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OMOとは? オンラインとオフラインを融合させる新しいマーケティング手法を解説

デジタルマーケティングの世界では、リアルな店舗等(=オフライン)と、インターネットの世界(=オンライン)での集客・販売などをいかに結びつけるかが重要なポイントとなります。オフラインとオンラインの連携をどう考えるかについて、これまでもさまざまな手法が提唱・実践されてきました。今回はそうした手法を振り返るとともに、近年注目の新たな概念「OMO(Online Merges with Offline)」について見ていきます。

OMOとは? オンラインとオフラインを融合させる新しいマーケティング手法を解説

目次

  1. オンラインとオフラインを結びつける重要性
  2. OMOとは何か
  3. OMOにはどのようなメリットが期待できるのか
  4. OMOは実際にどのように使われているのか
  5. まとめ

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オンラインとオフラインを結びつける重要性

オンラインとオフラインを結びつけるマーケティングの取り組みは、これまでにも積極的に行われてきました。たとえばSNSでクーポンを配布して実店舗に誘導する、あるいは反対に実店舗でチラシを配布してECサイトに導くといった取り組みは、すでに多くの小売等の現場で実施されています。

ただ、従来は「オフライン」と「オンライン」を別のチャネルとして分けて考えるのが一般的でした。多くのケースでビジネスのベースはあくまでオフラインにあり、オンラインはそれに付随する要素として捉える考え方が浸透していたといえます。オンラインとオフライン、いわばデジタルとリアルの世界を分離して捉えていたこの状況を「ビフォーデジタル」と呼びます。

一方、昨今はオフラインとオンラインの境界が日増しにあいまいになっています。ECサイトはもちろん、スマートフォンを使ったQR決済も一般的になり、オフラインのみをベースとして考えること自体に無理が生じるようになりました。そこで、デジタル(オンライン)を前提として、リアルの世界(オフライン)もデジタルの中に包含して捉えようという考え方が、最近注目の「アフターデジタル」です。もはやオンラインを前提にしなければ商機を見いだせない、厳しい競争に勝てないという意識の浸透が背景にあります。

OMOとは何か

OMO」は、このアフターデジタルのマーケティング観が軸にある考え方です。「Online Merges with Offline」という英語の略で、日本語では一般的に「オンラインとオフラインの融合」と訳されます。

OMOとO2O・オムニチャネルの違い

日本のビジネスシーンではまだあまり耳にしないと感じる人もいるかもしれません。それもそのはず、この言葉は中国の事業家が提唱したもので、現時点での事例も多くは中国で展開されています。

 オンラインとオフラインの関わりという視点では、これまでにも「O2O(Online to Offline)」や「オムニチャネル」が実践されてきました。OMOは、O2Oやオムニチャネルとどこが違うのでしょうか。

O2Oは、まさに前項で説明した、オンラインからオフライン(あるいはオフラインからオンライン)に顧客を誘導する施策です。誘導の方向は基本的に一方通行になります。またオムニチャネルとは、実店舗、ECサイト、SNS、さらにはコールセンターや紙のカタログ・チラシといったあらゆるチャネルを顧客との接点と捉え、オンラインとオフラインの区別を排して総合的な販売チャネルを作り上げる施策です。さまざまなチャネルで集めたデータも統合活用するなど、O2Oに比べればオンラインとオフラインの融合をより意識したマーケティング戦略だといえます。 

OMOにはどのようなメリットが期待できるのか

OMOもデータの統合をベースとし、実店舗、WebサイトやECサイト、SNS、カタログ、コールセンターなどあらゆる接点のデータを融合して活用します。ただし、オムニチャネルがあくまで販売する側の視点でデータを活用し、顧客を誘導して購買させることを目指すものであるのに対し、OMOは顧客側の視点、すなわちユーザーエクスペリエンス(UX)の向上を主目的にしています。顧客にオンラインとオフラインの垣根を意識させず、モノやサービスを購入・体験できるビジネスモデルをめざしたものがOMOだといえます。

たとえば街中での自転車レンタルサービスを考えてみましょう。自転車を借りたいと思ったとき、ユーザーはまずインターネットからアプリをダウンロードし、登録や利用手続きを行います。その後、リアルの世界で自転車に乗り、利用が終わったら再びアプリで精算手続きを行います。こうした一連のプロセスが一つの体験として集約されるような取り組みが、OMOの特徴です。まさにアフターデジタルの考え方で、リアル世界のイベントまでをデジタルの中に含めてしまうわけです。

OMOが注目される背景には、ECサイトが普及し、消費者の価値観が変わってきた現状があります。モノやサービスをいつでもどこでも購入できるのは当たり前で、さらにその先の、購入から消費(モノの使用、サービスの利用)までを一つの体験と捉え、その体験自体に価値を感じる人々が登場してきました。

くわえてスマートフォンも一般化し、本来はオンラインの体験である検索や決済手段を経て、オフラインで購入するスタイルが当たり前となってきたことも、UXを重視する考え方を後押ししています。

OMOにより顧客の快適な体験を実現するには、前提として、オンラインとオフラインそれぞれで集まるデータを融合することが必要です。それも従来のようなビッグデータではなく、顧客の個人的な検索(嗜好)・購入・決済といったデータを一元的に蓄積し、個人のIDに集約することで、UXの向上をめざします。これにより、他社との差別化も図れるわけです。 

レンタル自転車の場合(OMO事例)

OMOは実際にどのように使われているのか

OMOは実際にどのように使われているのか

前述のように、現時点のOMOはスマートフォンによるキャッシュレス決済が一般化した中国で主に展開されています。ある小売店舗では、あらかじめアカウントを作成して顔認識情報を登録しておけば、購入したいモノをセルフレジに置くだけで、スマートフォンを取り出す必要もなく顔認証を通じて決済まで行えます。

ある靴ショップでは、興味のある靴を手に持つと商品情報がモニターに表示され、タグをスマートフォンでスキャンすればそのままECサイトで購入できるようになっています。このほか、店舗の近くに住んでいれば実店舗でアプリから注文した商品を即座に自宅まで届けてくれるサービスを実施するところもあります。小売業以外でも、アプリ上で行われるユーザーと医師のやり取りをデータベース化し、顧客に応じたマーケティングを実施する保険会社があります。

 日本でも、チャットボットとサイネージを連携させ、個人データに基づいた顧客体験を生み出す実証実験を行っている企業が登場。OMOによる新たな価値の創出が模索されています。

まとめ

スマートフォンによる決済や検索などのデータを蓄積すれば、消費者にとっては自分の好みや条件に合った商品を快適に、しかもリアルとデジタルの区別なくシームレスに購入・利用できるという体験を得られます。

オンラインとオフラインを融合して捉え、個人データを活用して新たな顧客体験を生み出すことができれば、競合と差別化するマーケティングにつなげられるのです。

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