RPA業務自動化ソリューションの導入事例
イワキ株式会社様働き方改革を推進した「RPAによる手作業の自動化」。「使いこなし」までのフォローアップが採用の決め手に
医薬品原料、機能性食品・化粧品原料、食品原料などヘルスケア・ファインケミカルの専門商社であるイワキ株式会社では、「Robotic Process Automation 業務自動化ソリューション(以下、RPA業務自動化ソリューション)」を導入。システム間のデータ連携などを自動化し、業務の効率化、省力化を推進しています。
この事例に関するソリューション・商品
*RPA:Robotic Process Automation
背景と課題
多忙な部署で進まない働き方改革。効率化を妨げる手作業の業務
川島 信行 氏
多くの企業では、残業を少なくして有給休暇の取得を奨励するといった働き方改革に取り組んでいます。ヘルスケア・ファインケミカル専門商社のイワキ株式会社も例外ではありません。しかし、同社の情報システム部は、商社機能として物流も管理していることから、働き方改革の実現が困難でした。
「情報システム部は15人ですが、物流システムを監視するために、日曜日以外年末年始しか休みがありません。そのため平日は誰かが代休を取るような状況でした」(川島氏)
同社では月間500万件もの受注があります。受注データを迅速に物流部門に伝達して出荷・検品データを顧客に通知し、仕入れデータを処理します。そのための各システムを監視するのが情報システム部の役目です。しかし、これ以上人員を増やすことは考えられません。
さらにシステム面でも難しさがありました。同社の基幹システムのコアとなる販売管理システムでは、顧客ごとに個別のプログラムがあり、受注プログラムだけでも約200本が稼働し、基幹システム上で数千本のプログラムが走っています。
多くのデータ連携処理は長年プログラムを開発し自動化してありました。一方、人手で対応している業務も残っていました。例えば、化粧品原料や健康食品原料などは利益率が高くてもデータ件数が少なく、人手でデータを入力していました。こうした処理が業務の効率化を妨げていたのです。
対策に悩んでいた川島氏がRPAを知ったのは、2017年6月のことでした。
「日立ソリューションズがRPA製品の『Automation Anywhere』の取り扱いを開始したという記事を見て、RPAに興味を持ちました。発表者が旧知の人だったので、話を聞きたいと声をかけたのです。パソコン操作を自動化するソフトウェアロボットのRPAであれば、プログラム開発をしなくても対応できるのではと考えました」(川島氏)
選定と導入
RPA導入決定を後押しした信頼性。運用のポイントは開発の標準化
市川 豊 氏
「RPAならプログラムを開発するまでもない業務も、ロボットで自動化できると感じました。同様の業務は他部門にもあり、グループ全体で大きな成果が望めます。勉強のためにスモールスタートで始めてみようと考えました」(川島氏)
背景には、日立ソリューションズとの長年にわたる良好な関係もありました。
「付き合いが始まったのは1998年ごろです。メールサーバーの導入案件がきっかけでした。もっとITを活用したいと考えてシステム子会社を吸収してシステム部門をつくった時期です。それ以来、インフラ系はほぼすべてお願いしています」(川島氏)
日立ソリューションズであれば「製品を導入するだけでなく、使いこなしまでフォローアップしてくれる」と考えた同社は、2017年10月に「RPA業務自動化ソリューション」の導入を決め、社内で説明会を実施しました。
約10カ月かけて、対象となる業務の洗い出しや費用対効果を議論し、ロボット化していく優先順位と開発担当者を決めていきました。日立ソリューションズからは開発手法や導入の進め方のアドバイスをもらうとともに、RPAに適応できる業務の洗い出しを同社と一緒に行いました。
「洗い出した業務は全部で100業務ほど。管理部門向けや業務センター向けの処理がメインです。定型業務であるWebからの情報収集や請求書の集計処理といった簡単なものから、値引き申請の情報をAS/400(IBM製オフィスコンピュータ)に登録するというワークフロー処理までありました」(市川氏)
値引き申請の処理は月に400件あり、そのほとんどが月末に集中しますが、プログラム化されていないため、データの打ち込みに相当な時間がかかっていました。これをロボットに置き換えられれば大きなメリットがあります。
製品導入と並行して進めたのが、ロボットの開発手法の標準化です。3人のロボット開発担当者でレビューしながら部内の基準を作成。作成日や作成者名の書き方から始まり、計算が必要な時のエクセルとの連携方法、対象データがない時の通知方法、ロボット作成機能の使用ルールなどが含まれます。
「20年ほど前、エクセルのマクロを使い出したものの、作成した人が異動したり退職したり、エクセルのバージョンが変わったりすると使えなくなりました。便利だからよい、では済まない状況に陥りました。その二の舞は避けたかったのです」(川島氏)
同社では、画面操作をスクリーンキャプチャとして記録し、仕様書作成まで行える「Process inVision」という機能も導入しました。
「業務担当者へ業務内容のヒアリングを補完するために導入し、今はマニュアル作成にも活用しています」(市川氏)
成果と今後
今後の劇的な改善に期待。他部門への適用も推進
「ロボット開発を担当する3人のうち、私以外はプログラミング経験がなくて不安でしたが、部品の組み合わせだけで対応できるところも多く、思ったより難しくありませんでした。ただ、ロボットが止まった時の対応など、動かしてみて改善するといった試行錯誤を繰り返してきました」(市川氏)
同社は試行錯誤しながら、売り上げ情報の集計や電力料金の請求情報をエクセルに転記したり、Webページから市場情報をダウンロードして経営幹部に配信したりといった簡単な業務を対象に、トライアル的に導入を進めてきました。2019年2月、ついに念願の値引き申請処理のロボットが完成し、本格的に稼働し始めました。
「これまではロボットを効率的に開発して動かすことを目標にスモールスタートを心がけてきました。劇的な改善が得られるのはこれからで、今期中には十分な効果が表れるはずです。プログラム開発と手作業以外の選択肢ができたことで、働き方改革を大きく推進できます」(川島氏)
年内に20台のロボット開発を目標とする同社では、日立ソリューションズが提供するロボット開発支援サービスの活用も検討中です。市川氏は「日立ソリューションズ自らが『RPA業務自動化ソリューション』を使って蓄積したノウハウや活用事例など有効な情報をどんどん提供してもらいたい」と期待を語ります。
徐々に成果が上がってきたことで、他部門へのRPA適用も視野に入ってきました。人事系や経理系では多くの業務を人手で対応していて、手作業を自動化すれば大幅な時間短縮が見込めます。便利さが実感できると、ロボットを活用するアイデアが具体化され、会社全体の業務効率化につながっていくという構想です。
「最近では情報システムの導入・運用について、全般的に日立ソリューションズに集約する傾向にあります。案件が増えて規模が拡大することで、保守も各システムをまとめて、より効率的に対応していただけるはずです。日立ソリューションズとは毎月定例会を設けて課題を話し合っているので、今後もIT活用の最新情報の提供を期待しています」(川島氏)
日立ソリューションズは今後もよきパートナーとして同社のIT推進を支援します。また、RPAのベストプラクティスの蓄積・提供により、企業の働き方改革に貢献していきます。
イワキ株式会社
創業100年を超える東証1部上場のヘルスケア・ファインケミカルの専門商社。医薬・FC事業、HBC事業、化学品事業、食品事業を手がけるとともに、製薬メーカーの岩城製薬や化学品メーカーのメルテックス、通信販売会社のアプロスなどのグループ企業を有し、原料製造から小売業まで幅広いバリューチェーンを展開している。
本社所在地 | 東京都中央区日本橋本町4-8-2 | |
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創業 | 1914年7月10日(設立:1941年9月20日) | |
従業員数 | 293人 | |
事業内容 | 医薬・FC事業、HBC事業、化学品事業、食品事業 | |
URL | https://www.iwaki-kk.co.jp/iwaki.html |
この事例に関するソリューション・商品
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本事例の内容は2019年6月4日公開当時のものです。
最終更新日:2024年9月26日