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カギはレビュー自動化!CASE新時代の「超速開発」に対応するために
2022年12月20日
レビュー担当者の過大な負荷は「リスク」
自動車業界では近年、「モデルベース開発」(Model Based Development)を導入する動きが盛んになっています。モデルベース開発とは、シミュレーション技術を活用した開発手法のことで、シミュレーター上で実際の動作を可視化して検証することが可能になります。
モデルをドキュメント化(要件定義)し、プログラムを開発してテストする——。モデルベース開発ではこの一連のサイクルが非常に速く進んでいます。しかしこの速さに合わせ、ドキュメントやソースコードのすべてを短時間でレビューすることに、多くの企業が苦戦しています。
レビューの専任担当者がいる場合もありますが、ただでさえ多忙なプロジェクトリーダーがレビュー担当を兼ねているケースもあり、レビューが必要なドキュメントやソースコードを計画通りにさばき切れない状況も頻繁に発生してしまっています。
例えば、7名の開発チームにおいてレビュー担当者が1人しかいないとします。特にモデルベース開発においてはレビューの遅れはプロジェクトの遅れに直結するため、レビュー担当者が抱える責任、そして負荷・ストレスは相当なものとなります。このような「綱渡り」の状況の中でプロジェクトを進めることは、リスク以外の何物でもありません。
こうした状況の中で活躍するのが、レビューの自動化システムの存在です。人間が担ってきたレビュー業務の一部をシステムやAIに担わせることで、人間が対応しなければならないレビュー業務の量を大幅に減らすことができます。さらに「浮いた時間」を人間でしか対応できない付加価値が高いタスクに充てることも可能になってくるため、プロジェクトの「質」も高まります。
たとえば当社の「プロジェクト可視化システム」を活用すると、ドキュメントレビューの一部を自動化することができ、まさに上記で触れたようなスピードアップと質の向上を同時に実現することができます。
システム導入でレビューのクオリティを均一化
レビューの一部をシステムに担わせることで、レビューのクオリティを均一化することも可能になります。
人間によるレビューの場合、担当者によっても、レビューする際の担当者の集中力によっても、レビューのクオリティにばらつきが生じます。また、レビュー時間をしっかり確保できず、ドキュメントにほとんど目を通さずにGOサインを出してしまうケースも実際に存在します。
しかし、特に上位仕様に関するドキュメントの場合、レビューで誤りが発見できないことは致命的になります。上位仕様に関するドキュメントは参照回数が多く、誤ったドキュメントの内容を前提にさまざまな下位仕様の開発が進められてしまうからです
ソフトウェアの開発工程だけに限らず、プロジェクトにおいては早め早めのレビューを行って改善していかないと、後工程になればなるほど修正が大変になってきます。例えば、「基本設計」の修正コストを1倍とすると、市場リリースされた後に見つかった不具合を修正するコストは200倍ほどになるケースもあります。
日経BP社「ソフトウェア開発201の鉄則」より抜粋
「AIに可能なレビューはAIに任せる」重要性
整理すると、ドキュメントのレビューは大きく以下の2種類に分類できます。
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人が必ず必要になるレビュー
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テクノロジーでスピードを上げるレビュー
1の「人が必ず必要になるレビュー」では、人間がしっかりとドキュメントを精査し、要件確認をして、品質を見定める必要があります。一方、2の「テクノロジーでスピードを上げるレビュー」では、AIなどを含めたシステムを使って定量的な評価を行い、検証が必要な箇所を洗い出し、ドキュメントの作成者に対する差し戻しを自動化できます。
人間によるレビューが必要になる部分は、プロジェクトの成果物の品質を高めるうえで実は一番重要な部分で、最も時間をかけるべきです。この記事でも既に触れたことですが、AIが担えるレビューはAIに任せることで、人間によるレビューが必要な部分にしっかり時間をかけることができるようになるわけです。
当社のプロジェクト状況可視化システムは、こうした観点で多くの顧客企業様に貢献できるよう、開発されました。次回は、実際にプロジェクト状況可視化システムが開発現場でどのように役立つのかを、具体的に紹介していきます。
高橋 昌志
株式会社日立ソリューションズ
モビリティソリューション本部 オートモティブソリューション部
技師
2008年 旧日立ソフトウェアエンジニアリング(現)日立ソリューションズに入社。
カーナビゲーションシステム、車載カメラ、車載ミリ波レーダー、車載ソフトウェアシミュレータ開発などのソフトウェア開発に携わり、2020年よりプロジェクト状況可視化システムの開発・拡販活動に従事。
関連ソリューション
プロジェクト状況可視化システム
AIを活用したドキュメント診断やソースコード診断により、品質の均一化を実現。日々のレポートにより品質不良や後期遅延リスクを早期発見し、手戻り防止や業務効率化を支援します。