デジタルマーケティングソリューション
CMSとは?初心者でもわかるCMSの種類、メリット、導入事例【おすすめは?】
デジタルマーケティングを実践しようとすると、多くの場合その中核的な役割を果たすのがWebサイトです。
これまでデジタルマーケティングに注力していなかった企業では、Webサイトの大幅な改修やフルリニューアルを必要とするケースが少なくありません。そんなとき、必ずといっていいほど「どの『CMS(Contents Management System)』を使用して、Webサイトを構築するのか」という点が検討課題となります。
今回は、CMSの基礎知識、メリットとともに、最新動向、導入事例を紹介していきます。Webサイトの規模や運用目的などによって、最適なCMSは異なります。それぞれに合ったCMSを選ぶためのヒントにしてください。
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デジタルマーケティングソリューション
お客さまを中心としたマーケティングの取り組みに、各種プロダクトやサービスを効率的に運用。企業にも、消費者にも、価値を提供できるSIベンダーならではのデジタルマーケティングソリューションです。
そもそもCMSとはどんなもの?
「CMS」とは、「Contents Management System:コンテンツ・マネジメント・システム」の略で、簡単にいうとWebサイトのコンテンツを構成するテキストや画像、デザイン・レイアウト情報(テンプレート)などを一元的に保存・管理するシステムのことです。といっても、Webサイトの制作・構築に携わったことのない方には理解しづらいかもしれません。
そこで、CMSを導入していないWebサイトと、CMSを導入したWebサイトのごく一般的な仕組みの違いを簡単な図にまとめました。
■CMSを「導入していない」Webサイト
■CMSを「導入している」Webサイト
CMSを導入していないWebサイトでは、「1ページずつ完成形のWebページのデータを作成し、それを保存・管理している」
CMSを導入しているWebサイトでは、「データベース上に個別に保存されている画像やテキスト、テンプレートなどのデータを、CMSが必要に応じて取り出して、Webページを自動的に生成している」
と考えるとイメージがしやすいでしょう。
※画像、テキスト、テンプレートなどのデータを保持する仕組み、Webページを生成する仕組みは、CMSによって異なります。
CMSを導入してWebサイトを構築するメリット
それでは、CMSを導入してWebサイトを構築すると、どのようなメリットを得られるのでしょうか。
ポイントはCMSを導入すると、「データベースに保存されているデータを編集することで、Webページが自動的に生成される」「データベース上のデータを編集するためのインターフェースが用意される」という点です。
【メリット1】専門知識なしでWebページの更新・追加が可能になる
例えば、Webページの文章を一文だけ変更したいというケースを考えてみましょう。この場合、CMSを導入していないWebサイトでは、HTMLの記述を直接編集しなければならず、たった一文を変更するだけでもHTMLに関する専門知識が必要になります。もし、Webサイトの管理担当者がHTMLについての知識を持っていなければ、Web制作会社に作業を依頼しなければなりません。
一方、CMSを導入しているWebサイトでは、CMSのインターフェース上で、データベースに保存されているテキストデータを編集するだけで、Webサイトの更新が可能になります。HTMLについての専門知識も、Web制作会社への外注も不要です。
また、すでに存在しているテンプレートを流用するのであれば、新しいページの追加も難しくありません。テンプレートを指定し、そのテンプレートに必要な画像やテキストのデータを登録するだけで、CMSが自動的にページを生成してくれるからです。
Webページの更新・追加を社内で完結できるようになれば、外注に伴って発生するコストも工数も大きく削減でき、ユーザーに対してスピーディーに情報を発信できるようになります。CMSなしでは1週間かかっていた作業が、1時間で完了するようになるというケースも少なくありません。CMSを導入する大きなメリットといえるでしょう。
■CMSを使用したWebページの更新イメージ
【メリット2】Webサイト運用の分業化を推進できる
企業のWebサイトでは、ページごとに管理担当部門が異なることが少なくありません。
例えば、製品・サービス情報の紹介ページはマーケティング部門が、会社概要やIR情報のページは広報部門が管理するといった形です。しかし、各部門にWeb制作・運用に対するリテラシーが高い社員がいるとは限りません。そのため、ページの更新・追加の際には、わざわざWebサイト運用の部門に依頼をし、Webサイト運用部門から、Web制作会社に対して外注、さらにできあがったページを管理担当部門が承認するという体制になっている企業も多いようです。
CMSにはこのような煩雑な運用フローを簡潔にするというメリットもあります。
第一に、CMSを導入することでHTMLやCSSなどの専門知識がない社員でもWebページの更新・追加が可能になるため、管理担当部門が直接ページの更新・追加をできるようになります。
さらに、一般的なCMSではアカウントごとに各ページに対する編集・承認権限を割り当てることができます。つまり、「ページごとに、管理担当部門だけが、直接ページの更新・追加できる」という、適切かつ安全な分業体制を構築できるわけです。
しかも、CMSを活用してWebページの更新・追加をする場合、既存のテンプレートを流用するか、既存のデザインコンセプトをベースに新しいテンプレートを作成するのが基本となります。そのため、ページごとにデザインやユーザーインターフェースに大きな乖離が生まれてしまうというリスクを避けることもできます。
【メリット3】マルチデバイスへの対応が容易になる
CMSの導入はWebサイトのマルチデバイス対応にも効果を発揮します。
Webページに必要なマスター画像やテキストなどのデータをデータベースに保存しておけば、そのデータを閲覧デバイスに対応したテンプレートに適用することが可能だからです。
1セットの画像やテキストデータを元に、パソコンからのアクセスにはパソコン用のテンプレートで生成されたWebページを表示、スマートフォンからのアクセスにはスマートフォン用のテンプレートで生成されたWebページを表示といった仕組みを簡単に構築できます。
■CMSを使用したマルチデバイス対応のイメージ
そのほかCMSには、「SEO対策が容易になる」「パンくずリストやメニューの更新・追加といった定型的な作業を自動で処理してくれる」「ユーザーの行動履歴に応じてレイアウトを自動で変更できる」「複数の言語のWebページを一元管理できる」「編集履歴を確認できる」などといったメリットもあります。
※CMSが搭載している機能は製品によって異なります。
CMSの種類と特徴【おすすめはどれ?】
ここまでCMSの基本的な仕組みとメリットを紹介してきました。しかし、ひとくちにCMSといっても、世の中にはさまざまな種類のプログラム、製品が存在しており、CMS導入の効果を最大限に得るためには、自社のWebサイトにとって最適なCMSを選ぶ必要があります。続いては、CMSの大まかな分類とその特徴について紹介していきます。CMS選びのヒントにしてください。
オープンソース型CMS(小規模サイト向け)
CMSのプログラム本体のソースコードが一般に公開されているCMSです。ライセンス費用がかからないため、安価に導入することができます(Webサイトのデザインやテンプレートの制作・開発、サーバーへのインストールなどをWeb制作会社に依頼する場合は別途費用が発生)。また、汎用的なプラットフォームになっているので、デザインやテンプレートのカスタマイズも比較的、容易です。
ただし、多くのオープンソースCMSは企業での商用利用を前提として設計されていません。そのため、数千から数十万ページに及ぶような中から大規模サイトには向いていないといわれています。また、公式なサポートは存在せず、プログラムそのものの不具合、脆弱性についてはすべてが自己責任となります。
【代表的な製品】
WordPress、Joomla!、Drupal、Concrete5 など
商用パッケージ型CMS(中から大規模サイト向け)
システムベンダーが商品として販売しているCMSです。ベンダーによる公式なサポートを受けられること、不具合、脆弱性などに対する保証があることが大きなメリット。基本的に、企業での商用利用を前提として開発されているので、中から大規模のWebサイトにも対応できる製品が揃っています。
オープンソースCMSに比べて劣るのはコスト面です。ライセンス費用がかかり、多くの場合、導入するWebサイトの規模に応じてコストが上昇していく仕組みになっています。また、Webサイト構築時の初期費用もオープンソース型CMSに比べて高くなるケースが多いようです。
【代表的な製品】
・中規模サイト向け(数千から数万ページ程度):HeartCore、NOREN など
・大規模サイト向け(数万ページ以上):Sitecore、Adobe Experience Manager など
フルスクラッチ型CMS
構築するWebサイトに合わせて独自に開発されたCMSです。自社システムとの緊密な連携が必要な場合や、独自の機能を盛り込んで複雑なカスタマイズを行いたいときに開発・導入を検討するものといえます。システムベンダーと連携し、一から設計・開発を行うことになるため、導入費用は高額になり、導入までの期間も長くなりがちです。
CMSは上記のほかに、Webページ生成の仕組みによって「静的CMS」「動的CMS」に分類されるほか、Webサイトの用途に応じて「汎用CMS」「EC用CMS」といった分け方もあります。また、オープンソース型CMS、商用パッケージ型CMSにも、製品による得意、不得意があり、一概にどのCMSが優れているとはいえません。Webサイトの構築にあたってCMSを導入する際は、RFPを提示して、Web制作会社やシステムベンダーに最適なCMSを提案してもらうのが無難です。
WordPressと他CMSとの違い
CMSの中でもWordPressは飛び抜けたシェアを誇りますが、そのほかのCMSとは何が違うのでしょうか?WordPressは次のような特徴があることから、ほかのCMSに比べて多くの支持を得ています。
- ・費用を抑えられる
- ・専門知識がなくても使える
- ・カスタマイズしやすい
- ・更新や引き継ぎが容易
サーバーのレンタル費用やドメイン代はかかるものの、WordPressのシステムそのものは無料で使えます。ほかのCMSにも無料のものはありますが、それらに比べてWordPressは拡張性に優れています。
また、WordPressはHTMLやPHPなどの専門知識がなくても問題ありません。さまざまなテンプレートを利用してWebサイト制作ができるためです。
くわえて、WordPressはプラグインと呼ばれる「拡張機能」が豊富です。プラグインをインストールすれば、Webサイトをより使いやすくできます。そのほか、WordPressの操作方法を解説したWebサイトはたくさんあるため、ほかのCMSよりも更新や引き継ぎがしやすいことも特徴です。
マーケティングツールとしての進化を遂げるCMS
従来、CMSはWebサイトの運用を効率化するためという意味合いが強いものでした。しかし近年、Webサイトを中心とするデジタルマーケティングに注力する企業が増える中で、CMSの役割に大きな変化が見え始めています。それが「CMSのマーケティングツールとしての進化」です。
例えば、CMSのひとつである、「Sitecore Experience Platform」(CMSと「MA(Marketing Automation:マーケティング・オートメーション)」の統合ソリューション)には、「どのようにサイトに流入し、コンバージョンに至ったのか」「どのページのトラフィックが大きく、コンバージョンに寄与しているのか」といったアクセス解析機能はもちろん、BtoBマーケティングにおいて非常に重要となる、リード情報のスコアリング機能が搭載されています。MAシステムとの連携を行えば、より効果的な対面営業、メールマーケティングが可能になるでしょう。
さらに、「CRM(Customer Relationship Management:カスタマー・リレーションシップ・マネジメント)」システムとの連携も可能。ユーザーのWebサイト上での行動と、CRMシステムに格納されている性別、住所、購入履歴などの情報を組み合わせて、ユーザーごとに最適化されたWebページを表示することができます。完全とはいえないまでも、Webサイト上での「One to Oneコミュニケーション」が実現しつつあるのです。
それでは、次にCMSの具体的な成功事例を見ていきましょう。
■CMS成功事例①:製造業 D社 (NOREN)
D社では、コーポレートサイトのリニューアルにあたって、「NOREN」というCMSを導入しました。背景にあったのは、CMSの導入によって「情報発信力とブランディングが一緒に成長するWebサイト」を構築できるはずという期待です。あわせて「誰にでもコントロールしやすいWebサイトにしておくことが重要」であると考えたともいいます。
CMS導入後は、承認フローも取り入れ、作業分担が進展。各担当者が執筆から公開までのオペレーションをする体制を採用したことで、Webサイトの運用に対する意識も変化しました。例えばニュースリリース担当者は、「読者に見えるページの印象をイメージでき、どう伝えるか、どうアピールするかを記事の編集段階から熟考するようになった」といいます。CMSの導入による、Webサイト運用の利便性向上が、情報発信力の強化につながっているのです。
コーポレートサイトのリニューアルに続いて、事業部が管理するWebページのリニューアルに着手。マーケティングや企業ブランディング、ソーシャルメディアを利用したプロモーション展開などを行うC&I事業部のリニューアルでは、コーポレートサイトのリニューアルで基礎となるテンプレートができていたため、サイト設計にかける時間を十分に確保可能に。サイト設計を見直したうえで、コンテンツも新たに制作し、将来の事業展開をも見据えたWebブランディング強化を実現しています。
■CMS成功事例②:流通・小売業 T社(Sitecore Experience Platform)
T社は「Sitecore Experience Platform」というCMSを導入しています。Sitecore Experience Platform以前にも、ほかの商用パッケージ型CMSやフルスクラッチでのCMS開発・導入を実施していたのですが、社内から「取扱商品点数に制限があって困る」「自分たちの望む施策を打てる機能がない」といった不満の声が上がったほか、フルスクラッチで開発したCMSには「レスポンスの遅さ」という問題があり、Sitecore Experience Platformの導入に至りました。
Sitecore Experience Platformの導入後には、安定稼働、利便性の向上、マルチデバイス対応のほか、内部検索エンジンやレコメンドエンジンなど多数のシステムとの連携も実現。なかでも最も大きな効果につながったのが、Webサイトの安定稼働です。Webサイトが安定稼働することで、キャンペーンやクーポン配布などの現場が計画した施策を速やかに実装・実施できるようになり、オンライン事業が大きく成長しました。Sitecore Experience Platformの導入後3年間で、同社のEC売上は倍以上にまで増加したといいます。
まとめ
今回は、CMSの基礎知識にくわえて、マーケティングツールとしての有用性について紹介してきました。D社やT社のように、単なるWebサイト運用の効率化だけでなく、ブランディングや売上増大を目的としたCMSの導入事例は増加の一途をたどっています。今後のデジタルマーケティングの核となるのがCMSであるといっても過言ではありません。
ただし、CMSの導入にあたっては1点だけ注意が必要なポイントがあります。それは、パートナー選びです。十分な知識を持たず安易にCMSを導入してしまった結果、「CMSの機能を使いきれない」「運用上で不具合、不都合が起きる」といったケースが珍しくありません。CMSを導入する際には、「自社がCMSを導入する目的」を明確にすること、そして、その目的に合わせて適切なCMS、運用体制を提案し、手厚いサポートをしてくれるシステムベンダーをパートナーとすることが大切です。
日立ソリューションズは幅広く
CMSのご提案を行っております。
日立ソリューションズでは、Sitecore、NORENなどの広くWebサイトで利用できるCMS製品の取り扱いのほかに、会員サイトにフォーカスした自社製品である「PointInfinity 会員ポータル」など企業のニーズに合わせたCMSの提案が可能です。
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