ServiceNow(IT Service Management)の導入事例
株式会社大林組様サポートデスクへの電話問い合わせを約30%削減。ポータルサイトでUX向上によるセルフサービス化
株式会社大林組は、電話中心で運用されていたシステムの不具合や操作方法などの問い合わせに対応するサポートデスク業務を自動化・省人化する目的で「ServiceNow」の「IT Service Management」を導入しました。問い合わせ時に、よくある質問(FAQ)と回答をナレッジとして「ServiceNow」より検索可能に。セルフサービス化の達成により、電話問い合わせの件数が減少しています。
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背景
課題が多かった電話中心のサポートデスク
市川 和美 氏
サポート対象は株式会社大林組の従業員数約9,000名に加え、派遣を含めると約13,000名(2021年9月末現在)。全国のオフィスで働く従業員向けのサポートデスク業務は、対象人数が多いこともあり、運営にはいくつかの課題がありました。
「問い合わせ件数は、平均で月6,000件ほどありました。7割程度が電話での問い合わせなので、対応に時間がかかり、利用者は電話がつながるまでの待ち時間が長くなることもありました。回答は通常の勤務時間に電話で返していましたが、相手が席を外していると何度も電話をすることもあり、お互いに時間が無駄になっていました」(葛谷氏)
また、業務システムについての問い合わせを受けたときは、専門の部署にエスカレーションする必要がありました。
「エスカレーションする際は、問い合わせを最初に受けた担当者から専門部署へ状況を詳しく共有しなければならず、ある程度の時間がかかります。一方で、問い合わせの電話をいったん切ってしまうと、回答を待っている利用者には進行状況が分からないため、自分の問い合わせに進捗がないのではないかと不満をもらす人もいました」(市川氏)
取り組み
Webで対応が完結するサービスを選択
葛谷 よう子 氏
サポートデスクに関するこれらの課題を解決するには、電話での問い合わせ・回答をなるべく減らし、ポータルサイト上のやり取りで対応が完結するようにしたい――。このように考え、要件を満たすソリューションを2019年4月から探し始めました。設定した要件は、「エスカレーションに対応できる」「登録済みナレッジをあいまい検索できる」「システム障害が発生したときにポータル画面などで広く通知できる」などです。
「いくつかのサービスを比較検討した結果、当社に適しているのは『ServiceNow』の『IT Service Management』だという結論に至りました。構築作業については、『ServiceNow』の導入実績が多く、自社でも『ServiceNow』を活用している日立ソリューションズが信頼できると判断しました」(市川氏)
システム構築作業は、2020年1月に開始。まずはサポートデスクの現行プロセスをまとめ、それを基に日立ソリューションズのSEが豊富な導入実績をベースとしたベストプラクティスを提案し、システム定義を設定していきました。そのうえで既存のよくある質問(FAQ)と回答を「ServiceNow」にナレッジとして登録していきました。
「日立ソリューションズのヒアリングを受けながら、サービスの構築を行いました。プロジェクト全体をうまく導いてくれたと評価します」(葛谷氏)
効果
電話での問い合わせが月平均2,000件減少
サポートデスク業務を「ServiceNow」に移行するプロジェクトは、予定通り2020年1月から7月で完了しました。10月からは新しいサポートデスクシステムが毎日の業務に使われています。
「ServiceNow」導入による最大の成果は、電話主体だったサポートデスク業務をポータルサイトによってセルフサービス化できたことです。電話での問い合わせ件数を大幅に減らせました。
「日立ソリューションズの協力のおかげで、予定通りにサービスインできました。ナレッジ検索での自己解決が増えたため、電話での問い合わせは月平均で2,000件程度減り、問題解決するまでのトータルの時間も短くなっていると思います」(葛谷氏)
「好きなタイミングで問い合わせができ、進行状況を確認しながら、都合のよいときに回答を取り出せることが利用者に喜ばれています。問い合わせ内容がシステムに履歴として残る仕組みなので、問い合わせを受けた担当者が専門部署に引き継ぐ際は、エスカレーション機能を利用することで経緯を共有できます。大幅な省力化にもつながりました」(市川氏)
ただ、「電話のほうが問い合わせをしやすい」と考える利用者もいるので、利用者の意識を変えるための取り組みを今後も続けていくとのことです。
展望
さまざまなITサービスとの連携も検討
サポートデスク業務の移行が完了したことを受けて、大林組はほかのITサービスについても「ServiceNow」のプラットフォームに連携させて自動化・省人化をしようと考えています。その1つの候補として検討の対象となっているのが、パソコンなどのICT機器・ソフトの発注システムです。
「誰がどのようなパソコンを使っているかについては、サポートデスク業務を移行する際に『ServiceNow』に登録できました。今後は、複数ある機器発注システムを『ServiceNow』で統合し、利用者の利便性向上を図る予定です」(市川氏)
また、「ServiceNow」はグループ会社でも広く使われていく予定です。
「基本的なパソコンの使い方など各社共通のFAQについては、2021年度中にグループ会社への展開が完了する見込みです」(葛谷氏)
大林組が2020年から進めているデジタルトランスフォーメーション(DX)の柱の1つは、「自動化・省人化による働き方改革の徹底」です。日立ソリューションズは、同社の変革への取り組みをこれからも支援していきます。
サポートデスクをポータルに移行し自動化・省人化
- 受付窓口を電話からポータルサイトに切り替えることによって担当者にかかる負荷を軽減
- サポート業務に関するプロセスを標準化し、SaaS型の共通プラットフォームを使って自動化
- サポートの実行状況をダッシュボードやレポートとして可視化することによって管理の質を向上
株式会社大林組
所在地 | 東京都港区港南2丁目15番2号 | |
---|---|---|
設立 | 1936年12月(創業:1892年1月) | |
従業員数 | 9,125名(2021年9月末現在) | |
事業内容 | 総合建設業として国内外の建設工事、地域開発、都市開発、その他の建設関連事業に従事 | |
URL | https://www.obayashi.co.jp/ |
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本事例の内容は2022年3月30日公開当時のものです。
最終更新日:2022年3月30日