デジタルマーケティングソリューション

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位置情報を活用した企業のデジタルマーケティング事例

前回、位置情報とGIS(地理情報システム)を活用することでマーケティングを効果的に強化できることを紹介しました。

 これらを上手に利用すれば、大量の顧客データを地図上で可視化し分析・評価を行うことで、出店計画や商品・イベント企画といったエリアマーケティングに役立てたり、地域に特化したサービスを提供したり、店舗へのアプローチが容易な優良顧客を発見して新たな展開につなげたりといったさまざまな施策が可能になります。

 実際に位置情報を活用してどういった取り組みが行われているか、ここではGISのマーケティング事例をいくつか紹介していきましょう。

位置情報を活用した企業のデジタルマーケティング事例

目次

  1. 事例①:近隣ユーザーを把握してビジネスにつなげる
  2. 事例②:事業ごとの顧客データベースを統合して地図上で活用
  3. 事例③:台風被害想定と位置情報を結びつける
  4. まとめ

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お客さまを中心としたマーケティングの取り組みに、各種プロダクトやサービスを効率的に運用。企業にも、消費者にも、価値を提供できるSIベンダーならではのデジタルマーケティングソリューションです。

事例①:近隣ユーザーを把握してビジネスにつなげる

あるITサービス会社では、新規提携店舗の開拓がミッションになっていました。従来は提携店の拡張によるスケールメリットの訴求を中心に営業活動を行っていましたが、この方法では提携店がなかなか増えていきませんでした。

 そこで局面打開のために考えついたのが、位置情報の活用です。同社はポイントサービスを展開しているのですが、そのポイントユーザーの登録住所を緯度経度情報に変換して地図上にプロットし、分析を実施。店舗の商圏範囲内のユーザーを検索し、さらに各ユーザーの保有ポイントや利用状況も集計して地図に表示しました。

近隣ユーザを把握してビジネスに

営業先の店舗でその地図とデータを提示し、「店舗まで歩いて10分のところに、大量のポイントを保有していて、当社のサービスも比較的よく利用してくださる顧客がこれだけいます。当社と提携すればこれらのユーザーを取り込むことが可能になります」という形で営業トークを展開。

すると、単に同社と提携するというだけではビジネス拡大のメリットを感じていなかった店舗も、自店舗へのアクセスが容易な範囲内に見込み顧客となる可能性の高いポイントユーザーが数多く実在することに魅力を感じ、同社との提携を決断しました。同様に近隣の他店舗でも提携が進み、新規提携店舗開拓が一気に加速しました。

顧客データの可視化で提携店舗拡大

これにより、エリア内の各提携店舗におけるポイントの利用量やユーザー属性の分析なども可能になり、店舗ごとに有効な対策を検討することができるようになったといいます。

事例②:事業ごとの顧客データベースを統合して地図上で活用

あるエネルギー系卸売事業者は、従来主力のLPガスの供給販売にくわえてインターネット接続事業も展開していました。ところが、担当部署が異なるのはもちろん、事業のスタート時期が大きく違っていたことから、ガス事業とインターネット事業では別々の顧客データベースを構築していました。要するに、LPガスを契約している顧客と、インターネット接続を利用している顧客の情報が事業ごとに分散している状態であり、双方の顧客を関連付けてマーケティング施策を打ち出すことができていなかったわけです。

 ガスやインターネット接続は通常、世帯単位で契約するものです。ところが顧客データベースが分散しているため、顧客に対してどちらの事業メニューのサービスを提案すればよいのか判断できませんでした。もちろん中には同一世帯の別々の名義、たとえば父名義でガスを契約し、息子名義でインターネット接続を契約している世帯も想定されます。こういった世帯は、いわば同社のサービスをフル活用している優良顧客です。しかしデータベースが分散している状態では優良顧客として把握することができず、顧客離れ防止対策として優良顧客向けに特別なプロモーションを実施するのも難しい状態にありました。

 さらに、既存顧客にクロスセル、つまりガス契約者に対してインターネット接続を案内し、インターネット接続利用者にガスを案内することで売上の向上を図ろうとしても、たとえば父宛にインターネット接続の案内、息子宛にガスの案内を送付してしまうと「うちは両方入っているのに……」などと迷惑がられる可能性がありました。

 このような事情から、同社では優良顧客向けのプレミアムサービスや既存顧客へのクロスセル実施に二の足を踏む状況が続いていました。

そんなとき、あるマーケティング担当者が位置情報の活用を思いつきます。 双方のデータベースの住所情報をもとにIDを付与してまとめる「名寄せ」を行い、世帯単位で契約情報を一元的に管理できる統合データベースを構築して、地図上に表示。その結果、世帯ごとのサービス契約状況が地図でグラフィカルに把握できるようになり、部門を超えて効果的なクロスセルや優良顧客向けプロモーションを展開できるようになりました。

それだけでなく、同社が3本目の柱にすべく最近スタートした電気事業のセールスも順調に行えるようになったといいます。 同様の例では、複数営業所が個別にコンタクトしている顧客に同一のDMを何通も送付してしまい、クレームを立て続けに受けていた不動産会社が、名寄せによって統合データベースを構築し、DM送付を適正化して顧客満足度(CS)を上げるとともに収益向上を実現したケースもあります。

事例③:台風被害想定と位置情報を結びつける

台風被害想定と位置情報を結びつける

また、ある保険販売会社では、損害保険の既加入者に、台風損害に対応するオプションを売り込むクロスマーケティングを行おうとしていました。

 その際、やみくもに売り込むのではなく、顧客の住所データと浸水・氾濫などの統計データをもとに危険性を地図上で整理したうえでアプローチをかけました。一方、台風損害オプションをすでに付けている加入者に対しては、住所データを参考に、台風での被害が想定される場合はリアルタイムの注意情報を配信するようにしました。

 この結果、すでにオプションを付けている加入者には安全確保をあらかじめ促すことで損害金の支払い低減を実現でき、まだ付けていない加入者には納得感を醸成してオプション追加を促すことができました。

 小売系では、エリア内にいる自社サービス会員登録済みのスマートフォンユーザーに対して、近くの自社店舗で使えるクーポンやセールの案内メールなどをリアルタイム配信し、アップセルやクロスセルに効果を上げている企業もあります。

まとめ

上で挙げた事例以外でも、位置情報とCRM(顧客関係管理)を連携させて地図上のエリア内にいる顧客のデータをもとにマーケティング戦略を練ったり、AIと連携してはじき出した顧客の需要予測を経営戦略に適用したりといった使い方が考えられるでしょう。

 このように、位置情報にはまだまだ多くの可能性が秘められています。あなたの会社の業態や事業特性、サービスの特徴と照らし合わせながら、より効果的なマーケティングにつながる位置情報・GISの活用方法を考案してください。

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