SaaS型ITサービスマネジメント ServiceNowの導入事例
株式会社日立マネジメントパートナー様コールセンター用システムに「ServiceNow」を導入し、ユーザーのグローバル化に応える新体制を構築。
株式会社日立マネジメントパートナーでは、コールセンター用システムのリプレースに際して、従来のPBXと連動したオンプレミスシステムに代えてSaaS型ITサービスマネジメント「ServiceNow」を導入。同じくクラウドを利用するCTI(Computer Telephony Integration)システムと接続して、自らの多拠点展開とグローバル化を進める日立グループユーザーへの対応を可能にする新たなシステム基盤を構築しました。
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導入の背景
既存システムの老朽化対策とグローバル対応を可能にする新環境構築を目標に。
外川 淳 氏
日立マネジメントパートナーでは、これまで都心部の拠点に設置されたオンプレミスシステムでユーザー企業からの問い合わせに対応するコールセンター業務を行ってきました。しかし、2001年から利用してきた既存システムには、機能的な老朽化に加えてPBXと連動しているために拠点内にしかオペレーター室を設けられないなどの課題がありました。このため、システムの機能的な改善と、ユーザー企業のグローバル展開に対応できる新たなサービス体制づくりを視野に入れたリプレース計画が進められていました。
「10年以上利用していた既存システムを更新するにあたっては、大きく二つの改善ポイントがありました。その一つは、オペレーター室のロケーションがシステムロケーションに制約されないようにすること。もう一つは、日本語を母国語としないオペレーターでも利用できるようにするシステムの多言語対応化でした」(外川氏)。
選定までの経緯
CTIクラウドとの接続実績と、厳しいクラウドガイドラインのクリアが決め手に。
榊 敏博 氏
新システムに求められる条件として重要視されていたのが、オペレーターの業務拠点を国内海外を問わず柔軟に展開できること。そのためにまず、従来システムのPBX連動に代えてCTIクラウド「InContact」の採用が決まっていたため、このシステムとの接続が可能であることを前提条件として、コールセンター業務をサポートするシステム選定が行われました。
「システムの選定にあたっては、4社にプレゼンテーションを依頼しました。CTIクラウド『InContact』との接続実績は要件定義の一つに決定していましたが、そのほかには、開発期間が短いことからクラウドサービスの利用を考えていました。ただ、日立グループには『パブリッククラウドガイドライン』という厳しい規定があって、これに準拠しないシステムは利用できません。今回提案していただいたクラウドサービスの中では、日立ソリューションズの『ServiceNow』が、唯一このガイドラインをクリアしていました。『InContact』との接続実績、開発期間やコストを抑えるクラウド利用、そしてガイドラインへの準拠、以上の条件をすべて兼ね備えていたのが『ServiceNow』でした」(外川氏)。
導入時の取り組み
カスタマイズでワークフローを維持しつつ、厳しいガイドラインもクリア。
2013年7月、約3か月という開発期間の後に、「ServiceNow」が稼働を開始しました。初めての業務用クラウドシステム導入に不安もあったという外川氏でしたが、従来と変わらないワークフローを再現できたことも含めて、短期間ながらほぼ期待どおりの機能を実装できたといいます。
「例えば、『SeviceNow』には自然文検索という機能がなかったので、カスタマイズしてもらいました。お客さまからの問い合わせ内容をオペレーターが入力して、その文章を検索条件としてナレッジを探すという従来のフローを変えると業務が成り立たなくなってしまうので、これは必須の機能でした。このほかにも、ワークフローについては基本的にリプレースのイメージでカスタマイズしてもらいました。ただ、日立ソリューションズからすると、ほとんどが新規開発のイメージだったかもしれませんね」(外川氏)。
その一方で、難関だったのが「パブリッククラウドガイドライン」への準拠でした。日立グループ全体のセキュリティを脅かさないという大前提のもとに課されている厳しい制約に準拠するため、情報の暗号化やキー情報の置き換えなど、さまざまな対応が求められました。
「私たちの会社がビジネスで扱っているのは、お客さまの個人情報そのものですから。クラウドを利用することによってそれが流失してしまったら、会社の存在そのものがなくなってしまいます。この大事な情報が流失しないようにしながら、なおかつ『パブリッククラウドガイドライン』が求める日立のセキュリティ基準を守って強固で使えるシステムにする、それは開発の指針であり最も苦労したところだったと思います」(榊氏)。
導入後の効果
問い合わせ状況の把握や拠点別の対応などで、業務効率とサービスの向上を。
実際に「ServiceNow」でお客さまからの問い合わせを受け付けるのは、2013年11月から。その本格稼働に備えてオペレーターの指導などを進める榊氏に、業務面で期待する導入効果を伺いました。
「コールセンター業務の管理という面では、"見える管理"ができるようになることに期待しています。例えば、今どのくらい問い合わせが来ているか、どういった内容なのかなどをリアルタイムに把握できればと思っています。また、新しいシステムなので、ナレッジ検索などのレスポンスが従来システムより速くなると考えています。これによって、業務効率の向上と、お客さまを待たせないというサービス向上にインフラとして寄与してくれることですね。この二つが、現状で『SeviceNow』に期待している主な効果です」(榊氏)。
一方、「ServiceNow」へのシステム変更によって考えられる、問い合わせ拠点の展開イメージと新たな可能性について伺いました。
「従来の体制では、PBXがあるビル内にコールセンターがあり、一時受付を行うオペレーターも専門的な質問に応える二次受付のスタッフも同じ拠点で対応していました。新システムは利用場所の制約がなくなるので、別拠点にいる専門スタッフにお客さまからの問い合わせを転送することもできます。そうした複数の拠点を有効に活用していくことによって、お客さまへのサービスの質を高めながら、コストの削減も図れると考えています」(外川氏)。
今後の展望
繁忙期で導入効果を確かめて他の業務へも適用。日立ソリューションズにはベンダーとの間に立つサポートを要望。
「11月というのは、年末調整の直前ということで、コールセンターへの問い合わせが1年で最も増える時期なんです。件数でいうと通常時の約1.5倍で、従来はスタッフを増員して対応していました。この期間に新システムの効果を確かめて、軌道に乗ったら、旅費精算などの問い合わせにも適用していこうと思っています。いずれにしても、今年度中にはすべての業務の移行を完了させる予定です」(榊氏)。
最後に、日本で唯一の「ServicNow」のリセラーパートナーである日立ソリューションズへの要望と、将来的にめざしているシステム運用のイメージについて伺いました。
「当面希望するのは、クラウドベンダーとの間を取り持つサポートですね。例えば、現在も月2回くらいアメリカから直接メールが送られてくるのですが、その内容が『SeviceNow』全体に関わるアナウンスなのか、私たちのシステムの更新情報なのか、利用している機能に関するお知らせなのかよく分かりません。そうした中から、必要な情報をピックアップして分かりやすく伝えてもらえたらと思います。また、現状は『パブリッククラウドガイドライン』の壁もあって、『SeviceNow』の機能を使いきれてはいません。将来的には、エンドユーザーが自らQ&Aのナレッジを検索できるようにするなど、クラウドの良さをさらに活用することで、問い合わせそのものを減らせるようなシステムを実現できればとも考えています」(外川氏)。
株式会社日立マネジメントパートナー
日立マネジメントパートナーは、2006年の設立以来、日立グループの財務・人事・総務シェアードサービス会社として、最先端・高品質のシェアードサービスを提供している専門会社。グループ内で培った高い技術力とマネジメントノウハウを活かして、企業経営の基盤である財務・人事部門の業務を支え、企業価値の向上をサポートしています。
本社所在地 | 東京都千代田区飯田橋二丁目18番2号 |
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設立年月日 | 2006年4月3日 |
事業内容 | 財務・人事関連事務に関するシェアードサービス |
URL | http://www.hitachi-mp.co.jp/index.html |
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本事例の内容は2013年11月25日公開当時のものです。
最終更新日:2013年11月25日