スカパーJSAT株式会社様 RPA業務自動化ソリューションの導入事例やシステム構築例を紹介|システム構築やトータルソリューションをお探しなら、日立ソリューションズにお問い合わせください。

RPA業務自動化ソリューションの導入事例

スカパーJSAT株式会社様

単純で定型的な作業のRPA化により、業務負荷だけでなく心理的負担も軽減。ロボットと働く「働き方改革」で数千時間を削減

株価や業界情報の収集・通知・保管、契約更新案件の通達など、企業には定型業務が多数あります。宇宙事業・メディア事業を手掛けるスカパーJSAT株式会社も、こうした業務を多く抱えていました。2017年12月のオフィス移転を機に、働き方改革の一環で業務改革プロジェクトを立ち上げた同社は、日立ソリューションズの「Robotic Process Automation 業務自動化ソリューション」(以下、RPA業務自動化ソリューション)を導入。2019年3月までに34ロボットが稼働しています。

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課題
導入後
ミスが許されない定型作業の担当者は、業務負荷や心理的負担が大きかった
作業時間や工数の削減以外に、休暇時の業務代行依頼や、期限内の業務完遂などの心理的負担も軽減
RPA活用による業務効率化を社内に認知・浸透させたかった
社員が親しみやすい社内ポータルで施策を告知。RPAデスクも設置して活用をサポート

背景と課題

オフィス移転に伴う働き方改革で業務改革とRPA活用に着手

米持 氏経営企画部門 情報システム部長 兼 業務革新チーム長
米持 英夫 氏

通信衛星を活用した宇宙事業と、有料多チャンネル放送「スカパー」をはじめとしたメディア事業を営むスカパーJSAT株式会社。同社がサービス向上と経営効率化を目的に、東京・赤坂のオフィスビルに移転したのは2017年12月でした。

移転をきっかけに本格的に取り組んだのが働き方改革。その一環として、同社は業務改善にも着手しました。PC操作を自動化するソフトウェアであるRPA(Robotic Process Automation)に興味を持った同社の情報システム部は、「通勤定期区間変更に伴う金額算定業務の自動化」をRPAのPoC*1として検証しました。

「時間をかければ全社員の交通費を正しく金額算定できるが、非常に単調な作業のためRPA化にトライした」と同部の米持氏は語ります。

実際にRPAで作業を自動化した結果、単調な作業から解放された現場の社員から感謝の声が上がりました。

*1 PoC:Proof of Concept(概念実証)

選定と導入

一元管理・セキュリティ・開発の容易さで「RPA業務自動化ソリューション」を採用

山縣 氏経営企画部門 情報システム部 業務革新チーム アシスタントマネージャー
山縣 晶子 氏

PoCの成果を受け、本格的にRPAを導入するためRPA製品の機能についての比較検討を開始しました。まずRPA化を進める上での重要な課題としては、社内システムへのアクセスコントロールをいかに行うかと、『野良ロボット』への対策が挙げられました。

「宇宙事業部門・メディア事業部門ともに機密性の高い情報を扱っている当社では、ファイルサーバーや業務システムに自由にアクセス可能なのは問題であり、アクセス制御の機能と許可されたロボットだけが実行できるロボット管理の機能は必須でした」(米持氏)

また、OAネットワークとは分離されたインターネットアクセス用のWebVDI*2を使用しているため、この環境下でのRPAの使用可否も重要な製品選定のポイントとなっていました。

情報システム部によるロボット開発に加えて業務部門の利用者にも推進する方針であったため、開発の容易さも考慮し、最終的に日立ソリューションズから提案のRPA製品「Automation Anywhere」に決定しました。

日立ソリューションズは「RPA業務自動化ソリューション」を自社の業務効率化にも活用中であり、RPA製品に関する技術ノウハウだけではなく、RPAプロジェクトの進め方、社内への展開の際に必要な基準・ルールの制定やガイドラインの策定、あるいはロボットの利用申請手順の整備といった実業務における実績があることも製品選定の決め手となりました。

こうしてRPA製品の選定がなされたのと同じ時期に、情報システム部内にITを活用した全社業務革新の企画・提案・実装を行う部隊として「業務革新チーム」が新設され、最初の活動テーマとして全社RPA展開を推進することとなりました。業務革新チームのメンバーは情報システム部員に加え全社の4つの事業部門の兼務者で構成されており、現場からのリアルな課題の共有や検討・議論を進めることが可能となったことで、全社へのRPA化を進めるための体制が整備できました。

全社RPA展開における最初の課題は、社内から候補業務をどのように収集し、どういった基準でロボット化の対象業務を決めるかということでした。候補業務の収集については、RPA化に適している定型の作業は入社10年目くらいまでの若手社員が担っているであろうという推測から、若手社員向けにアンケートを実施し、多くの回答からさまざまなRPA化の候補業務を集めることができました。これらの候補業務に対し、「RPA化に適している業務か」「生産性向上効果が見込めるか」「全社的な波及効果があるか」などの観点から、ロボット化する業務を抽出。約20の業務をロボット化する対象として選定しました。

次に挙がった課題が「社内での認知」でした。取り組みを全社に広げるには、社内にメリットを周知させる必要があります。

「RPAを社内に告知するために、イントラネット上に専用のポータルサイト「これロボ」を開設。『大切だけど、単調でつまらない作業をロボット化しよう』を合言葉に、独自のキャラクター『これロボくん』も考案し、社員が親しみやすい雰囲気をつくりました」(下吹越氏)

RPA化のプロジェクト名であり、キャラクター名にもなった「これロボ」とは、「これってロボットにできますか?」の略。現場からの要望を積極的に取り入れていく姿勢を表しています。

*2 VDI:Virtual Desktop Infrastructure(仮想デスクトップ基盤)

成果と今後

業務のクオリティが向上。「ロボットと働く」新しい働き方が浸透

下吹越 氏経営企画部門 広報・IR部 アシスタントマネージャー 兼 情報システム部 業務革新チーム
下吹越 美佳 氏
渡辺 氏経営企画部門 情報システム部 業務革新チーム
渡辺 正樹 氏

業務を洗い出し、社内認知度向上の方法を検討すると同時に、業務革新チームはRPAロボットの開発準備を進めていきました。

「日立ソリューションズからの助言により、RPAの説明やロボット化の要望を受け付け、ユーザーへの業務ヒアリングを行う『RPAデスク』を設置。実際の全社展開スケジュールや必要なタスク整理についても日立ソリューションズに支援していただきました」(山縣氏)

2018年10月、第1弾となる「株価レポート」の作成・メール送信ロボットをリリース。同社の広報・IR部が毎日実施する定型業務の1つで、インターネットから自社の株価に関する情報を収集し、Excel で集計した後に成形して全社にメール配信するロボットです。1回当たりの作業時間は短いものの、担当者は毎日夕方の同じ時間帯に忘れずに作業を行う必要がありました。休暇を取得する場合は代理の人に業務を依頼する必要もありました。また、入力ミスへの懸念もあり、役員を含む全社員にメールを配信するので「報告内容は間違えてはいけない」というプレッシャーも心理的負担となっていました。

ロボットによる自動化により、業務負荷と心理的負担から解放され、年間約120時間という業務時間の削減が実現できました。

「このRPA化した事例について、実際に業務を担当していた社員にインタビューして記事化。『これロボ』サイトをはじめ、WEB社内報やサイネージに掲載して社内にRPA化の効果を周知しました」(下吹越氏)

これにより「社員からのRPAについての問い合わせが増え、反応もポジティブです」(山縣氏)。「自部署でもロボットを活用してみたい」という声も寄せられるようになりました。

RPAデスクはその後も為替レート取得業務など、2019年3月現在までに34のロボットを開発。なかでも、2019年2月にリリースした「締結済み契約の自動更新期限通知」ロボットは、自動更新となっている契約の解約・継続についての意思表示期限が迫っている案件を、稟議申請システムから抽出して該当部門宛に事前にメールにて通知を行います。

「ロボットによる通知により自動更新契約の期限を確認する毎月の定例業務が必要なくなり、全社で効果を実感。意思表示期限が到来する前月月初に通知が届くため、契約条件をじっくりと見直す時間的余裕も生まれました」(米持氏)

実際にロボットを導入した部門へのアンケートによると、「業務のクオリティが向上」「心理的負担が削減」という実感のほか、「これロボ」に対し感謝のメッセージも寄せられています。業務のなかにロボットが確実に根付いている様子がうかがえます。

「『これロボくん』は一緒に働いている同僚のようなもの。『これロボくん』とスマートに働く部署を増やしていきたい」と渡辺氏は抱負を語ります。

これまでの業務効率化の成果として、年間約2,300時間という業務時間の削減が見込まれており、同社ではRPAの活用をさらに促進していく予定です。

「業務革新チームは今後も新しい取り組みを続けていきます。日立ソリューションズには他社事例の共有やAIを活用しての問い合わせ業務のチャットボット化などの最新情報を期待しています」(米持氏)

日立ソリューションズは、ノウハウや事例共有に向け、「RPA業務自動化ソリューション」のユーザー会を開催しています。ソリューションの導入から運用、改善まで、企業のRPA活用を支援していきます。

スカパーJSAT株式会社

放送と通信融合のトップランナーとして、アジア最大の17機の衛星を保有する、衛星多チャンネル放送と衛星通信を提供している国内唯一の事業会社です。加入者数約300万を誇る衛星多チャンネル放送プラットフォーム「スカパー!」を通じて多種多様なエンタテインメントをお届けし、衛星通信サービスにおいては、日本・アジア・オセアニア・ロシア・中東・ハワイ・北米をカバーし、「社会の安心・安全」を支えています。

本社所在地 東京都港区赤坂1-8-1 赤坂インターシティAIR スカパーJSAT株式会社
設立 1994年11月10日
従業員数 845名(2019年3月末時点)
URL https://www.skyperfectjsat.space

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本事例の内容は2019年8月27日公開当時のものです。

最終更新日:2024年10月25日