株式会社日立ソリューションズ 社内向け副業マッチングサービスの導入事例やシステム構築例を紹介|システム構築やトータルソリューションをお探しなら、日立ソリューションズにお問い合わせください。

社内向け副業マッチングサービスの導入事例

株式会社日立ソリューションズ

1時間単位で社内副業を手軽に行えるサービスの提供に向け、社内検証で問題点を洗い出しながら機能を拡充

システムインテグレーション企業の日立ソリューションズでは、サステナビリティトランスフォーメーションへの取り組みの一環で実施した「DX/SX事業化アイデアソン」から、1時間単位で社内副業を手軽に行えるサービスが誕生しました。事業化に向けた社内検証では、問題点を洗い出しながら機能を拡充。社員が保有するスキルの可視化により、本業とは異なる活躍の場が生まれることで、持続可能な経営を支える人財活用に新たな可能性が拡がっています。

メインイメージ

この事例に関するソリューション・商品

課題
効果
社内にどんなスキルを持つ人がいるのかわからず、接点がある人にしか相談や依頼ができない
社員一人ひとりのスキルが可視化され、組織をまたいで人財活用が促進された
異動を伴う一定期間の支援は敷居が高く、副業制度はあっても一部の人の利用にとどまっている
1時間単位で気軽にできるため、社内副業の利用が促進された。依頼する側も社内で人財を確保できたことで、コスト削減につながった
職場以外に貢献できる場面が少なく、能力開発の機会や人的ネットワークが限定的である
個人の強みを生かして活躍する機会を創出することで、人財流出の防止やモチベーション向上に寄与
概要図

背景

スキマ時間にできる社内副業を社員自らが発案

長谷川スマートライフソリューション事業部 クラウドソリューション本部 企画部 グループマネージャ
長谷川 功

日立ソリューションズでは、2022年度から中期経営計画の柱にサステナビリティトランスフォーメーション(SX)を置き、未来からのバックキャストで「どこに向かうべきか」を考え、必要な取り組みを加速させています。たとえば、持続可能な経営には社員の働きがいの向上が不可欠との考えから、入社3年目の全社員が自発的に部署異動に挑戦できる若年層ジョブマッチング制度や、エルダー社員のスキルを有効活用するジョブマッチング制度など、人財制度の拡充を推進してきました。また、“みんなが主役”のSXをコンセプトに、ボトムアップでの推進を図るため、全社員を巻き込んださまざまなコミュニケ―ション活動にも力を入れています。

そうした活動の一つである「DX/SX事業化アイデアソン」から、事業化に向けて本格的に動き出したアイデアがあります。アイデアソンで最優秀賞を受賞した「社内向け副業マッチングサービス」です。これは、「社員の能力やスキル」と「職場のニーズ」をシステム上でマッチングし、各社員が個人のスキルを生かして、他部署の仕事を時間単位で気軽に行える仕組みを提供するサービスです。時間単位というのは、スキマ時間のアルバイトのような感覚です。

このアイデアの背景には、個人のスキルを生かした活躍の機会として、社内副業をもっと手軽に行えるようにしたいとの思いがありました。長谷川は、発案の経緯をこう説明します。

「自分自身の定年が近づいてきて、定年後に業務を継続できたとしても今と同じ条件では働けないと考えたときに、これまでにはない副業のカタチを思いつきました。社外に人財を求めると高額な経費が発生しますし、社内で見つけるにしても日ごろから接点のある人の中から探すしかありません。しかも、相手の好意で対応してもらうのはなんとなく気が引けるものです。その点、1時間単位での副業なら本業への影響も最小限に抑えられますし、上長の理解と承諾も得やすいだろうと考えました」

取り組み

社内検証を経て、サービス提供へ

異動を伴うことなく1時間単位で行える社内副業のマッチングサービスはほかに類を見ないため、同社は正式なサービスとしてリリースする前に、まずは約5,000人の全社員を対象に社内検証を実施することを決めました。制度として利用可能か、マッチングプロセスの管理を機能的に実現できるのかを明らかにし、課題を洗い出す目的です。そのため、「依頼内容とスキル保有者のマッチング精度の確認」「実際に行われた副業の内容と利用者の評価」「インセンティブの支払いを行う場合のフロー」の3つの観点で検証が進められました。

検証の対象となるサービスの仕組みは、次のとおりです。まず、社員自らが保有するスキルや経歴をシステムに登録して公開します。依頼する側の社員は、登録情報の中からニーズに合うスキルや経歴を保有する社員を検索し、本人に打診します。スキルとニーズがマッチすれば依頼が成立します。登録できるスキルは業務上のスキルに限らず、通訳、AI、統計学、司会など多岐にわたります。インセンティブの支払いについては依頼部署負担とし、一旦人事・労政部門にプールしてから、対応者の賞与に反映する流れを構築しました。

効果

活躍の機会を得てモチベーションがアップ

舛屋スマートライフソリューション事業部 クラウドソリューション本部 サービスビジネス部 主任技師
舛屋 悠希

2024年9月にスタートした社内検証は、「予想以上に使ってくれている印象です」と長谷川が語るとおり、検証開始から4カ月間で4,178人のログインを記録。スキル登録者は2,532人、検索回数13,425件となっています(2025年2月末時点)。

アンケート結果によれば、利用者の74%は業務効率の向上を実感しており、継続して利用したいと回答した人は73%でした。インセンティブのあり・なしに関係なくモチベーションが高まると感じている人が全体の85%を占め、利用者からは「制度化されていることで上長の承認を取りやすい」という声があがっています。さらには「自分のスキルが生かせたことでモチベーション高く支援できた」という意見も寄せられました。

また、スキルが可視化されることで、接点のない社員も対象にして幅広く必要な人財を見つけられることも大きなメリットです。社内副業という小さなきっかけが組織を越えた横のつながりを生み出し、新しい価値創出に寄与していくことも考えられます。

「依頼する・しないに関係なく、社内にどんなスキルがプールされているのかを認識できるようになったことにも大きな意味があります。よりよいマッチングが今後大きなインパクトを生み出す可能性も秘めています」(長谷川)

実際に運用する中で、解決すべき課題にも直面しました。

「当初はスキルを辞書登録し、その中から選択する仕様でしたが、たとえば、グラフィックレコーディング、ドローン、ポルトガル語など、想定外のスキル登録に対応できませんでした。そこで、フリーワードで自由な登録ができるようにしたところ、今度は文字揺れの影響で検索にヒットしにくくなるという問題が発生しました。解決策として、現在はAIを用いたフリーワード検索を実現しています」(舛屋)

展望

人財活用の有効性を促進し、持続可能な経営へ

社員の声を拾い上げながら、さらに使い勝手のよいマッチングサービスの検討を進める日立ソリューションズでは、利用者がスキルを検索して相談や依頼を行うスカウト型にくわえ、利用者自身が相談対応を募集する公募型の機能を追加する予定です。また、蓄積されたマッチングログをもとに利用者と対応者のエンゲージメントを可視化する開発も進めていきます。

「社内向け副業マッチングサービス」では、社内の人財を有効活用するとともに人財流出を防ぎ、社員のスキルを生かした柔軟なキャリア形成や人財活用を促し、競争力のある持続可能な経営を促進していきます。

株式会社日立ソリューションズ

所在地 東京都品川区東品川四丁目12番7号 株式会社日立ソリューションズ
設立 1970年9月21日
従業員数 単独5,079名、連結14,818名(2024年9月30日現在)
事業内容 ソフトウェア・サービス事業、情報処理機器販売事業
URL https://www.hitachi-solutions.co.jp

この事例に関するソリューション・商品

導入事例ダウンロード

本事例の内容は2025年3月12日公開当時のものです。

最終更新日:2025年3月12日

最近見た商品一覧