ITの力で課題解決に挑戦する日立ソリューションズ。
ここでは、技術力と人を想う気持ちで、
社会に貢献しているプロジェクトを紹介します。
これまでにない決済サービス
「ファミぺイ」。
ユーザー1500万人アプリ、
その裏側。前 編
ビジネスイノベーション事業部
デジタルソリューション本部
グループマネージャ
澤野 康洋さん
ユニットリーダ
神田 裕司さん
南波 優さん
ビジネスイノベーション事業部
デジタルソリューション本部
グループマネージャ
渡邉 浩史さん
技師
山元 悠也さん
ビジネスイノベーション事業部
ビジネス・プラットフォーム・サービス本部
グループマネージャ
岩本 剛毅さん
ユニットリーダ
鈴木 真琴さん
株式会社ファミリーマートが提供する電子決済アプリ「ファミペイ」。2019年7月のサービス開始以来利用者は増えつづけ、現在のダウンロード数は1500万を超えています。日立ソリューションズは、「ファミペイ」の開発段階から、会員・電子マネー・ポイント・販促の管理を行うシステム構築と保守を担当しています。プロジェクトに参画している7名が集まり、開発の苦労ややりがいなど、ここでしか知ることができない裏話を語ります。
「決済」だけでなく「販促」の機能を持つ
最新アプリの開発がスタート。
ファミペイ開発の経緯をお聞かせください。
澤野
新たな電子決済アプリを通して、データベースマーケティングを強化したいというお話をファミリーマートさまからいただいたのが2017 年末のことです。日立ソリューションズにはポイント管理システム「PointInfinity(注1)」というデジタルマーケティングソリューションがあり、これまでの多くの実績が評価され開発ベンダーに選定されました。私たちは「PointInfinity」が得意とする会員・電子マネー・ポイント・販促の管理を行うバックエンドシステムを担当することに。一方、スマホアプリの開発は別ベンダーが担当しました。少ない開発期間で実現が必要であったため、「PointInfinity」の仕様を極力変更せず、そこにファミリーマートさまの要件を適合させていくことを考えました。そこで「PointInfinity」の仕様を熟知している神田さんにプロジェクト参加をお願いすることになりましたよね。
神田
そうですね。要件定義フェーズでは「この機能は「PointInfinity」で対応できる」「これは開発しなければならない」といったように、ご要望に対して一つひとつ見極めを行いました。ファミリーマートさまからのご要望は、決済に加えて販促の機能も加えたいというものでした。具体的には、キャンペーン情報がチェックできたり、クーポンが使えたり、ポイントがもらえるゲームに参加ができたりするような機能です。当時の「PointInfinity」にはまだ販促機能がなく開発中であったため、ファミペイの販促機能については1から開発をする必要がありました。ファミリーマートさまのご要望は非常に多かったためサービスリリース時には実装せず、以降のアップデートで追加していく方針とさせていただいたものもありました。
澤野
要件定義の後は開発に入ります。今回は、「PointInfinity」が得意とする会員・電子マネー・ポイントの範囲は「PointInfinity」のパッケージ開発に関わってきた国外の会社にオフショア開発という形で依頼し、販促の範囲は国内で開発する形を取りました。これにより短期間での開発要員確保と高い品質を実現できたのです。
「マルチポイント」の実現に
立ちはだかる大きな壁。
リリースまでの開発は順調でしたか?
渡邉
実は、リリースまでには大きな壁がありました。ファミペイの特徴は、「Tポイント」「dポイント」「楽天ポイント」の3つのポイントサービスから好きなものを選んで、ポイントを貯めたり、ポイントを使った商品の購入ができたりすることです。通常、加盟店が複数のポイントサービスを導入する場合、各ポイント事業者の仕様に沿ってそれぞれを開発していただく必要がありますが、今回は当社の「PointInfinityマルチポイントゲートウェイ」というサービスを導入いただいたことで、個々の開発を行わずに複数のポイントサービスとの連携を実現しています。実はプロジェクト開始の段階ではまだサービス開発中で、急遽ファミペイに組み込むことになったのです。大きな壁とは、ファミペイという多数のお客さまがご利用になられるシステムにおいて、性能面での品質を確保する必要があったことです。山元さん、あのときは相当頭を悩ませていましたよね。
山元
ファミペイは起動するたびにポイント数を表示しますので、ゲートウェイ側ではその都度アクセスを受ける形になります。キャンペーン時にはアクセス数が急増することが見込まれており、その際にも遅延なくサービスを提供できることが求められていました。これに対応するため、性能面での対策を行ってきたのですが、目標値をなかなかクリアできない状況でした。 性能のボトルネックになっている部分を1つ解消すると、別の部分がボトルネックとして現れる、いたちごっこのような状態でしたね。「もうだめだ」と思うこともありましたが、一つひとつ根気強く問題を解決して、なんとか間に合わせることができました。現在に至るまで、マルチポイント機能に大きな問題が発生していないのは、このときの試行錯誤があったからこそですね。
無事にリリースできたときは、
どのようなお気持ちでしたか?
山元
ファミリーマートの担当者さまとWeb会議をつなぎながらリリース作業を実施し、作業完了後に動作確認のためファミリーマート店舗に向かいました。ファミペイ上にバーコードとポイント数が表示され、店頭でポイントを使った決済ができたときには、大きな喜びが込み上げてきました。
神田
やはり開発に関わった自分自身が使用できるのは嬉しいですよね。家族や友人にも、「このアプリに自分が関わっているんだよ」と伝えられることも、このプロジェクトのやりがいの一つです。
南波
これまで10年以上キャッシュレス決済を利用していましたが、このプロジェクトに参加したことで、ユーザーとしての視点が変わりました。「このインターフェースだと使いづらい」「この機能は真似したいな」と、より自分ごととして利用できるようになりましたね。
(注1)「PointInfinity」は、株式会社日立ソリューションズの登録商標です。