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自動車業界で導入必須となりつつある「モデルベース開発」(MBD)とは?

2022年3月18日

自動運転化に向けた技術開発が進んでいる自動車業界。最先端の技術を最適な開発手法で進めることで、技術革新のスピードは飛躍的にアップします。そんな中で最近のトレンドになっているのが「モデルベース開発」(MBD)です。

そもそもモデルベース開発(MBD)とはどんな開発手法で、どのような導入メリットがあるのでしょうか。

齋藤 信

株式会社日立ソリューションズ
モビリティソリューション本部 オートモティブソリューション部
主任技師

モデルベース開発(MBD)の仕組み

モデルベース開発(Model Based Development=MBD)とは、シミュレーション技術を活用した開発手法のことです。

モデルが「動く仕様書」となり、処理がシミュレーター上で行われ、可視化されたその動きを実際に見て検証することができます。

モデルベース概要

モデルベース開発(MBD)のメリットや特長

モデルベース開発(MBD)には、どんなメリットや特長があるのでしょうか。

「手戻り」を極力減らせる

これまで自動車業界では、ハードとソフトの両方が揃わないと実車を動かせませんでした。つまり、開発したプログラムをハードウェアを利用してテストする、いわゆる開発の下流工程にならなければ、当初決めた規格や仕様が正しいのかどうかが確認できず、間違いが見つかった際には最初から開発をやり直す「手戻り」が発生していました。

モデルベース開発(MBD)では、開発の上流段階においてモデルが正しく動くのかを確認できます。上流の段階において動きを確認できるため、手戻りを極力減らせることがモデルベース開発(MBD)の最大のメリットです。

近年の車載ECU(電子制御ユニット)搭載数の増大とそれに実装されるソフトウェアの大規模化により、それぞれの機能のすり合せや仕様が複雑化してしまい手戻りリスクが増大しています。

従来の車両開発では1車種あたり3から5年かけて行われており、その期間で試作車両を5、6回作成していますが、手戻りが発生することで、車両完成の直前までソフトウェア開発がずれ込むケースも発生しており、開発コストが膨れ上がってしまう事例もあります。

今後の動向としては、自動運転に向けたECUの統合化、シミュレーションでの開発によるハードウェアの仮想化、リコール費用低減と機能追加による付加価値向上を目的としたソフトウェア更新(OTA)が進むと考えられています。

これらにより、機能横断した新たな機能の実装と開発期間の大幅な短縮、タイムリーなソフトウェアのリリースが期待されており、モデルベース開発(MBD)は「適用が望ましい手法」から「導入が必須な手法」へと変化しています。

膨大なシミュレーションが可能

自動運転レベルが上がっていくと、運転操作の判断を人間ではなくソフトウェアが行うようになるため、さまざまな走行シーンやトラブルを想定した膨大なシチュエーションを検証する必要があります。

これらをすべて実車でテストすることは到底できませんが、モデルベース開発(MBD)であれば無限大かつ、いい意味で「机上」で検証できることもメリットです。

自動運転(以下、AD)/先進運転支援システム(以下、ADAS)やコネクテッドカーの開発においても、すべての開発工程において実車テストで検証を行うことはもはやナンセンスな時代になってきています。

自動車業界でのモデルベース開発(MBD)の導入事例

自動車業界においてモデルベース開発(MBD)は、特にADやADAS、エンジンの開発で多く導入されています。

ADAS開発においては、踏み間違い防止機能やレーンキープ機能、衝突被害軽減ブレーキ、ACC(アダプティブ・クルーズ・コントロール)などで、ガソリン車のエンジン開発やEVのモーター開発などでも活用されています。

自動運転開発では、モデルベース開発(MBD)はすべての開発工程で使われるようになってきています。上流から下流まで3つのシミュレーション環境を組み合わせて使っていくことで、効果を発揮しています。

シミュレーション環境の種類

  • MILS(Model-In-the-Loop Simulation)
  • SILS(Software-In-the-Loop Simulation)
  • HILS(Hardware-In-the-Loop Simulation)

【ホワイトペーパー】モデルベース開発ソリューション3つの導入効果

モデルベース開発の多彩な導入実績をベースに、ソリューションの導入効果「手戻り防止と工数削減のbefore/After」「ライセンス費用を600万円以上も削減したケース」「テスト結果確認工数を1/14に圧縮」を紹介。

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