マルチレイヤ監視ソリューション ThousandEyesの導入事例
株式会社JR東日本情報システム様一気通貫型のネットワーク監視ツールを導入して広大な管内で起きるネットワーク障害を迅速に解決
JR東日本(東日本旅客鉄道株式会社)グループを支えるさまざまなシステムの開発・運用を担当する株式会社JR東日本情報システムは、広大な管内で発生するネットワーク障害への対応を迅速化する目的でマルチレイヤ監視ソリューション「ThousandEyes」を導入。かつては2カ月ほどかかることもあった原因究明作業を、たった数分への短縮化に成功しました。今後はIaaS監視などにも活用していく考えです。
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背景
「ネットワークが重い」への対応が課題
東日本旅客鉄道株式会社の情報システム子会社である株式会社JR東日本情報システム(以下、JEIS)は、JR東日本グループのシステム開発~運用・保守まで一貫して携わっている企業です。2系統の専用線ネットワーク上で稼働しているシステムの数は、およそ140。JR東日本管内(東北・関東・甲信越地方)を結ぶ広域LANの管理も、同社が一部担当しています。
このような業務に携わるJEISにとって、「スローダウンなどのネットワーク障害にいかにすばやく的確に対応するか」が従来の課題となっていました。
「大きな障害といえる程度のものは、年に1回あるかないかです。しかし、かなり小さなものまでを含めると、2日に1回はなんらかの問い合わせが支社や駅などの現場から寄せられていました」(保坂氏)
「『なんだか重い』という感覚的な訴えでは状況が把握しづらく、再起動や機器交換によって改善した結果の共有も曖昧になってしまいます。そのため、状況を数値で表せるようにしたいと思っていました」(中田氏)
また、JR東日本の管内は広いので、調査や機器交換のために現地に赴くだけでもかなりの時間を要します。業務ごとに複数のチームがネットワーク監視ツールを使い分けていたという事情もあって、問題の全体像を把握するのが難しく、場合によっては解決までに数カ月を要することもありました。
取り組み
リモート監視に強い「ThousandEyes」を採用
鈴木 順一 氏
これらの課題の解決をめざして、JEISはネットワーク障害にもっと円滑に対応できるソリューションをIT関連の展示会などで調査しました。同社が特に重視した機能要件は、「通信品質の数値化」と「状況の可視化」の2つでした。候補選定の過程で浮上したのは、一気通貫でネットワークを可視化できるマルチレイヤ監視ソリューション「ThousandEyes」でした。
「当社がそれまでに使ったことがあるSNMP監視、死活監視、フロー監視などとまったく違う方式で期待が持てました。GUIに優れ、直感的に使えると思いましたし、ネットワーク層とアプリケーション層のどちらで遅延が起きているのかを可視化できるのも良い点でした」(中田氏)
「Webポータルから『ThousandEyes』クラウドにアクセスして利用するので、在宅勤務でのリモート監視にもぴったりだと思いました。インターネット上にあるオフィススイートの監視に使えるのもポイントでした」(保坂氏)
JEISは日立製作所・日立ソリューションズの支援を受け、2020年11月にトライアルを開始。対象はいくつかの業務システムとオフィススイートです。
「トライアル中にオフィススイートの速度低下が起きたのですが、原因がプロキシサーバーだとすぐに特定できました」(保坂氏)
「この結果に十分満足したので、採用を正式に決定しました。データセンターと12支店にエンタープライズエージェントを設置し、2021年3月から正式に使用を開始しました」(鈴木氏)
効果
ベストケースでは数秒で障害原因が判明
中田 寛純 氏
業務システムとオフィススイートのネットワーク監視に「ThousandEyes」を適用することによって、JEISはネットワーク障害を一気通貫で可視化し、迅速かつ的確に対応できるようになりました。
「現場から問い合わせがあったら、『ThousandEyes』クラウドにログインしてチェックするだけで、数秒もあれば原因が判明します。『ThousandEyes』の表示内容を障害報告書に貼り付けて使うこともできるので、障害内容と改善状況を伝えやすく、それらの事務作業も含めて対応工数と時間を大幅に削減できました」(中田氏)
「当社が扱っているのは社会インフラに直結したシステムです。トラブル発生時にはスピーディーな報告と解決が求められます。『ThousandEyes』のおかげで対応品質が向上しました」(鈴木氏)
このほか、現地に行かなくてもリモートで対処できることも、調査時間の短縮に大きく貢献しています。ネットワーク障害の調査ツールを「ThousandEyes」に一本化したことによって、社内ネットワークを使うすべての業務システムだけでなく、インターネットのサービスについても同じ方法で対応できるようになりました。
展望
クラウド化に合わせてIaaS監視にも活用
保坂 新太郎 氏
JEISにとって「ThousandEyes」は、システム統合管理ツールとは別の、ネットワーク障害への緊急対応ツールという位置付けで、「端末~データセンター」と「データセンター~インターネット」の2経路を調査するために使われています。
「今後は費用対効果を見ながらJR東日本グループ内に展開していく予定です。さらに、業務システムのクラウド化に合わせて、IaaSに対する監視能力も強化していこうと考えています」(中田氏)
「オンプレミスと専用線の利用が残る当社にとって、パブリッククラウドとインターネットは新たなチャレンジです。日立製作所・日立ソリューションズは、常に積極的にサポートしてくれて、信頼しています」(保坂氏)
「数多くのシステムを開発・運用している当社は、インシデント対応だけでなく、運用コスト抑制にも力を入れています。そうした課題の解決に役立つ運用管理ソリューションの提案など、日立製作所・日立ソリューションズの協力をこれからも期待しています」(鈴木氏)
JR東日本グループのシステムと東北・関東・甲信越地方に広がる広大なネットワークを開発・運用することが、JEISのミッションと捉えています。それらを支えるIT基盤の質を高めるべく、日立ソリューションズはこれからも日立製作所と連携し、JEISを支援してまいります。
クラウドとネットワークを一元監視・可視化
- ハイブリッドネットワーク、クラウドインフラ、ユーザー体験のマルチレイヤを一気通貫で監視
- ネットワークのすべての経路を可視化し、アクセス障害が発生している地点をピンポイントで指摘
- クラウドサービスとオンラインサービスの品質を顧客視点および従業員視点でアクティブに解析
株式会社JR東日本情報システム
所在地 | 東京都新宿区大久保三丁目8番2号 新宿ガーデンタワー7F | |
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設立 | 1989年11月24日 | |
従業員数 | 1,611名(2021年4月1日現在) | |
事業内容 | ●情報処理システムの企画・提案・設計・開発及び運用 ●情報処理システムに係るコンサルティング ●ICT機器に係る機器等の開発、製作、保全及び販売 ●ICT機器の設置及びこれに付帯する工事の請負 |
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URL | https://www.jeis.co.jp/ |
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本事例の内容は2021年12月14日公開当時のものです。
最終更新日:2021年12月14日