デジタルマーケティングソリューション
日本でのエシカル消費の実態、SX(サステナビリティ・トランスフォーメーション)成功のカギは生活者へのインセンティブ
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SX(サステナビリティ・トランスフォーメーション)への関心が近年高まっています。その背景には、ビジネス環境の急激な変化だけでなく、 気候変動問題をはじめとした環境問題の進行があります。
企業が事業において環境配慮型の取り組みを行うことは、国や地域を越えたグローバルな規模で求められていると言っても過言ではありません。 また、生活者の中でエシカル消費の考え方が広まっていることも、企業のSX活動を後押ししているといえるでしょう。 今回は生活者へのインセンティブを活用して、SXを成功に導くヒントを紹介します。
SX(サステナビリティ・トランスフォーメーション)とは?
先行き不透明な社会環境において、SX(サステナビリティ・トランスフォーメーション)が注目されています。
SXとは、企業が「サステナビリティ(企業の稼ぐ力の持続性)」と「ESG(環境・社会・ガバナンス)」の両立を図り、 経営や投資家との対話の在り方を変革する目的で作る戦略指針のこと。経済産業省の「サステナブルな企業価値創造に向けた対話の実質化検討会」が2020年8月に発行した 「中間取りまとめ~サステナビリティ・トランスフォーメーション(SX)の実現に向けて~」の中でSXが取り上げられて以降、注目度が高まっているキーワードです。
いま企業がSXに取り組む意義
事業環境が刻々と変化していくのに置いていかれないようにしようと、業界を問わず、国内外のさまざまな企業がサステナブルな取り組みを行っています。
たとえば、あるメーカーはプロダクトの企画・製造から材料の調達に至るまで、多様な工程において気候変動をはじめとする環境への配慮を重要視したものづくりを行っています。
その背景には、持続可能なものづくりをしようとの信念だけではなく、生活者が企業姿勢を見て購入する製品やサービスを選ぶ時代が来ていることも挙げられます。いわゆる「エシカル消費(倫理的消費)」が生活者の間に浸透し始めているのです。エシカル消費とは、消費者庁の定義によると「消費者それぞれが各自にとっての社会的課題の解決を考慮したり、そうした課題に取り組む事業者を応援しながら消費活動を行うこと」。持続可能な開発目標(SDGs)の17のゴールのうち、ゴール12に関連する取り組みでもあるといえるでしょう。
このように、企業が近年SXを重要視する根拠は存在しています。消費者庁が2020年2月に発表した『「倫理的消費(エシカル消費)」に関する消費者意識調査報告書』によると、「エシカル消費につながる商品・サービスの提供が企業のイメージ向上につながると思いますか」との問いに対し、全体の79.6%が「エシカル商品の提供が企業イメージ向上につながる(「そう思う」+「どちらかというとそう思う」)」と回答しています。
ほかにも注目点はいくつかあります。まず、2016年度調査と比較すると「そう思う」が14.4ポイントも上昇しているのです。さらに、エシカルに関心のある人たちを関心・実践度別に分けた調査では、ほとんどの層で「そう思う」が90%を超えています。
このように、生活者の間でサステナブル・エシカルへの関心が非常に高まっていることは明らかです。それゆえ、SXを積極的に実践する企業こそが、今後ビジネス面において有利な状況に立ちやすくなると言っても過言ではないでしょう。
気候変動配慮について、企業の情報発信は足りない!?
すでにSXを推進している企業は少なくありません。しかし、その活動が思うように生活者に認知されていなかったり、 情報が伝わっていなかったりする可能性もあります。そのことを示す調査結果をご紹介します。
メンバーズが2021年10月に行った「気候変動と企業コミュニケーションに関する生活者意識調査」では、生活者の約7割が普段の購買行動において、気候変動に配慮した商品を「価格が同程度、もしくは1割程度高くても購入したい」と回答していることが明らかになりました。また、それらの商品を購買したことのある生活者のうち9割は「継続して購入したい」と回答しています。このことから、気候変動配慮型商品に高い満足度を感じている生活者が多いことがわかります。
しかし、気候変動配慮型商品の購買に至った購入者層は、全体の3割に留まる点にも着目する必要があるでしょう。7割の生活者が気候変動配慮型商品を買うことに関心があるにも関わらず、4割が購入に至っていないということです。
このように、企業が4割の生活者を取りこぼしている理由は、情報発信の仕方にあります。企業の気候変動対策に関する情報発信に関する設問では、生活者の6割が「わかりにくく伝わらない」と感じていることも明らかになっているからです。
対する非購入者層からは「従来の商品と比べて、機能や性能が同など、食品の場合は味が同等」「従来商品と比べて価格が安いか同等」といった条件があれば、関連商品を購入したいとの回答が目立っています。これらの声から、CO2排出量を減らしながら、気候変動に対応する商品やサービス開発・提供を行い、生活者にとってわかりやすい情報発信を行うことが、新規顧客開拓につながることが読み取れます。
生活者のエシカルな動きを活発化させる仕組みはインセンティブ
先の意識調査では、企業の気候変動対策に関する情報発信について、生活者がCMや企業のWebサイト、商品のパッケージ、SNSなど、自らと馴染みのある各種媒体で、 企業の情報発信を望んでいることもわかっています。生活者が日常的にふれるこれらの媒体を活用しながら、生活者の心を引き付けるインセンティブの仕組みを絡めると、 より伝わりやすい設計になるはずです。
インセンティブ施策と一口に言っても、試供品の配布や商品購入でもらえる景品、懸賞、期間限定の値引きやキャッシュバックなど、 いろいろな方法が考えられます。ただし、インセンティブ施策はやりすぎてしまうと、商品価格の低下やブランド価値の下落を引き起こす可能性もあり、慎重に設計する 必要があるでしょう。
【海外事例】CO2排出量を抑えた消費者にインセンティブを
ここからは、日本よりもSXやエシカル領域が進んでいる海外に目を向けて、企業が行うエシカル商品・サービスの購入・利用とインセンティブを掛け合わせた 取り組みにフォーカスしてみます。フィンランド国内で8番目に大きな街・ラフティで2019年に注目を集めた「CitiCAP」の施策を紹介します。
CitiCAPは、登録者の移動手段や距離、所要時間などのデータをもとにCO2排出量を自動で算出する専用アプリです。シェアカーや自転車などの環境にやさしい交通手段でCO2排出量を抑えると、 バスの割引券や自転車修理の割引クーポンなど、さまざまなインセンティブを与えるプロジェクトに活用されています。
こちらの取り組みは研究機関3社とIT企業5社が連携して進めています。車移動が環境負荷をいかに高めているのか、市民に環境配慮意識を持ってもらい、自家用車での移動をなるべく控えて、 よりサステナブルな移動手段の利用を奨励する狙いで行われました。交通によるCO2排出量は同市でも全体の3割を占めていて、それを削減することが気候変動問題の改善に つながると考えられていたのです。
同じような取り組みはヨーロッパでも数多くの自治体で展開されていますが、本取り組みは2019年6月、EU内で持続可能な開発に向けて最も先進的な取り組みを行う自治体に贈られる 「欧州グリーン首都賞」を受賞するほど大きな話題を集めました。
自社でエシカル×インセンティブの取り組みを行うなら
CitiCAPの事例を知って、自社のSX活動に応用することができそうだと感じた方もいるかもしれません。たとえば、気候変動に配慮した商品の新規顧客・既存顧客に、 ポイント還元やクーポン付与などのインセンティブを与えるといった施策だとイメージしやすいのではないでしょうか。
「商品」に限らず、気候変動配慮型サービスの顧客にインセンティブを提供する施策も仕掛けやすいはずです。
インセンティブ施策に役立つPointInfinity
そんな施策を行う際に役立つソリューションのひとつが、日立ソリューションズが提供する「PointInfinity」です。 会員・ポイント管理を中心とした顧客との繋がりをつくるマーケティング統合型CRMとして、多くの企業が導入しています。
ポイントによるインセンティブやクーポンの仕組みを提供するPointInfinityは、多様なインセンティブ施策に適用可能です。自社独自のインセンティブ施策に合わせて、個別カスタムを容易かつ柔軟に行えるのです。顧客のステータスごとに異なるインセンティブ施策を複数、同時に走らせるときにも頼りになるといえるでしょう。
会員属性情報やポイント情報を活用したターゲティングからのメールやアンケート配信を効率化する「PointInfinity メール/アンケート配信」などの機能を使えば、顧客に対してエシカル消費を促すようなメッセージを発信することも可能。SXやエシカル関連の取り組みを継続的に届けていくと、顧客からは「エシカルな事業を行う企業」として認知されます。
ほかにも、顧客に合わせた情報発信と店舗、ECへの誘導施策により送客するOne to Oneコミュニケーションツール「PointInfinity 会員ポータル」など、多様なソリューションを取り揃え、各顧客に最適化したオファーを実現できる機能も豊富です。
まとめ
生活者のサステナブル・エシカルへの関心は今後も高まっていくことでしょう。そんな時代の流れをふまえると、企業にとってSXは避けて通れない取り組みのひとつです。
SX・エシカル文脈でのインセンティブ施策をシンプルに実現し、伝わりやすい情報発信を心がけていけば、顧客の心をぐっと掴めることでしょう。
■参考文献
・経済産業省:サステナブルな企業価値創造に向けた対話の実質化検討会 中間とりまとめ(2020年8月)
・消費者庁:令和元年度エシカル消費に関する消費者意識調査報告書(2020年8月)
・株式会社メンバーズ:気候変動と企業コミュニケーションに関する生活者意識調査(2021年10月)
・IDEAS FOR
GOOD:フィンランド「CitiCAP」
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