人事総合ソリューション リシテア シリーズの導入事例
日本生命保険相互会社様さらに働きやすい環境づくりのため、約18,000名を対象とした新・勤務管理システムを導入。
業界最大手であり、2008年に創業120年を迎えた日本生命保険相互会社。
2000近い拠点数と複雑な勤務管理形態から、一部の従業員の勤務管理は長年にわたり紙ベースで行われていました。
今回の「従業員フロントソリューション リシテアシリーズ」の導入は、さらに働きやすい環境づくりの推進とBPRを目指し、進められていきました。
この事例に関するソリューション・商品
プロジェクト概要
適用ソリューション | 従業員フロントソリューション リシテアシリーズ(Jobモジュール) |
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構築期間 | 約1年6ヵ月 |
プロジェクト関係者数 (日立システム側) |
SE: 5名 プログラマ: 10名 検査: 3名 |
従来からの課題
内務職員や営業管理職の勤務情報は、紙ベースによる管理。
原田 次朗 氏
時代の変化とともに進む、勤務形態の多様化。近年、日本生命でも、その傾向が顕著に現れていました。9時~17時を定時として働く人もいれば、フレックスタイム、パートタイムで勤務する人も。雇用形態も、正社員、契約社員が混在。さらには、働きやすい環境づくりのため、休日休暇、残業時間に、新たな条項設定や改正を加えるなど、就業規則についても年々複雑なものになっていました。
こうした中、日本生命では、営業職員の勤務管理は、セールスツールと一体化したシステムを使用していました。しかし、内務職員や営業管理職の勤務情報は、紙ベースによる管理。一人ひとりが毎日、出社・退社時間を手書きで記入し、勤務時間を計算して、捺印した書類を所属長に提出。受け取った所属長は、その日のうちに、すべて目視でチェックして押印。このサイクルを、日々繰り返していました。月末になると所属長は、あらためてチェックし、計算機を片手に各日の合計を計算して、給与システム用の勤務データを用意。これを担当職員が、手作業で入力していました。
「所属長は、管理下職員の勤務時間を電卓を弾いて計算し、おかしな点・不明点があれば本人に確認して…ということをやっていました。大きな部署では職員が40~50名いるため、これが大きな負荷。何とか軽減できないかと考えていました。(松本氏)」
「給与システムにデータを受け渡す仕組みが古くなったこともあり、リプレースを考えていた時期でもありました。(原田氏)」
また、本店や東京本部、支社などでは、ビルへの入退をIDカード等で管理。この入退記録を勤務記録と照らし合わせるのにも、多大な労力がかかっていました。こうした状況からも、現状の把握や是正が必要であることを検討。
「いろいろな部分で、紙ベースの管理に限界を感じ、新しい勤務管理の仕組みを検討し、模索していたところでした。(原田氏)」
選定のプロセス
リシテアに決めた最大の理由は、担当SEチームの力量。
松本 慎史 氏
まず最初に検討されたのが導入方法。以下の3つの方法が、候補に挙げられました。
1. グループ内のIT企業による独自の勤務管理システムの開発。
2. 給与・人事システム等を含むERPの導入。
3. 勤務管理に特化したパッケージシステムの導入。
「1.については、この分野に関する経験の不足、コストや時間がかかることもわかり断念。2.は、日本生命の人事制度が多様で複雑なため、そのままの適用には無理がある。といって、ERPに合わせるために、人事制度を抜本的に変えるのは得策ではないと考えました。そして、3.の “勤務管理に特化したパッケージシステム”を探すことになったんです。(原田氏)」
勤務管理パッケージをいくつかリストアップし、機能性や操作性、カスタマイズ対応への柔軟性、導入・適用の事例や実績、さらにはソリューションプロバイダの提案力、対応力、技術・業務ノウハウを比較・検討。その結果、日立システムのリシテアが選定されました。
「リシテアを知ったのは、ニッセイ情報テクノロジーからの紹介です。デモ画面を見ただけでも、わかりやすく、使いやすいことが、よく理解できました。その後、日立情報システムズがリシテアユーザであることを知り、何度か見せていただく中で、導入の意思を固めていった記憶があります。
ただ、リシテアに決めた最大の理由は、今回担当となったSEチームの力量です。私たち日本生命の考えや要望をシステムに橋渡しするためには、同等もしくはそれ以上のレベル、経験値を持っていないとできないはず。その点、日立システムのSEチームは、勤務管理を熟知し、精通している。エンジニアでありながら、勤務管理のエキスパートでもありました。この企業でありチームなら、私たちが発する言葉や情報を的確に捉え、意図を理解してもらえる、システム的に最適な方法で実現してもらえると思いました。あの時の判断は、正しかったと思っています。(原田氏)」
導入時の取り組み
要件定義、カスタマイズ…、本稼動直前のテストにも工夫。
百瀬 悠貴 氏
今回導入するリシテアの利用対象者は、紙ベースで勤務管理を行っていた内務職員、営業管理職で約18,000名。
プロジェクトは、要件定義からスタートしました。まずは、日立システムから日本生命へ確認事項や質問を投げかけ、日本生命が調べて回答を用意。同時に、日本生命が要望を出し、日立システムが対応策、解決策を用意する。この一連のサイクルを繰り返しながらカタチにし、詳細を詰めていきました。
「最初に心がけたのは、日本生命の構造を理解し、体感してもらうことです。これにより推論が働くはず。推論を働かせてもらえば、提案の幅が広がるだろうと考え、判断材料になりそうな話をしたり、情報を伝えていきました。(原田氏)」
「あ・うんの呼吸…というか、話し合いを進めていくうちに要件が自然と整理されてくる。そんな印象で、とてもやりやすかったですね。
プロジェクトを、事細かに見ながら進めていくと、こんなにも調べなければいけないことがあったのか、と改めて実感しました。日頃の勤務管理で、ここまで突き詰めることはありません。そういう意味で、人事制度を見直す良い機会になったと思います。また、日立システムのおかげで、勤務管理の奥深さを知り、しっかりやらなければいけないということを、すごく感じさせてもらった。いろいろと勉強になり、私たちも日に日に詳しくなっていきました。(松本氏)」
要件定義は順調に進み、プロジェクトは構築フェーズへと移行。裁量労働制の導入、振替休日の設定、一部職制の取り扱いの変更など、人事制度の変更に伴うカスタマイズを実施。勤務時間の警戒ラインの変更など、細かな部分にいたるまで、手を加えていきました。
また、日本生命の社内には、従業員一人ひとりがUSBキーを所持し、これを挿入してパソコンを使う仕組みがありました。これを拡張し、USBキーの抜き挿しの時間を客観的なデータとして記録し、1ヵ所に転送する仕組みを構築。リシテアにも、そのデータを取り込めるようにしました。
そして、システム稼動をスムーズにするための取り組みにも着手。導入直前に、全国拠点のマネージャー、担当者向けに、告知活動を実施していきました。
「大変だったのは、勤務管理のルールや考え方を理解し、徹底してもらうこと。あらゆる機会、あらゆる手段を使いました。(高橋氏)」
さらには、本稼動直前のテストにも工夫。まずは、担当部署内でテストし、問題がないことを確認。その後、利用対象者全員に、1週間ほどシステムを開放し、テスト運用を実施しました。
「毎日使うシステムなので、できるだけ早く周知を徹底したい。そこでまず、当社独自に“e時(イージー)くん”という呼称を設定し、親しみを持って触れてもらえるようにしました(百瀬)」
「本稼動前に利用者に公開するというのは、人事部では前例のない方法でした。こういう方法をとったのは、やはり本稼働を予定通りにスタートさせたかったからです。(稲木氏)」
「テスト利用を行わずに本稼働させると、問い合わせが集中して、対応が困難になるという予想も立てていました。初めて使うシステムですから、想定外の使い方をする人も、きっといるだろう、と。(百瀬氏)」
こうした取り組みもあり、本稼動は順調にスタートしました。
導入後の効果
従来の課題を解決し、スムーズに稼動。
稲木 俊輔 氏
リシテアの導入により、利用者(従業員)、管理者(所属長)、人事部・営業企画部、それぞれに効果が表れています。
利用者(従業員)
プルダウンメニュー中心のブラウザ入力になり、従来の煩わしい手書き作業や電卓による計算が一掃。休日休暇の申請などもブラウザから行えるようになりました。
「労働組合のアンケートによると、本当に使いやすい、という意見がほとんど。計算間違いもなくなりました。(稲木氏)」
管理者(所属長)
紙ベースの管理で多く発生していた記入もれや計算間違いが、ブラウザ入力になったことで大幅に減少。また、各職員の勤務状況が毎日把握できるようになり、マネージャーとしての意識も高まってきました。
人事部・営業企画部
全社的な取り組みである業務の効率化とペーパーレス(毎月約15,000枚)を推進。さらには、紙ベースの管理のとき必要だった専任職員を、他の仕事に振り分けることができました。
「人事部内のことで言えば、全国どの拠点からでも入力できるようになったため、深夜残業の代行入力などを行う必要がなくなりました。(百瀬氏)」
「検討段階で、コストを何年位で回収できるか計算しましたが、想定した定量効果以上に、定性面で効果が現れています。ミスが減れば、手間が減る。トラブルが未然に回避できる。ミスが発生すれば、仕事が止まる。すべての部分において問題化する。この差は、きわめて大きいものです。(原田氏)」
また、事前準備を周到に進めたこともあり、システムの運用もスムーズ。
「リシテア導入から半年が経った現在、基本操作に関する問い合わせはほとんどありません。勤務時間中に資格試験を受けに行ったのですが…。というような、制度取扱に関する問い合わせが多いですね。これからは、さらに減っていくことでしょう。(百瀬氏)」
今後の展望
リシテアを運用しながら、勤務管理の精度向上を1つ1つ実現。
高橋 弘造 氏
お客様のニーズの多様化に伴い、店舗運営等にも多様性が求められ、従業員の雇用・勤務形態も、いっそう多様化していくことが予想されています。そのためにも、勤務管理の精度向上は、不可欠な要素として取り組んでいきます。具体的には、新しい営業スタイルを展開する店舗に合わせたシステムの拡張。リシテアの勤務情報を活用した、戦略的な職員管理、人事部門による細かな指導。USBキーにより収集した客観的なデータと、リシテアから入力したデータの複合的な活用。
「いずれも、まだアイデアの段階ですが、今後のリシテア運用を進めながら、1つ1つを実現させていきたいと考えています。(高橋氏)」
「女性が多い企業でもあり、育児休暇や産休、短時間勤務などを取得する人も多い。これからも、女性にとってより働きやすい環境づくりを推進していきたい。そのために必要なのは、現状の詳細な把握。リシテアが、大いに役立ってくれるはずだと期待しています。
そういった点も含め、これからも、日立システムにはいちばん良い仕組みや方法を、一緒に作っていくパートナーであってほしいと思っています。(百瀬氏)」
日本生命保険相互会社[Nippon Life Insurance Company]
2008年に創業120年を迎えた、業界最大手の生命保険会社です。生命保険の保障を通じて、お客様の生活を「ずっと支える」とともに、生活に「もっと役立つ」パートナーとなるため、常にサービス向上に尽力。相互扶助の精神に基づく「相互会社」としてお客様の視点に立った経営を行い、遺族保障、医療・介護保障、貯蓄・年金、損害保険にわたるフルラインナップの商品を提供しています。
※平成20年3月末時点
本店所在地 | 大阪府大阪市中央区今橋3-5-12 | |
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創立 | 1889(明治22)年7月4日 | |
代表取締役社長 | 岡本 圀衞 | |
従業員数 | 63,802名 | |
事業内容 | 1.生命保険業 2.付随業務・その他の業務 | |
URL | http://www.nissay.co.jp/ |
私たちが担当しました
今回のプロジェクトは、ニッセイ情報テクノロジー、日立情報システムズと、私たち日立システム、3社による取り組みです。それぞれが得意分野を活かし、有効に機能した事例となっています。
日立システムの担当は、勤務管理システムの業務アプリケーション部分の設計・開発。システムの適用・運用は、ニッセイ情報テクノロジーで実施することになっていたため、品質管理及びセットアップ手順をシンプルにすることに特に力を入れました。
そういう意味で、思い通りの結果を出すことができ、日本生命様に評価していただき、ほっとしています。
今後も、お客様のご期待に応えられるように、そしてさらに良い提案ができるように、取り組んでいきます。
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本事例の内容は公開当時のものです。
最終更新日:2012年1月25日