しており、その都度メンテナンスコストが発生していました。このため、運用期間中のメンテナンスコストの削減が大きな課題となっていました。

システム導入の経緯

上記の課題に対して、いくつの実装方式を検討した結果、ビジネスルール管理製品(BRMS)の導入が既存の課題を解決する手段として最も効果が期待できると考えられました。そこで、BRMSの適用を念頭に、BRMS製品を検討しました。

BRMS製品としてはいくつかの商用製品とOSSの両製品を検討しましたが、商用製品はコスト面から導入の敷居が高かったため、OSS製品の中でコミュニティが大きく、情報量も多いJBoss Droolsが選定の候補となりました。

ただし、OSSはコスト面では非常にメリットがある反面、商用サービス提供の場合に保証がないというリスクがありました。そのため、リスクヘッジとして、Red Hatが提供するJBoss BRMSを採用しました。JBoss BRMSは有償になりますが、商用製品と比較した結果、ソフトウェアコストを大幅に削減することができました。また、構築中に発生した課題は、RedHatが提供するサポートにより、解決することができました。

導入時の取り組み

BRMSは本システムにおいて、画面項目の表示制御や外部システムとの連携処理において採用しました。

図 1 申込管理システム概要

図 1 申込管理システム概要

申請画面では、画面項目の入力チェックの仕様をルール化し、開発時に頻繁に発生した入力チェックの仕様変更に柔軟に対応しました。また、システム利用者の権限と、権限における操作可否や項目の活性・非活性のマトリックスをルール化し、権限管理の見える化を実現しました。さらに、料金やキャンペーン等のサービス仕様をルール化することで、スピーディーなサービスの変更が可能となり、競合他社との競争に耐えられる仕組みを構築しました。

外部システムとの連携処理においては、本システムと外部システムとのコード体系が別々である為、コードのマッピング処理をルール化しました。外部システムと連携する際のデータ順序の決定処理もルール化を行い、外部システムの追加や仕様変更にも柔軟な対応ができる仕組みとしています。

初期開発時において、処理決定ルーチンをルール化するにあたり、お客様業務部門からルールを提供してもらったところ、そのままJBoss BRMSに取り込めるものではなかった為、当社のエンジニアがルールを決める際の条件や制約を説明し、お客様業務部門と共同でルール化を推進していきました。JBoss BRMSを利用したルール定義は、一定の条件や制約はありますが、普段お客様が利用されている用語を利用して表形式のマトリクスで定義できるため、視認性が高くスムーズにルール化することが出来ました。また、変更が比較的少ない業務ロジックと変更が発生しやすい要件部分を事前に整理し、ルール化する部分を限定したことにより、ルール化の作業をスムーズに行うことができました。

開発期間は通常の開発手法と比較して、大きな差はありませんでした。従来型の開発工程と比較した場合の特徴として、BRMS適用システムはルール化により設計とコーディング工程が一体化するため、コーディング工程が圧縮されるという点が挙げられます。この結果、開発期間の手戻り発生を抑えることができました。

BRMS導入効果

BRMSを導入したことで、当初の課題であった変化に強く、随時発生する変更に対する変更コストの削減が可能なシステムを実現できました。変更の発生する部分をルール化し、アプリケーションから切り出すことで、影響範囲の局所化が出来たことが1つの理由として挙げられます。もう1つの理由として、システム変更時のルールの追加・変更は、予め規定された条件や制約に従い、業務部門にて定義変更が可能となっているという点が挙げられます。ルール化したものがそのままシステム運用に直結しているため、安定した運用が実現できています。

また、ルール化による副次的効果として、お客様業務部門とのヒアリングにおいて手作業で運用している点や、独自ツールの存在を正確に把握できました。この結果、業務プロセスの整理を行うことができ、以前はシステム化されていなかった処理をシステム化したことで、業務部門の作業の見える化・効率改善につなげることができました。

BRMSを適用する場合、ビジネスルールの洗い出しを行うため、今回のようにビジネスプロセスの見える化と業務効率改善に大きな効果を発揮できると思います。

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