デジタルマーケティングソリューション
【専門家コラム】加速するマルチポイント導入。導入を成功させるためのノウハウについてポイントサービスの専門家が解説!
店舗やECサイトを利用した際に付与されるポイントは、消費者にとってお得が直感的に感じられるため、好評なサービスとして日本の購買シーンに根付いています。また、消費者だけでなく事業者にとっても、新規顧客開拓や優良顧客の囲い込みといったメリットが見込めるため、多くの企業がポイントサービスを導入しています。さらに「より多くの顧客にアプローチしたい」と考える事業者は、複数のポイントサービス「マルチポイントサービス」を導入しています。
近年、マルチポイントサービスは消費者の満足度向上に、そして事業者側の新規顧客獲得や優良顧客育成につながるとして多くの企業から注目されています。このマルチポイントサービスを企業が導入するにあたって、どのようなメリットとデメリットがあるのでしょうか。ポイントサービスに精通している株式会社エムズコミュニケイト代表取締役の岡田 祐子さんに、お話を伺いました。
株式会社エムズコミュニケイト代表取締役
岡田 祐子
慶應義塾大学卒業後、大日本印刷株式会社入社。以来、ポイントカードによるDBマーケティングやCRMなど、一貫して顧客コミュニケーション領域に関わる業務を担当。2003年、社内ベンチャー制度にて大日本印刷株式会社のグループカンパニーとして株式会社エムズコミュニケイトを設立、代表取締役社長となる。また、ポイントサービスやCRM・顧客戦略に関する数多くのセミナーや講演、執筆活動を行うほか、「ガイアの夜明け」にも出演。
著書:『成功するポイントサービス~1万人の生活者から見る今あなたの会社がすべきこと』(WAVE出版)
【政府関連】総務省 自治体ポイント検討委員、マイナポイント検討委員 他
【協会関連】一般社団法人日本リテンション・マーケティング協会 理事
目次
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デジタルマーケティングソリューション PointInfinity
「会員管理システム」、「ポイント管理システム」にデジタルマーケティング機能を統合。
魅力的な会員プログラム、ポイントプログラムの構築から、運営で収集した情報を活用したAIによるレコメンド、効果測定などマーケティングのプロセスをトータルに支援することで、エンゲージメント向上を実現します。
今も根強いポイントサービスのニーズ。業界のトレンドと背景とは?今後はどうなる?
共通ポイントの勢いについて
日本政府は2025年までにキャッシュレス決済比率を増やす指針を発表しました。
それに合わせキャッシュレス・ポイント還元事業として、多くのポイントを付与するといったキャンペーンを展開し、市場のポイント流通数を増やしています。共通ポイントは市場に広く浸透しており、政府がポイントを活用した施策を継続しているなどの状況を見ても、今後もその勢いは衰えることはないでしょう。また、共通ポイントによる還元はインセンティブ手段として非常に利便性がよいこともあり、今後も共通ポイントの利用は拡大すると予想されます。
市場に多く出回る4大共通ポイント
ポイントと聞いて、どんなものを思い浮かべるでしょうか。現在、市場に多く出回っているポイントは「dポイント」、「楽天ポイント」、「Tポイント」、「Ponta」の4つ。これらは4大共通ポイントと呼ばれています。
多くの大手企業や有名チェーン店らがいずれかのポイントを導入していることもあり、消費者にとっては利用しやすいブランドです。
マルチポイントの機運が高まってきたのは、大手コンビニでの導入
流通業、特にコンビニでは複数ブランドの共通ポイントが利用できるマルチポイントサービスの導入が顕著に見られます。不特定多数のお客さまが訪れるコンビニは、利便性を高めるために決済のバリエーションを多く用意しておく必要があります。利用しやすい店舗として認識付けするために、ポイントについても複数のブランドを揃えておく必要があるのです。
ポイントサービス業界で大きな衝撃だったのが、2015年に大手コンビニのローソンとdポイントが業務提携したことです。この業務提携により、先行運用していたPontaとdポイントのマルチポイントができるようになりました。これにより、集客強化を実現するための手段として市場に認知され、この時点から他社も、元々あるポイントに加え、別の共通ポイントも利用可能にするという形で追従し市場が広がりました。また、その市場拡大に伴って、ダブル共通ポイントの付与やポイント交換サービスなども次々生まれていったのです。
マルチポイントのメリット・デメリット
新規顧客の獲得や優良顧客の育成につながる
マルチポイントサービスは、多くの消費者の満足度向上につながっており、マルチ決済対応やマルチポイント対応はUX(顧客体験)に大きく関わる施策です。消費者の利便性や満足度を向上させることで、新規顧客の獲得や優良顧客の育成につながるでしょう。
反対に、マルチポイントに対応しないのであれば、顧客離れの要因になるかもしれません。自分が慣れ親しんでいる共通ポイントを普段使いしたいお客さまにとって、そのブランドに対応していない店舗は「慣れ親しんだ共通ポイントが貯められない、使えない店」と判断され、来店利用されなくなる可能性があります。
煩雑な作業が増えたり、従業員の教育が必要になったりすることも
一方、マルチポイントを導入するためにはPOSや端末を強化する必要があります。購入、改修、運用、保守にはコストがかかりますし、従業員への教育も懸念されます。
従業員も使い方がわからないまま導入してしまうと、接客時間のロスが発生し、それこそUXの低下を招くことになります。利便性や会計後の満足度を感じていただけるよう、工夫が必要です。
マルチポイントサービスの施策を成功させるには
ポイント導入時の検討が非常に重要
新しいポイントサービスを導入するにあたって大事なことは、戦略面およびシステム面の両方からしっかり検討することです。自社の導入目的や実現手段を具体化し、自社の強みに生かしていきましょう。
マルチポイントサービス導入後の戦略をしっかり練る
マルチポイントの提供はお客さまにとって、「自分が今まで貯めてきた共通ポイントが使える」というメリットをもたらします。ですが、先行して大手企業が利便性の高いマルチポイントを導入してきているため、ただマルチポイントを導入するだけでは他社との差別化ははかれません。
そのため、企業はマルチポイント導入後の戦略を考えておくことが重要です。お客さまに来店していただいた後、愛着を感じてもらい継続的に利用していただくためのロイヤリティプログラムを考える必要があります。
そこでどのような戦略を練るべきかなのですが、これは「自社ポイントをすでに提供している場合」と「自社ポイントがない場合」で大きく違います。
自社ポイントをすでに提供している場合:自社ポイントと共通ポイントの使い分けを考える
すでに自社ポイントを提供していて、共通ポイントを追加で提供する場合は、自社ポイントと共通ポイントをどう使い分けるかが重要です。大きく分けて2つのパターンの戦略で展開する形になります。
・自社ポイントと共通ポイントをフラットに扱う
・自社ポイントに特別なインセンティブをつけることで、自社ポイントへと誘導する
これらの戦略のどちらがよいかは、それぞれの企業によって違います。きちんと戦略を持って、自社ポイントと共通ポイントとのすみ分けを決めておきましょう。
自社ポイントがない場合:自社の目的にそった最適なブランドを選択する
ポイントサービスを導入していない企業がマルチポイントを提供する場合は、まず導入するポイントのブランドを考える必要があります。もちろん、お客さまにとって利便性が高いのは4大ポイントすべてを導入する形であり、揃えられるならば揃えるのが理想です。ただ、それぞれのブランドにも特徴があるので、「導入するポイントにはどのような特徴があり、どのようなキャンペーンが展開できるのか」、「顧客データをマーケティング施策にどう利用できるのか」「顧客活性化にどう活用できるか」という観点でしっかりとリサーチしましょう。
上記に加え、導入する店舗がどこのエリアにあるのか、自社の誘客・送客に活用できそうか、会員数がどのくらいいるのかチェックも大事です。また、誘客や送客については利用条件があり、契約によってはできない場合などもあるので、確認しておく必要があります。
以上の点を踏まえポイント戦略を検討し、計画的に導入しましょう。
システム面の影響を考慮し、最適なソリューションを利用するのがおすすめ
共通ポイントの導入にはPOS端末の改修や共通ポイント事業者との接続回線など、システム面の考慮も必要です。自社のシステムと共通ポイント事業者との接続条件は共通ポイント事業者ごとに仕組みや条件が違うため、多くの共通ポイントを採用しようとするとシステム側の負担も大きくなります。煩雑な導入作業や人材不足がネックで導入に踏み切れないといった企業があるのも事実です。また、共通ポイント事業者に接続するためのセキュリティ要件が厳しく、思いもしない投資が発生するケースもあります。このような課題を解決するには、複数の共通ポイント(マルチポイント)をまとめて導入できるソリューションを利用するなどが有効な手段です。
ポイントサービスは、注目されるマーケティング手段の一つ
優良顧客の育成に活用
ポイントサービスは、集客を目的とした販促手段だけのサービスではありません。
ポイントサービスは売上を伸ばす販促手段であると同時に、顧客を理解するためのマーケティング手段でもあります。少子高齢化が進む中で自社のファンを増やし、優良顧客に対するライフタイムバリューを増やす手段として活用しましょう。
優良顧客が売上の下支えに
新型コロナウイルス感染拡大という状況下において、コロナ以前に比べ新規顧客の比率が減り、既存顧客の比率が3%ほど増加するという調査結果がありました。中でも優良顧客の貢献度評価が高く、約75%の企業が「優良顧客が貢献している」と回答しています。コロナ禍によって経済活動が制限される中、優良顧客が売り上げの下支えをしていたことが浮き彫りになりました。
優良顧客を増やすための手段として考える
ポイントサービスの導入は、優良顧客の獲得や育成につながるマーケティング手段と言えます。ポイントの仕組みと自社サービスの関係を把握し、戦略性を持ったポイントサービスを展開すれば、顧客の囲い込みや優良顧客の獲得、自社への誘客や送客など、あらゆる利点が生まれる可能性を秘めています。
販促手段としてだけでなくマーケティング手段の選択肢の一つとして、導入を検討してみてはいかがでしょう。
サイトからのおすすめ情報
共通ポイントやマルチポイントサービスを導入する際は、戦略面やシステム面を踏まえて検討する必要があります。もし導入に不安があるようであれば、日立ソリューションズが提供している「PointInfinity マルチポイントゲートウェイ」を活用すれば、マルチポイントサービスの導入期間短縮や導入コスト削減が実現できます。また、自社ポイントを提供する基盤「PointInfinity」と連携させれば、共通ポイントと自社ポイントを組み合わせたロイヤリティプログラムの実現のサポートも受けられます。ぜひ、検討してみてください。
PointInfinity マルチポイントゲートウェイの詳細はこちら
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