安全保障貿易管理ソリューションの導入事例
株式会社リガク様手作業が多かった輸出管理業務をシステム化。コンプライアンスを強化し、業務効率向上を実現
X線回折装置などの専門メーカーであるリガクは、海外ビジネスを強化する経営戦略に沿って、輸出管理業務の見直しに着手しました。手作業が多かった従来の方法を、「安全保障貿易管理ソリューション」でシステム化することにより、コンプライアンスとガバナンスを強化し、法令や懸念リスト変更時の迅速な対応を可能にしました。ワークフロー化と審査情報の一元管理によって、業務効率も高まっています。
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背景
海外強化戦略のために輸出管理を統制
糸賀 誠 氏
東京都昭島市に本社を置く株式会社リガクは、X線回折や熱分析などの科学機器を製造・販売する専門メーカーです。米国や中国、欧州などへの輸出も多く、2021年3月期には総売上高に占める輸出額の割合が60.1%に達しました。
一般に、輸出をする企業には、外国為替及び外国貿易法(外為法)に定められた輸出管理をする義務があります。そのために同社が行ってきたのは、営業部門やサービス部門の担当者が Microsoft Word 形式の審査申請書をファイルサーバーの特定フォルダに置くと、輸出管理の担当者がそれを取り出して目視検査と Microsoft Excel のマクロを併用してチェックするという方法でした。
「海外ビジネス強化という経営戦略を推進するには、輸出管理をしっかりやる必要があります。しかし、 Word と Excel を使ったチェックは人に依存しますし、結果を改ざんされるリスクも否定できません。コンプライアンスとガバナンスを強化するには、ワークフローを含めてシステム化をすべきだと考えました」(糸賀氏)
頻繁に変わる輸出規制に追随していくのは大変な労力がかかるうえ、日本の外為法だけでなく米商務省の輸出管理規制(EAR)に関する情報も常に手に入れる必要があるため、人に依存する方法から脱却する必要性は高まりました。
取り組み
採用の決め手は法令改正時の対応と豊富な導入実績
竹原 博 氏
輸出管理をシステム化するプロジェクトがリガクで始まったのは、2020年12月のことです。プロジェクトの目標は、輸出管理についてのコンプライアンスとガバナンスを強化することです。業務特化型のソフトウェアパッケージを導入し、できるだけカスタマイズしないで使うという大方針も決めました。法改正や懸念リスト変更に対応する保守サービスがあることも条件です。
「候補製品はいくつかありましたが、輸出管理の基本機能について大きな差はありませんでした。しかし、日立ソリューションズの『安全保障貿易管理ソリューション』は米国EARの管理機能および法令改正時の対応が充実しており、それを利用して業務を行っている実績が多くあることの安心感が採用の決め手となりました」(糸賀氏)
2021年4月には構築プロジェクトがスタートし、システム導入は日立ソリューションズが行い、リガクは顧客約5,500社と該非判定履歴約4万数千件におよぶ既存データの移行作業を担当しました。
「パッケージに合わせて業務プロセスを変える必要があったため、営業と工場の担当者向けに説明会を20回ほど実施しました。まず、輸出管理の考え方を知ってもらい、次に『安全保障貿易管理ソリューション』の概要、最後にオペレーション実習という3ステップで、理解を促しました」(竹原氏)
効果
コンプライアンスとガバナンスを強化
油上 恵子 氏
約6カ月の構築期間を経て、同社では「安全保障貿易管理ソリューション」を2021年10月4日から正式に使い始めました。
ワークフローに沿って行われた審査のプロセスと結果がシステムに記録されるようになったこと、承認から出荷までの間に顧客が懸念リストの掲載対象になったりすると、自動的にアラートが出るようになったことなどから、リスクマネジメント体制が強化されました。
「まずは開発・設計部門などで該非判定を行い、その後に貿易管理室でも審査する、というダブルチェックの体制も整えました。これによって、業務を効率化しながらも、コンプライアンスとガバナンスを強化することができました」(油上氏)
輸出管理業務の属人性が解消され、システムの使い方や運用の手法がドキュメント化されたことにより、異動などの際における引き継ぎ業務が楽になったという効果もありました。
「複雑な Excel マクロのメンテナンスが不要になり、マイクロソフトのバージョンアップを気にしなくてよくなったことも成果の一つです」(竹原氏)
展望
CRMやPLMとの連携をめざして
ひとまずの成果を確認したリガクは、「安全保障貿易管理ソリューション」をさらに活用するため、次のステップにとりかかっています。既に完了しているのは、グループ企業に利用を開放するためのシステム変更です。
また、より一層の業務効率向上が望める機能の追加を日立ソリューションズに要望しました。
将来的には、「安全保障貿易管理ソリューション」をCRMやPLMと連携させる構想もあります。CRMと連携すれば、顧客管理と輸出管理でデータを二重に入力している無駄を省くことが可能になります。さらに、部品ごとの審査結果をPLMに登録しておくことができれば、設計・開発時の該非判定を早期に実施できます。
「日立ソリューションズはわれわれのやりたいことを深く理解してくれて、システムでどのように実現するかを提案してくれます。常に協力的な姿勢で寄り添ってくれたSEの担当者には感謝しています。サポート体制のさらなる充実を含め、これからも期待しています」(糸賀氏)
輸出管理は、製品を海外へ輸出している企業にとって欠くことのできない業務です。厳格化と効率化を両立させるために、日立ソリューションズはこれからも「安全保障貿易管理ソリューション」の質を高めていきます。
輸出管理を厳格に実施しながら業務も効率化
- あいまい検索で顧客名と懸念リストを的確に照合
- 政省令の改正と各種懸念リストの更新に迅速対応
- 濃淡管理に対応した取引審査機能で業務を効率化
株式会社リガク
所在地 | 東京都昭島市松原町3-9-12 | |
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設立 | 1951年12月6日(理学電機株式会社として) | |
従業員数 | 約810名(単体)、約1,550名(連結) | |
事業内容 | X線回折・X線分析・熱分析・X線非破壊検査・半導体関連などの科学機器を製造・販売 | |
URL | https://japan.rigaku.com/ja/ |
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本事例の内容は2022年6月17日公開当時のものです。
最終更新日:2022年6月17日