デジタルマーケティングソリューション
デジタルマーケティングにおけるエンゲージメントを高めるためのデータ活用の秘訣
顧客の個人データが以前よりも簡単に、かつ大量に取得することができるようになった現在。そのデータを適切に「活用」できている企業はどれぐらいあるだろうか?
顧客が以前よりも多様化し、嗜好やニーズが複雑化している時代だからこそ、データを活用して個々にカスタマイズした情報を発信する「One to One(1to1)マーケティング」は多くのBtoC企業にとって取り組むべき施策となっていることは間違いないだろう。
そこで今回は株式会社セゾン情報システムズのマーケティング部部長である野間英徳さんに、データ活用の重要性やポイント、具体的な方法について話を聞いた。
野間英徳
2000年 独立系SIerへ入社。
流通・小売・製造・医療などの各業種向け基幹システムを軸としたソリューション営業を担当。2,000社以上の提案実績。
2013年 HULFT事業部門へ入社 営業課長、ファイル・データ連携HULFTシリーズの金融・保険業向けハイタッチ営業を経て、
2019年 同社 マーケティング部 部長。
自社製品・サービス、ソリューションのマーケティングおよび新製品・サービス企画を担当。
目次
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デジタルマーケティングソリューション PointInfinity
「会員管理システム」、「ポイント管理システム」にデジタルマーケティング機能を統合。
魅力的な会員プログラム、ポイントプログラムの構築から、運営で収集した情報を活用したAIによるレコメンド、効果測定などマーケティングのプロセスをトータルに支援することで、エンゲージメント向上を実現します。
データ活用の現在のトレンドは? 大量データの時代だからこそ「適切に活用できているか」が企業の命運を分ける
現在は大量のデータを簡単に取得できる時代になりました。だからこそ、以前よりも「データ活用の重要性が増している」と言えるでしょう。データは取得するだけでは意味がなく、適切に処理をして、活用をしなければ意味がないからです。
今回は流通小売業界をケースに考えてみましょう。これまでもPOSによる顧客データ分析は以前より行っており、「年齢は20歳代ぐらい」などのざっくりとしたデータは取得することができていました。それが現在は、ECでの購入履歴や、リアルの世界でも電子マネーやポイントサービスが利用された場合では「性別」「職業」「年齢」「居住エリア」といった的確で詳細なデータを取得することができるようになっています。取得できるデータの“量”が増え、“質”も高くなっているのです。
企業はこの取得した大量かつ質の高いデータをどのように活用するかが求められています。データを取得できることと、うまく活用できることはイコールではありません。
流通小売業界をはじめとしたBtoC業界では現在、「One to One(1to1)マーケティング」の注目度が高くなっています。これは顧客1人ひとりの好みやニーズを分析して、個々に対して最適なマーケティングを行う手法です。顧客の好みやニーズは確実に多様化しているため、仮にキャンペーンメールを一斉に配信したとしても「私に向けて発信された、限定された情報だ」と感じてもらえなければ開いてさえもらえません。
効果的なOne to One(1to1)マーケティングを実施するためには、取得したデータを適切に分析して、お客さま個々にカスタマイズした最適な情報を届けることが必要であり、それこそが現在のデータ活用のトレンドと言えます。ただ、これを実現することは言葉にするほど簡単なことではありません。なぜなら大量に取得できたデータの中には、不要な、本質的ではないデータの「ノイズ」も大量に含まれているからです。
ここは後半で改めて触れますが、これらのノイズを除去して、適切にデータを分析して、顧客に対して活用していくことが企業の命運を分ける可能性さえあります。実際に、そこがうまくできる企業とできない企業で大きな差が生まれているのです。
DXブームでもうまくできている企業は少数
具体的なデータ活用の方法は後半にまとめますが、一旦ここでは「なぜデータ活用が活発化したのか」、その背景や要因を考えてみます。そこからまたデータ活用のヒントが見えてくるかもしれません。
背景・要因の1つは、政府や自治体が「EBPM(エビデンス・ベースト・ポリシー・メイキング/証拠に基ずく政策立案)」の推進をはじめたことと考えます。EBPMとは、政策の企画をその場限りのエピソードに頼るのではなく、政策目的を明確化したうえで合理的根拠(エビデンス)に基ずくものとすることです。
そしてもう1つの背景・要因は「DXブーム」とも呼べる、世の中のDX化の流れです。DXはさまざまな解釈や定義がありますが、セゾン情報システムズでは「DX=データ活用」と定義しています。
当社でもDX関連セミナーを開催しており、その際はたくさんの企業の方々にお集まりいただきます。振り返ってみると、新型コロナウイルスが流行する前はDXのセミナーは社内外問わずほとんどなかったと記憶しています。以前はRPAなどを活用した「業務自動化」の流れがあり、コロナをきっかけにして自動化するだけではなく、One to One(1to1)マーケティングのようにデータを活用して経営に生かすという傾向に変わっていきました。ここはやはり大きな転換点であり、多くの企業が「データをどのように活用して生き残っていくか」を本気で考えるようになったのだと思います。
そのDX化の流れに付随して、データ活用の「成功体験」を得た企業が増えたこともデータ活用の活性化に拍車をかける要因になっているのでしょう。あるデータサイエンティストに精通した教授は「データ活用は弱い者の味方」と言っていましたがまさにそのとおりで、データ活用をすることで施策を実施して失敗した際の原因を探ることができて、PDCAを回して軌道修正やチューニングがしやすくなるため、成功の確率は上がっていきます。
ただ、成功体験を得る企業がある一方で、DX化がどの企業もうまくいっているかと言えばそうではありません。
データ活用による成功体験を得ているのはまだほんの一部でしょう。DX化、データ活用をうまく進められていない企業が大半で、その理由は大上段に構えすぎて一歩踏み出せない企業や、部署間の連携がうまくいかない企業が多いからなど、さまざまなものが考えられます。
データ活用をするためには「事前準備」が不可欠 データを整えなければ「使えるデータ」にはならない
ここからは、データ活用の効果的な方法を説明します。
データ活用をするためには、まずは「マスターデータ」を整える必要があります。マスターデータとは、業務の基礎となるデータのことを差し、一例をあげると顧客を管理する「顧客マスター」や商品を管理する「商品マスター」などがあります。
このマスターデータを整えるポイントは3つあると私は考えています。①入口(インプット段階)のデータを整える、②集まったデータのメンテナンス、③追加したいときに簡単に追加できるようにする。この一連の流れを見ていきましょう。
流通小売業界のケースでいくと、たとえばコンビニに商品を卸して販売をしている場合、コンビニからは売上データが届くものの個人データまでは取ることができません。そこに個人情報を結び付けたかったら、購入時間と同時刻に同店舗で利用されたポイントサービスなどの情報と結び付ける必要があります。これができてはじめて「30歳の男性が15時に渋谷のコンビニでポップコーンを購入した」という質の高いデータに変えることができます。逆に言えば、ここまでできなければOne to One(1to1)マーケティング施策の打ち手がありません。
販売チャネルはコンビニに限らず、自社または卸先の小売店舗、EC、自社サイトなど多岐にわたることがあります。これらから取得した顧客データはフォーマットがばらばらで、データが重複していたりすることもあります。このままの状態ではマーケティングを行うMAツールにデータを流してキャンペーンメールを配信するといった施策を実施することはできません。
また、データを整える必要があるのは販売チャネルから取得したデータに限った話ではありません。データを取り扱う企業内部の関連システムを見ても、基幹システム、MAツール、営業支援システムのSFAなどさまざまなものがありますが、これらはメーカー1社のもので統一されていることはほとんどなく、こちらもまたフォーマットがばらばらになっているため、フォーマットの統一や、データ重複を調整する名寄せを行って、データを整える必要があります。
分析したい内容が後から増えた場合のために、マスターデータはいつでも柔軟に変化できるようにしておくことも重要です。たとえば「以前はEメールアドレスを集めていたけれど、LINEに切り替えたい」場合は、それに合わせてスムーズに切り替えられるような仕様でなければ変化の激しい現在に合わせたデータ活用は難しくなります。
このようにして、社内に入ってくるすべてのデータを統一、整理整頓することで初めて「使えるデータ」になるのです。データのノイズを除去してきれいにクレンジングするにしても、フォーマットがばらばらの状態では適切に行うことはできません。データ活用の前段階の「整える」ことはとても重要なことです。
データを整える、メンテナンスする、追加する、はノーコードツールである日本発iPaaS(クラウド型データ連携プラットフォーム)「HULFT Square」・ETLのパッケージソフト「DataSpider」やマスターメンテナンス「MasterInfinity」を使うことでスムーズに行うことができます。興味がある方は下記リンクから見てみてください。
HULFT Square
https://www.hulft.com/service/hulft-square
DataSpider
https://www.hulft.com/software/dataspider
MasterInfinity
https://www.hitachi-solutions.co.jp/masterinfinity/
今後のデジタルマーケティング施策でのデータ活用のヒントと課題
マスターデータを整えた後は「データを適切に活用すること」が大切です。One to One(1to1)マーケティングはデータを整えて終わりではなく、それを適切に活用してこそ意味があります。
たとえば当社のパートナー企業である日立ソリューションズさんは、CRMシステムやMAツールなどさまざまなデジタルマーケティングソリューションを提供しているため、それらと連携することでOne to One(1to1)マーケティングを実現することが可能になります。その中の1つを紹介すると、デジタルマーケティングソリューション「PointInfinity」があります。
PointInfinity
https://www.hitachi-solutions.co.jp/digitalmarketing/sp/products/pointinfinity/
これを活用すると、サービスのフロントエンド側として「会員ポータル」をつくり、顧客との接点をもち、そこで顧客データを取得することができます。さらに顧客がインセンティブを得られる「会員・ポイント管理」、顧客分析を行う「アナリティクス、AI分析」、嗜好・行動に合わせた「メール/アンケート配信」などを行い、一連のPDCAサイクルを回しながら、顧客の獲得やアップセルを進めていくことが可能になります。
BtoC向け MA(マーケティングオートメーション)導入支援ソリューション
https://www.hitachi-solutions.co.jp/digitalmarketing/sp/products/ma_imple/
「こういうデータ活用をやりたいと思ってもなかなかできない」という企業の声は少なくありません。そのような方たちに改めて思い出していただきたいのが、「データ活用は弱い者の味方」という言葉です。顧客が多様化して、個々に合わせていかなければいけない現在だからこそ、目の前にある大量のデータを使わないよりも使ったほうが勝つ確率や生き残れる確率は間違いなく上がります。
データ活用やDXと聞くと、その言葉だけで「とんでもなく大きなことを成し遂げないといけない」と勘違いされているケースもあります。でも、そんなことはありません。データ活用を成功させるうえで大切なことは「小さな成功を積み重ねていくこと」だと私は考えています。まずはテスト導入的に一部の部署でデータ活用をしてみて、そこで成功体験を得たら、さらにほかの部署も巻き込みながらデータ活用を進めていく。そして最終的に全社を巻き込んでDX化が実現できるといいと思っています。
実際に、先ほどご紹介したHULFT Square・DataSpiderとMasterInfinityを組み合わせて導入し、デジタルマーケティングをスモールスタートするケースがあります。この分野の製品は外資メーカーが多いなかで私たちは国産メーカーということもあり、HULFT Square・DataSpiderは日本語でのサポートなどが充実している強みがあります。日立ソリューションズさんの「MasterInfinity」は「簡単」「便利」「安全」なデータメンテナンスをノーコードで実現できる強みがあります。
今後も日立ソリューションズさんとのパートナーシップにより、国内企業のDX化やデータ活用の手助けをしていきたいと思っています。
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