スマートマニファクチャリングソリューション
“匠の技”をデジタル化して日本のものづくりを強くする方法
連載『スマートマニュファクチャリングの実現』#02
はじめに
前回は「OTとITの融合」について、問題を解決する鍵となるのがMES(製造実行システム)にあることをお話しました。今回は、日本の製造業の強みである“匠の技”を今後どのように継承すればよいのか、さらに日本のものづくりの強みをどのように世界へ展開しつつ競争力を維持すればよいのかについてお話しします。
“匠の技”をデジタル化して
暗黙知を形式知へ変換する
リーマンショックからようやく立ち直った日本経済ですが、少子高齢化による人手不足は30年前のバブル期を超えたらしく仕事の内容を選ばなければ職を得ることができる状況になっているようです。製造業においても人手不足は深刻な状況となり、自動車やハイテク、機械など産業の決算報告でも過去最高の売上・利益ですが人手不足による納期遅延や人件費高騰による収益の減少が懸念されています。特に製造現場では、技術者不足による影響が顕在化しています。日本のものづくりを支えているのは、『匠』と呼ばれる熟練度の高い技術者のノウハウです。10年、20年の経験と豊富で幅広い知識が“匠の技”の源泉です。『匠』が持つ技術の継承は、生産現場において直接指導による時間と手間をかけるやり方しかありませんでした。しかし、このやり方には限界があります。若手技術者は、『匠』の主観的で曖昧な指導に耐えきれず技術の習得をあきらめて転職や、職種転換してしまうケースが目立っています。海外工場では、言葉や価値観の違いから“匠の技術”の継承がさらに難しくなります。
こうした状況を打開する試みとして、筆者が所属しているIVIという学術組織では、“匠の技術”継承をIoTやデジタル化で突破口を開くという取り組みが行われています。ここでは、『匠』が持つ暗黙知を最新のセンサーなどを使ってデジタル化して具体的な数値やグラフでノウハウを可視化して形式知にしています。『匠』の気づきは、経験によるものですが、その要因は光や音、振動など複数要因から導かれた結果です。1つの情報が1つの判断につながるのではなく、複数情報から判断するポイントが絞り込まれていくのです。この絞り込みを数値や値で可視化して、若手技術者にもわかりやすく理解できるようにしています。こうしたデジタル化された情報をデータベースに蓄積するとともに、これをタブレットなどで簡単に検索して利用できるような仕組みを作っています。
(参考情報:IVI2016公開シンポジウムSpring資料より、WG211「人と設備の共働工場における働き方の標準化」 https://iv-i.org/docs/doc_160310_s4_4_211.pdf)
(参考動画:アナログからデジタルへの取り組み、匠の技術継承 https://www.youtube.com/watch?v=M61FUZbZrQs)
具体的なユースケース付き
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