安全保障貿易管理ソリューションの導入事例
オリンパス株式会社様システムの導入だけでなく、組織・業務改革の取り組みとして実施。
1919年(大正8年)の創立以来、社会に向けて新しい価値を創造するという精神を受け継ぐオリンパス。
今回ご紹介する「安全保障貿易管理トータルソリューション」は、単にシステムを導入するというだけでなく、組織も、業務のやり方も変える取り組みとして実施されました。
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導入の背景
審査の承認ルートが長く、時間がかかり、多くの無駄やロスが発生
江崎 仁 氏
オリンパスには、医療、科学、映像という3つの事業があり、研究開発、製造という機能を持った部門があります。安全保障貿易管理についてはそれぞれが専門の組織を持ち、審査を行っていましたが、これとは別に全社を対象とする貿易管理部も存在し、独自の審査も実施していたため、業務の重複や長い承認ルートにより、時間がかかっていました。さらには人手による作業が中心となることや、審査のためのデータベースも個々に保有・管理していたため、多くの無駄やロスが発生していました。
「審査・承認する立場の役員は、皆とても忙しく、海外出張なども多い。すると審査書が一週間印鑑を押されないまま滞ってしまうことも、日常的に起こっていました」(江崎 氏)
オリンパスでは、こうした課題を解決するため、業務の改革とそれを支援するための安全保障貿易管理システムの構築という2つのテーマを持って取り組んでいきました。
選定までの経緯
輸出管理業務への理解度、グローバル対応、システム構築力で、日立ソリューションズを選定
浅野 政司 氏
プロジェクトは、まず予備調査からスタートしました。
社内で使われている伝票の種類など、必要な情報を、各担当部署にヒアリングして集計。市場に流通している各社のパッケージ製品をリストアップし、機能や操作性、社内業務の適用をシミュレーションしながら、イメージの具体化を進めていきました。
その後、システム要件をまとめたRFPを作成。ベンダ数社に声をかけプレゼンテーションを依頼し、その結果選定されたのが日立ソリューションズでした。高く評価したポイントは、以下の3つです。
●評価ポイント1:輸出管理業務への理解度
「我々にとって今回のプロジェクトは、システムの導入だけではなく、輸出管理の仕組みそのものをどう変えていくのか、が真のテーマです。
仕組みの裏側に、その仕組そのものが想定している仕事のやり方とか組織のあり方とかというものがあり、それが大事になってきます。その点、日立ソリューションズは、輸出管理の業務をきちんとわかっている。システムをモノではなくて、仕組みとして捉えた提案になっていました」(澤田 氏)
●評価ポイント2:グローバル対応
「海外グループ企業への導入実績があるということで、どうマネジメントしてシステムに落としこんでいくか。そのような導入経験やノウハウが、将来的にシステムをグローバルに横展開していく上で、活きてくるだろうという印象を持ちました」(浅野 氏)
●評価ポイント3:システム構築力
「オリンパスは、以前から日立ソリューションズに開発、運用をお願いしているシステムがあり、今回導入するシステムとも連携する必要がありました。提案内容にはその連携についても具体的な実現方法が記載されていたため、弊社が細かい指示を出さなくても、日立ソリューションズ内部で検討をすすめていただけていました。そういうシステム構築力のある、信頼できるパートナーであると認識しました」(浅野 氏)
導入時の取り組み
組織も、業務のやり方も変えてしまう取り組みだけに、納期を厳守
澤田 龍治 氏
安全保障貿易管理システムの構築は、SAP連携をスムーズに進めるためのIT本部との協調、輸出管理に関わる組織・業務を改革するための各層・各部署への説明・調整などと並行して実施していきました。
「そういう意味では、日立ソリューションズが納期を厳守していただけたというのがすごく大きいですね。
単にシステムを導入するというだけでなく、組織も、業務のやり方も変えてしまう取り組みです。それだけに、やると決めた時期にやらないと効果も低減するし、ハードルも上がってしまう。だからこそ、とにかく納期に間に合わせなければならない。そういう条件にこたえていただけたことが、とても助かりました。
そして日立ソリューションズは、実務をよくわかっているので、業務の効率を上げるための施策をお願いすると、こちらがやろうと思っていること、仕様書に書ききれないような細かい部分まできちんと汲み取って、こちらの能率を上げるようなカタチでシステム仕様の提案をしてくれます。
また、これまでの導入経験で培ったノウハウから、我々がどのように落とし込むべきか、という取り組みを、全面的にきめ細かくサポートしていただけた。我々にとってみれば、業務のアドバイザーのような非常に頼れる存在でした。心強く、ありがたいと思っていました」(澤田 氏)
導入の効果
審査業務の効率もスピードも上がり、所要時間が1/3から1/4に短縮
斎田 伸夫 氏
安全保障貿易管理システムの導入と管理業務の改革により、仕組みや機能の重複を解消。これまで発生していた無駄やロスは一掃されました。
「審査の業務としては、従来の紙を使った人手による業務から、電子データでの処理・承認になり、効率もスピードも上がりました。SAPとの連携で出荷までの流れもスムーズになり、滞ることもありません。所要時間でいえば、1/3から1/4くらいに短縮できたのではないでしょうか」(斎田 氏)
また、効率化・スピード化は、要員の配置や割り当てなどにも効果を発揮しました。
「今まで開発や営業のスタッフ、役員などが分散してやっていた業務を、専任のスタッフがまとめて実施できるようになり、精度も効率も飛躍的にアップしました。ノウハウも蓄積できるようになり、業務の標準化にもつなげることができました」(澤田 氏)
「私のようなマネジメントする立場から見ると、もっと変わったのは安心感ですね。色々なシステムに分散した情報が集約されたことで、いま何が起こっているのか、すぐにわかるようになり、何をすべきかが明確になる。輸出の可否や、相談などの記録も一元的に残すことができるようになりました。これにより、これまで分散しているがゆえに人手に頼っていた部分があり、潜在的にあったミスのリスクが大きく減り、経営面での安心感が飛躍的に上がったと評価しています」(江崎 氏)
今後の展望
海外拠点への横展開など、様々な施策を計画・検討
第1フェーズを終えたオリンパスでは、より効率的に業務を運用するための仕組みの導入や海外拠点への横展開によるグローバルビジネスへの適用など、様々な施策を計画・検討しています。
「そのためには、まず日本国内での足場をしっかり固めること。効率化を図り、業務の精度をさらに高めていくこと。そして、輸出管理業務を担う専門職や、該非判定・お客様取引を審査をするスペシャリストの長期的な育成が大事になってくると考えています。 そういう意味でも、今回システムというモノをただ売るのではなく、これを活用するノウハウを提供してくれる業務改革パートナーであった、日立ソリューションズに、今後も期待しています」(江崎 氏)
オリンパス株式会社
オリンパスの社名の由来は、ギリシャ神話の神々が住むと言われるオリンポス山(Mt. Olympus)。創業当時の社名は「株式会社 高千穂製作所」でしたが、日本の神話では高千穂の峰に八百万の神がいる高天原があると言われており、神の山に結びつけて当時から「オリンパス」を商標として使用していました。
「オリンパス」には高天原の光が世界を照らすように、光を根源とするオリンパスの製品が世界に行き渡るように、世界に通用するようにという熱い思いが込められています。
本社所在地 | 東京都新宿区西新宿2-3-1 新宿モノリス | |
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設立 | 1919年(大正8年)10月12日 | |
連結従業員数 | 33,336人(2016年3月31日現在) | |
事業内容 | 精密機械器具の製造販売 | |
URL | http://www.olympus.co.jp/ |
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本事例の内容は2016年12月14日公開当時のものです。
最終更新日:2016年12月14日