第2回 JBoss Enterprise Application Platform6の管理機能
コラム/第2回 JBoss Enterprise Application Platform6の管理機能
Red Hat
2013年8月2日
第2回 JBoss Enterprise Application Platform6の管理機能
今回は、レッドハットのミドルウェア部門から提供されているJBoss Enterprise Application Platform6(以降、JBoss EAP6)に関して管理機能を中心に紹介します。
JBoss EAP6とは
JBoss EAP6は標準仕様であるJava EE 6(JSR316)に準拠した企業向けのJavaアプリケーションサーバです。他のレッドハット製品と同様にオープンソースソフトウェアですが、本格的な技術サポートが受けられる企業向けJava基盤として提供されており、全世界の多くの大規模システムで利用されています。日本国内でも業種によってはデファクトスタンダードになっているのでご存知の方もいらっしゃるでしょう。
昨年リリースされた、バージョン6からは従来の良さを残しつつ、多くの機能が追加されています。中でも複数の筐体で動作するJBoss EAP6をリモートから集約して管理する事のできるドメインモードが利用出来るようになったことで管理性が飛躍的に向上しています。あわせて、管理ツールも刷新されており、全てのエンジニアが利用しやすいアプリケーション基盤として生まれ変わっています。
図 1 ドメインと管理ツール
JBoss EAP6で提供されている管理機能
Java EEの仕様では管理ツールに関しては規定されていないため、管理ツールはさまざまなベンダからリリースされているJava EEアプリケーションサーバの大きな個性の一つとなる要素です。
JBoss EAP6では主に、管理CLIと呼ばれるコマンドラインベースのツールとWebブラウザで操作する管理コンソールという2つの管理ツールを利用することが出来るようになっています。JBoss EAP6を利用されるエンジニアは、どちらか(もしくは両方)の管理ツールを使ってJBoss EAP6を操作することになります。
管理CLI
管理CLIは前述のとおり、コマンドラインでJBoss EAP6を操作するツールです。このツールはある意味、“JBoss EAPらしい”ツールと言えるかもしれません。管理CLIはあたかもLinuxを使っているような感覚でJBoss EAP6を操作することができます。Linuxユーザにはおなじみのls、cd、pwd、historyといったコマンドを利用して、JBoss EAP6の各リソースを参照する事はもちろん、追加、変更等のオペレーションを実施することが出来ます。
[domain@localhost:9999 /] cd /profile=default/subsystem=web/virtual-server=default-host
[domain@localhost:9999 virtual-server=default-host] ls
access-log
alias=["localhost","example.com"]
configuration
default-web-module=ROOT.war rewrite
rewrite
enable-welcome-root=true
sso
name=default-host
コマンド | 説明 |
---|---|
cd | 引数に現在のノードのパスを変更 |
help (or h) | ヘルプの情報を表示 |
history | 履歴を表示、または有効/無効/クリア |
ls | ノードパスの内容の一覧を表示 |
pwd | 現在動作中のノードのパスを表示 |
quit (or q) | コマンドラインインターフェースを終了 |
read-attribute | 管理リソースの属性の説明を出力 |
read-operation | 管理リソースのオペレーションの説明および一覧表示 |
version | バージョンおよび環境情報を表示 |
表 1 管理CLIで利用可能なコマンド一例
また、タブ補完が利用可能なため、全てのリソースを完璧にタイプする必要がなく、より快適に操作出来るようになっています。Linuxシェルのようにコマンドやノードパス、オペレーションはもちろん、オペレーション時のパラメータなど全ての入力に対して動作し、補完候補が1つの場合には、自動的に入力文字が補完され、補完候補が複数の場合には、補完候補がリスト表示されます。
あわせて、バッチモードで動作させることも可能であり、各コマンドやオペレーションを一連のバッチシーケンスとして実行できます。こちらは多くの操作をまとめて実施する場合や、複数のJBoss EAP6環境を構築、もしくは変更する場合等には非常に便利です。
管理コンソール
管理コンソールはブラウザ経由で操作するGUIの管理ツールになります。非常に軽い作りとなっており、開発中や検証等でJBoss EAP6を利用する場合にはより直感的なこちらのツールの方が利用しやすいかもしれません。
図 2 管理コンソール
管理CLIと同様にこの管理コンソールをつかってJBoss EAP6の設定変更やドメイン内で稼働している複数のJBoss EAP6を集約して管理することが出来ます。
興味深い機能として、先日リリースされたバージョン6.1からはこの管理コンソール上でJBoss EAP6の管理リソース構造を確認する事が出来るManagement Modelという機能が追加されています。
Management Modelからはノードパスやリソースノード名はもちろん、そのリソースで実行できるオペレーションおよびパラメータをGUIで確認することができます。
図 3 管理コンソール Management Model機能
まだ、管理CLIに慣れていない方はこのManagement Modelをマニュアル代わりに、管理CLIを利用することでよりスムーズにJBoss EAP6を操作できるのではないでしょうか?
なお、Management Model機能は管理コンソールのフッターメニュー、Tools > Management Modelから利用することが可能です。
最後に
今回はJBoss EAP6の管理機能に関して簡単に説明しましたが、さらにJBoss EAP6を知りたいという方は
『JBoss Enterprise Application Platform6 運用・構築パーフェクトガイド』(技術評論社)
を読まれる事をおすすめします。
本書はJBoss EAPの最大ユーザの一社であるNTT OSSセンタのエンジニアとレッドハットのスペシャリストが共同で書き上げたJBoss EAP6に関する解説本です。今回、ご紹介した管理機能に関しても多くのページを割いている事とあわせて、JBoss EAP6を利用する際に知っておくべき知識が集約されています。 本書を片手に、ぜひ、JBoss EAP6を体験してみてください。
著者紹介
レッドハット株式会社
JBossサービス事業部
シニア ソリューションアーキテクト 三木 雄平 様
株式会社SRAでプログラマ、日本BEAシステムズでサポートエンジニアとプリセールを経験した後に2007年レッドハット入社。日本における JBossビジネスの立上げに従事。現在は主に国内キャリアを担当。『JBoss Enterprise Application Platform6 構築・運用パーフェクトガイド』(技術評論社)の執筆リード。
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