デジタルマーケティングソリューション
マーケティングファネルとは?主な種類や活用方法など詳しく解説

マーケティングファネルとは、顧客の購買プロセスを逆三角形の図式で表したものです。企業のマーケティング担当者であれば、その言葉を一度は聞いたことがあるかもしれません。マーケティングファネルをビジネスに取り入れるには、その種類や活用方法を正しく理解しておく必要があります。
そこで今回は、マーケティングファネルの意味や主な種類、種類ごとの活用方法について解説します。
目次
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デジタルマーケティングソリューション
お客さまを中心としたマーケティングの取り組みに、各種プロダクトやサービスを効率的に運用。企業にも、消費者にも、価値を提供できるSIベンダーならではのデジタルマーケティングソリューションです。
マーケティングファネルとは
マーケティングファネルとは、顧客のサービス認知から購入に至るまでの過程を図式化したものです。
「ファネル」とは、日本語で漏斗(ろうと)を意味します。顧客が商品やサービスを知ってから購入に至るまでのプロセスが、広口から狭口へと絞られていく様子を表しており、その形が逆三角形の漏斗に似ていることから名付けられました。
なお、マーケティングファネルは、1920年代にアメリカのサミュエル・ローランド・ホールによって提唱された「AIDMAの法則」を発展させた概念として誕生しました。AIDMAとは、Attention(注目)、Interest(興味)、Desire(欲求)、Memory(記憶)、Action(行動)の頭文字を取ったもので、消費者が商品を購入するまでの購買パターンを示しています。
マーケティングファネルは顧客の購買行動を視覚的にわかりやすく示せるため、現代のマーケティング戦略においても広く活用されています。
マーケティングファネルの段階
基本的に、マーケティングファネルには以下の4つの段階があります。
認知→興味・関心→比較・検討→購入

顧客が商品を認知してから購入するまでの過程を理解することで、効果的な戦略を立てられるようになります。
例えば、新しい冷蔵庫を購入する場合を考えてみましょう。テレビCMや家電量販店のチラシで特定の冷蔵庫の存在を知ったからといって、その製品をすぐに購入するとは限りません。
気になる冷蔵庫があれば、まずはメーカーの公式サイトやレビュー動画で容量や省エネ性能、価格などの詳しい情報を収集する人がほとんどです。
続いて、口コミサイトでほかの製品と比較したり、家電量販店で店員に相談したりします。そして最終的に、自分に合った冷蔵庫1台を購入します。
このように、マーケティングファネルでは段階を踏むごとに顧客が離脱していきます。最終ステップである購入に至る人はごくわずかです。
カスタマージャーニーとの違いとは
マーケティングファネルとカスタマージャーニーは、どちらも商品販売において重要な概念ですが、顧客の何に着目するかが異なります。マーケティングファネルは顧客の行動にともなう人数推移に重点を置いているのに対し、カスタマージャーニーは顧客の心理に重点を置いています。
例えばカスタマージャーニーの場合、商品の購入理由や満足度、リピート率といった、顧客の商品に対する感情や購入後の行動に視点を向けるのが特徴です。なお、購買行動のステップごとに顧客の感情や接点を図で示した「カスタマージャーニーマップ」を作成すれば、顧客へ効率的なアプローチが可能です。
カスタマージャーニーマップの作成方法については以下の記事で解説しているので、合わせてご覧ください。
マーケティングファネルは古いって本当?

インターネットが普及した現代では、マーケティングファネルは古いと考える方も少なくありません。しかし、誕生から100年近く経った今でも活用されているのもまた事実です。
ここでは、古いといわれる理由や現在も使い続けられている理由を解説します。
顧客の価値観・購買行動の多様化
マーケティングファネルが古いといわれる理由の一つに、顧客の価値観や購買行動の多様化があります。昔は顧客が同じようなプロセスを辿って商品を購入していましたが、現在ではインターネットの普及やライフスタイルの変化により、顧客の購買行動が複雑化し、直線的な流れではなくなっています。
1つの商品をとっても機能性やデザイン、価格など個人によって購入基準は異なります。また、SNS経由で商品を知り、すぐに購入する方もいれば、口コミサイトや価格比較サイトでじっくり検討してから購入する方もいるでしょう。
このように顧客の価値観や購買行動が多様化しており、従来のマーケティングファネルだけでは、すべての顧客のニーズを捉えることが難しくなっているという意見も出ています。
使い続けられるマーケティングファネル
マーケティングファネルは古いといわれる一方で、現在も使い続けられている重要なマーケティング手法です。顧客の購買行動は複雑化していますが、基本的な購買プロセスを単純化すると、マーケティングファネルに戻るからです。
例えば、顧客がSNSや価格比較サイトを利用する過程を経ても、最終的には「認知」「興味」「比較」「購入」という基本的な購買フェーズに分類できます。この分類によって、フェーズごとに顧客の行動を把握し、適切なアプローチを行うことが可能です。
そのため、マーケティングファネルは、複雑な購買行動を整理し、フェーズごとの顧客行動を理解するための有効な手段として、今でも使い続けられています。
マーケティングファネルの主な種類
マーケティングファネルには、主に以下の3つの種類があります。
パーチェスファネル

パーチェスファネルとは、購入に至るまでの段階を示す一般的なマーケティングファネルです。
顧客の購買行動は、認知、興味・関心、比較・検討、そして最終的な購入(CV)に至るまでに人数が徐々に減少していくため、パーチェスファネルは逆三角形で示されます。
インフルエンスファネル

インフルエンスファネルは、購入後の顧客の行動を示したマーケティングファネルです。このファネルは、顧客が商品を購入した後に、他者に発信したり、継続して利用したりする過程を図式化しています。
例えば、顧客が商品を購入した後に、その商品の良さをSNSで共有したり、リピート購入をしたりする流れはインフルエンスファネルで表現されます。
インフルエンスファネルは、購入後の行動に注目して顧客の心理を理解し、長期的なマーケティング戦略を立てる際に有効な手法です。
ダブルファネル

ダブルファネルは、購入前後の顧客の行動を網羅したマーケティング手法であり、パーチェスファネルとインフルエンスファネルを組み合わせたものです。
ダブルファネルを用いれば、顧客が商品を認知して購入し、他者にその商品を広めるまでの一連の行動を詳細に把握できます。
これにより、顧客に対してどの段階でアプローチが必要かが明確になり、適切なターゲティングとリピーター獲得に効果的な施策を策定できます。
マーケティングファネルの種類ごとに活用方法を解説
マーケティングファネルの活用方法は種類ごとに異なります。ここでは、各種類の効果的な活用方法を解説します。
【パーチェスファネル】認知~購買のボトルネックを特定
パーチェスファネルを活用すれば、認知から購買までのボトルネックを特定することが可能です。
顧客が購入に至るまでの、どのフェーズで多く離脱しているかを分析して施策の見直しを行うため、最終ステップである購入へ進む人数を増やせます。
例えば、興味・関心の段階で離脱が多い場合、Webサイトの商品ページの情報が不十分である、もしくは使いにくいデザインである可能性があります。
パーチェスファネルを用いて顧客の離脱ポイントを特定すれば、改善策を講じて購買率アップが期待できるでしょう。
【インフルエンスファネル】顧客のファン化の課題を特定
インフルエンスファネルを活用すれば、顧客のファン化に向けた課題を特定することが可能です。インフルエンスファネルでは、ファン化に至るまでの問題点を、SNSやレビューサイトの口コミで確認するからです。
例えば、顧客の口コミに「使い勝手が悪い」という指摘があれば、商品やサービスそのものに課題があると考えられます。あるいは「デザインがいまいち」という意見があった場合は、商品デザインを改善することでリピーターを増やせるかもしれません。
このようにインフルエンスファネルは、顧客のファン化に向けた課題を明確にし、効果的な改善策を立てるのに役立ちます。
【ダブルファネル】認知~ファン化まで一貫した流れを作れているか確認
ダブルファネルは、顧客の購買プロセスからファン化までの全体像を把握し、一貫した流れを作れているかを確認するのに役立ちます。パーチェスファネルとインフルエンスファネルを連動させることで、顧客がどの段階で認知し、どのようにファンになるかを追跡できるからです。
例えば、顧客が商品を購入する前に参考にする口コミが少ない場合、購買プロセスの「比較・検討」を見直す必要があります。その改善策として「レビュー投稿で次回使える500円オフクーポン配布」「口コミ投稿で100ポイント付与」といった特典を設けるのが効果的です。
ダブルファネルを活用すれば、認知からファン化までの全体的な流れを把握でき、一貫性のあるマーケティング施策を展開できます。
まとめ
マーケティングファネルとは、顧客のサービス認知から購入に至るまでの過程を図式化したもので、段階を踏むごとに人数が絞られていく様子を表しています。
マーケティングファネルは古いという意見もありますが、現代の複雑な購買行動を整理し、フェーズごとの顧客行動を理解する手段として、今でも使い続けられています。3種類のマーケティングファネルを効果的に活用すれば、フェーズごとに顧客の行動を把握でき、適切なアプローチを行うことが可能です。
なお、日立ソリューションズでは、カスタマージャーニーの作成支援(ワークショップ)や、顧客との最適なコミュニケーションを実現する「BtoC向け MA(マーケティングオートメーション) 導入支援ソリューション」を提供しています。ぜひ導入をご検討ください。
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