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モデルベース開発(MBD)の導入において重要な3つの視点

2022年3月18日

車載ソフトウェアの開発において、モデルベース開発(MBD)を導入する際に担当者が持ち合わせておくべき視点は3つあります。「課題を明確にする」「目標を明確にする」「目標に見合ったアプローチかどうか」の3つです。それぞれの視点について、具体的に説明していきます。

齋藤 信

株式会社日立ソリューションズ
モビリティソリューション本部 オートモティブソリューション部
主任技師

「課題を明確にする」という視点

モデルベース開発(MBD)を導入したいと考えている担当の方が「自分たちは何を達成したいのか」「自社はどんな課題を抱えているのか」をしっかり把握できているケースは、決して多くありません。この点は、モデルベース開発(MBD)を導入したくてもなかなか導入が進まない1つの要因でもあります。

そして、企業がそれぞれ抱えている課題はたくさんありますが、すべてを一度に解決することはできないため、どの課題を解消すれば最も効果大きいのかを考え、課題の取捨選択しておくことも重要です。そうすればモデルベース開発(MBD)の導入を、狙いを定めてスムーズに進めることができます。

「目標を明確にする」という視点

開発環境を変えることはコストや手間や時間がかかります。そのため単に「開発効率を上げるため」といったような抽象的な目標では、モデルベース開発(MBD)の導入プロジェクトを進めるスローガンとしては弱く、社内で導入がなかなか進んでいきません。

一方、「開発手法をモデルベース開発(MBD)に移行することで、車の開発環境で試作車を4回作っている工程を3回に減らす」という具体的な目標はかなりのインパクトがあり、リアリティも伴っています。予算や人を動かすためにも、目標設定を明確にしてプロジェクトを動かしていく姿勢が大事なのです。

一方、徐々にシミュレーションの範囲を広げ、テストの自動化を進めていく場合であれば、「下流におけるテスト工数を半分または3分の1にする」といった目標設定でも良いでしょう。

ちなみにどちらの目標でも共通しているのは、問題を下流に持ち越さないということです。手戻りが起きるとしても、極力上流での手戻りにして、全体工程へのインパクトを小さくすることが重要です。

「目標に見合ったアプローチかどうか」という視点

決定した目標を達成するために重要なことは、めざす目標に見合ったアプローチができていることです。全体工程に関わる規模感の大きな目標を掲げているのにも関わらず、全体から見れば小さな課題にアプローチしているケースは、意外に多くみられます。

照準の定め方を誤れば、モデルベース開発(MBD)の導入を開始して1年が経ってもたいしたインパクトが出ず、「こんなはずじゃなかった」と導入プロジェクトが頓挫してしまいがちです。

そして、最初に掲げた目標に見合った適切なアプローチをしたうえで、いつ頃までにどのぐらいの成果を出すのか、といったKPI(成果指標/経過目標)を定めておくことも重要です。

モデルベース開発の導入に向けて

コンサルから独自のシミュレーション環境を活用したエンジニアリングまでモデルベース開発をサポート

モデルベース開発(MBD)ソリューションがカスタマーサクセスを実現

整理すると、モデルベース開発(MBD)の導入時に必要なことは、自社で解決すべき課題を見定め、その課題の解決のために具体的かつインパクトがある目標を設定し、その目標の達成に見合ったアプローチをすることです。

しかしこうした視点を持てたとしても、モデルベース開発(MBD)に関する専門知識が少ない状況では、企業が単独でモデルベース開発(MBD)やシミュレーション環境を導入していくのは困難です。

そんな中、日立ソリューションズはモデルベース開発(MBD)ソリューションを提供しており、「コンサルティング」から「環境構築」、「エンジニアリング」まで、上流と下流の両方において開発環境の改善を支援しています。

大規模なプロジェクト目標の場合は、コンサルティングを通じて上流工程から改善を進めます。一方、まず手戻りを減らすことを目標に掲げる場合は、シミュレーション環境の導入や当社独自の「時系列データ自動ソフトウェア」で対応しています。

時系列データ自動ソフトウェアに対する問い合わせは多く、開発環境や開発工程そのものを変えるような大規模な変化や変革がなくても、短期間で効率が向上し、手戻りが軽減しているという報告が多く寄せられています。

「課題を明確にする」という視点

導入しないでいることが「リスク」だという意識を

車載ソフトウェアの開発においてモデルベース開発(MBD)を導入せずにいると、特に開発スピードの面で競合他社に大きな差をつけられかねません。モデルベース開発(MBD)を導入しないでいること自体がリスクなのです。

自動車業界はいま電動化や自動運転化という大変革の真っ直中であり、既に技術やソフトウェアも研究開発から実用化・商用化のフェーズに入っています。この重要な時期に他社との開発競争で不利にならないよう、真剣にモデルベース開発(MBD)の導入を検討すべきではないでしょうか。

齋藤 信

株式会社日立ソリューションズ
モビリティソリューション本部 オートモティブソリューション部
主任技師

車載機器の設計開発会社を経て、2005年に旧日立ソフトウェアエンジニアリング(現)日立ソリューションズに入社。カーオーディオ、メーター、ナビゲーションシステム、ADASシステムなどのソフトウェア開発に携わっており、2019年よりモデルベース開発ソリューションの立案・計画・開発・プロモーション活動に従事。

モデルベース開発の導入に向けて

コンサルから独自のシミュレーション環境を活用したエンジニアリングまでモデルベース開発をサポート

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