デジタルマーケティングソリューション
GISとは? 位置情報を活用したデジタルマーケティングを実現するには
スマートフォンが普及したことで、私たちは日常的に、さほど意識することもなく「位置情報」を活用しています。現在いる場所から目的地までのルートや所要時間を調べる際に使うのも位置情報ですし、近所にある飲食店やコンビニ、銀行のATMを探すときにも位置情報が活躍します。 こうした位置情報を上手に利用し、デジタルマーケティングに役立てる取り組みも積極的に行われています。位置情報はいうまでもなくデータですから、データドリブンを推し進めるためにも決して無視はできません。
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デジタルマーケティングソリューション
お客さまを中心としたマーケティングの取り組みに、各種プロダクトやサービスを効率的に運用。企業にも、消費者にも、価値を提供できるSIベンダーならではのデジタルマーケティングソリューションです。
GISとは
「GIS」(Geographic Information System)とは「地理情報システム」を意味する略語です。建物、店舗、公共交通機関、道路をはじめとするさまざまな情報を電子地図上に重ね合わせて可視化したもので、都市計画の策定や電気・ガス・水道といったインフラの保守管理はもちろん、環境調査、自然災害対策、さらには人やモノの動きに関する学術調査、そして経営の意思決定、マーケティング、営業・輸送・現場作業などの業務効率化支援にも役立てることができます。いわば「位置情報」をベースにした情報システムだといえます。
GISが注目される背景
近年GISが注目されている背景として、AI(人工知能)やIoTといった最新のデジタル技術と併せて活用し、顧客情報・営業情報・設備情報などの膨大なデータと地図上にプロットした情報を関連させながら多彩な分析が行えるようになったことが挙げられます。複数の情報を地図上に重ね合わせることで、これまで把握できなかった情報の関係性が明らかになったり、地域の特性が把握できたり、課題解決へのアプローチや新たな発見が得られるようになりました。
位置情報を分析してビジネスに活用する
ビジネスにおいてもGISを活用することで、業務の効率化、コストの削減、スピーディーな意思決定といった効果が期待され、さまざまな業種・職種で活用されています。たとえば建設業界では、工事現場の三次元地形モデルを作成するため、ドローンを飛ばして位置情報を取得しながら地上を撮影することで、作業時間の短縮を実現しているケースもあります。
マーケティングに役立つGIS
マーケティングの世界においては、位置情報と各種マーケティング関連データを連動させて利用することで、さまざまな作業の高度化や効率化が行えるようになります。 たとえば、ある地域でマーケティング計画を立案する際に位置情報を併用すれば、そのエリアの商圏分析や市場分析をもとに「この地域ではこういった商品が受け入れられるかもしれない」といった有効な商品企画、販売促進施策を考えられます。 来店客の分布・競合店の位置などから地域の特徴を把握し、新規店舗を出店する際の立地の評価や既存店舗の活性化、さらにはチラシ配布計画作成や売上予測にも活用できるでしょう。POSレジデータと連動させることで売れ筋の商品を把握し、地図上のデータと連動させれば、地域ごとの傾向を見つけ出すこともできます。 また、施設や交通機関の配置から人の流れを予測し、広告・宣伝計画立案、イベント・キャンペーン企画作成の参考にもできます。そのほか気象条件や時間帯によって人の流れ、購入される商品の傾向、利用されるサービスが大きく変わる地域であれば、それらのデータもマーケティング活動に取り込めるでしょう。
情報をビジュアルに把握する
営業活動においても、営業所が管轄するエリアを地図上に表示することで営業エリアを最適化できます。たとえば、ある地域では営業エリアが重複している、あるいはこの地域はどの営業所も管轄していない空白地帯になっている、といったことを簡単に見つけ出せるのです。
また、担当エリアの取引先を地図上にプロットすれば、移動時間を減らして効率的に回れるルートの設定はもちろんのこと、ある担当者が訪問していたA社は実は別の担当者のほうが寄りやすい、B社をこのルートに組み込めば訪問機会を拡大できる、といった気付きにもつながります。優良顧客と見込み顧客をマッピングし、見込み顧客を重点訪問する計画を策定するといった使い方もできます。 もちろんこうしたさまざまなGIS活用方法は、現場における生産性向上や業務効率化の実現だけでなく、より大きな戦略の策定や新規展開エリアの検討など、経営の意思決定にも利用できます。蓄積した情報に加え、センサーなどによりリアルタイムに追加されるデータも有効に利用すれば、迅速かつ的確な意思決定が可能になるでしょう。 ここに挙げた売れ筋商品や競合店・顧客分布といったデータは、いうまでもなく従来もマーケティングに使われていたものです。そうしたデータを単に数字・文字として見るだけでなく、地図と連動させることによって、そのエリアの情報をビジュアルに把握できますし、担当者間・部門間・社全体での情報共有も容易になります。
データ活用の前提として必要なこと
GISは、施設や道路、交通機関などのデータに加え、統計データや外部機関のデータなども柔軟に取り込めます。これらのデータと企業が蓄積しているさまざまなデータを地図上で連携させることで、マーケティングなどでの有効活用につながるわけです。 さらに、集まったビッグデータをAIで分析したり、IoTとセンサーを活用したリアルタイムのデータ収集システムを加えたりすれば、実に多様な情報を地図上に集約することが可能です。AIによるレコメンドを地図に表示し、それを参考にしながらマーケティング施策を立案することもできます。
ただしGISの有効活用は、企業内データがきちんと整っていることが前提です。データを部門ごとに分散管理していたり、書式がバラバラであったり、あるいは重複データがあったりすると、いくらGISが便利でも活用は難しいでしょう。 たとえば、流通業で実店舗・ECサイトの販売ルート、SNSやポイントといった提供サービスが顧客データを別々に管理していると、会社全体の視点で見た場合、どの顧客が優良顧客であるか、どの顧客がどの販売ルート・サービスを利用しているかを把握できません。これでは、顧客単価がより高い商品を購入してもらうアップセルや、他の商品との掛け合わせで顧客単価を上げるクロスセルを実現するための有効な分析は難しくなります。 そこで分析を効果的に行うために、顧客データを統合管理することが重要になります。その前提として、店舗・サービスなどによって異なる書式を統一したり、住所などの登録情報を補正したり、重複データを削除するなど、データを整形する「データクレンジング」作業が欠かせません。このデータクレンジングを行ったうえで、顧客データを一つのIDにまとめる「名寄せ」の作業も必要です。そうして統合した顧客データを用意しておけば、地図データや統計などの外部データも含めてGISと連動させ、マーケティングに有効な情報分析が可能になります。
まとめ
データドリブンの時代、データを有効活用しなければならないことはいうまでもありません。ただ、データ自体は数字に過ぎないため、いかに見やすく、わかりやすく、かつビジネスに利用しやすい形で利用できるかが大切になります。GISは、地図という目に見える形でデータを表示できることから、データに表れる情報の把握・分析・共有が簡単になります。マーケティングや営業支援、その他の業務効率化にデータを役立てたいなら、GISの活用を考えてみてはいかがでしょうか。
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