OSSガイドライン策定支援ソリューションの導入事例
日立建機株式会社様OSS活用を支えるガイドラインが3カ月で完成。建設機械の未来を変えるイノベーションの基盤に
建設機械メーカーの日立建機株式会社では、建設機械製品へのOSS適用が進みつつある中で、OSS活用ガイドラインを策定しました。組織横断的な議論と合意形成を経て完成したガイドラインは、適切かつ効率的な活用を促し、同社が創る建設機械の可能性を広げます。
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背景
建設機械でもOSS活用が拡大
佐圓 真 氏
建設機械およびマイニング機械の開発・量産・販売事業を展開し、2020年で70年を迎えた日立建機。昨今は建設機械分野でも施工支援機能や安全補助機能などの技術開発が急速に進んでいます。日立建機が思い描くのは「人と機械が協調する」施工現場。そのために、ICT・IoTの活用により「機械」を進化させ、豊かな生活空間をつくる「人」と「作業」の関係を、より快適に、より高度に、より効率的なものとし、顧客の課題である「安全性向上」「生産性向上」「ライフサイクルコスト低減」に貢献する取り組みを続けています。
開発の対象も、建設機械から建設現場の関連業務を支えるソリューションまで広がる中、ソフトウェア開発に不可欠となっているのがオープンソースソフトウェア(OSS)です。「これまでは一部のチームで限定的にOSSを使用していたので、知見のある者が担当している限り特に問題はなかったのですが、OSSの活用が当社のさまざまな製品に広がりつつあることを踏まえると、OSSを適正かつ効率的に活用する仕組みの整備が求められます」(佐圓氏)
実際に開発に携わってきた野辺氏も、「OSSの活用は解釈が難しい面もあり、組織横断的に知見を蓄積することの必要性を感じていました。担当者レベルでの努力では限界もあります」と説明します。
取り組み
必要なプロセスを網羅した支援が決め手に
野辺 啓太 氏
佐圓氏は、「別の部門でも同じような問題で悩んでいるとしたら、それこそもったいない話ですよね」と指摘。実際、OSSガイドラインの策定に向けて全社的に動き出したところ、複数部門で複数の担当者が同じ悩みを抱えていたことが判明。開発効率を高めるためにもガイドラインの必要性を改めて認識したと言います。
そこで、OSSガイドラインの策定をサポートできるベンダーを探した結果、OSS管理に必要な知識に関するレクチャーからガイドラインの執筆およびレビューまで、必要なプロセスを包括的に網羅した日立ソリューションズのソリューションを選択しました。その決め手について野辺氏は、「当社のリソースの問題で、あまり工数をかけられない事情もありましたし、ガイドラインの策定に必要な作業を全部まとめてお願いできること、3カ月という短期間で策定できることへの期待が大きかったですね」と語ります。
効果
複数部門の合意に基づくガイドラインが完成
日立ソリューションズが提供する「OSSガイドライン策定支援ソリューション」は、コンサルタントによるレクチャーに始まり、OSS管理に関するディスカッションを経て、よりよいガイドラインの完成をめざします。日立建機では、このレクチャーおよびディスカッションに、実際にOSSを活用する開発部門のほか、品質保証や知財、法務などからも十数名が参加しました。
「レクチャーを通じてOSSに関する知識レベルの統一を図れたおかげで、かなり踏み込んだ質問をする担当者もいて、質のよい有意義なディスカッションができました。ただ言いたいことを言うだけで収集がつかないのでは?と思っていましたが、日立ソリューションズの巧みなファシリテートに助けられ、それぞれがOSS管理を自分ごととして捉え、建設的な議論を展開していました。立場の異なる複数部門間で合意を形成することが今回のガイドライン策定の目的の一つでもあったので、互いの考えや意見を理解し、納得したうえで進められたのは大きな成果です。今後、複数部門で必要な情報を共有していくための下地ができたという意味でも、よいきっかけになりました」(野辺氏)
佐圓氏も、「日立ソリューションズの豊富な知見と経験があってこそのプロジェクトです。当社だけで取り組んでいたら、3カ月では終わらなかったと思います。ガイドラインの本格的な活用はこれからですが、開発の効率化に寄与することは間違いありません」と語ります。
展望
OSS管理を軌道に乗せる仕組みの構築が課題
OSSガイドラインが完成し、統一的な判断基準が整備されたことで、今後は事業部内外でのOSS活用に関するコミュニケーションの円滑化も見込まれます。また、当面は組織をまたいだ承認フローの構築や責任範囲の明確化など、ガイドラインに則った適切なOSS管理を軌道に乗せる仕組みの整備に注力していく考えです。
「OSSは進化し続けるものですから、ガイドラインも作ったら終わりではありません。定期的な見直しも必要ですし、活用していく中で新たな悩みも出てくるでしょう」(佐圓氏)建設機械に対するニーズを先取りし、そのニーズに応えるソリューションの提供に力を尽くす日立建機。多様な製品へのOSSの活用でますます拓かれるイノベーションの可能性が、建設現場の未来を大きく変えようとしています。
OSS管理に関する豊富な知見と経験を生かしてガイドラインの策定をサポート
- お客様企業の個別の課題にマッチしたコンサルティングを提供
- レクチャーを通してOSS管理に関わる複数部門の担当者の知識レベルを統一
- 全社横断的なメンバーでディスカッションを行いOSS管理に関する合意を形成
- OSS管理に関する網羅的なテンプレートを用いて、短期間で効率よくガイドラインを策定
日立建機株式会社
所在地 | 東京都台東区上野二丁目16番1号 | |
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設立 | 1970年10月1日 | |
従業員数 | 連結:24,987名 単独:5,496名(2022年3月31日現在) | |
事業内容 | 建設機械・運搬機械及び環境関連製品等の製造・販売・レンタル・アフターサービス | |
URL | https://www.hitachicm.com/global/jp/ |
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本事例の内容は2022年11月2日公開当時のものです。
最終更新日:2024年6月17日