第2回 テレワーク環境の整備に使いたい「仮想デスクトップ」
第2回 テレワーク環境の整備に使いたい「仮想デスクトップ」
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テレワーク環境の整備に使いたい「仮想デスクトップ」
従業員の生産性向上や確保できる人材の拡大など、さまざまなメリットを持つテレワークですが、この体制を作り上げるまでにはいくつかクリアしなければならない課題があります。テレワーク環境を整備する際の課題を解決する手法のひとつとして注目されているのが仮想デスクトップ化です。テレワーク環境整備に活用できる仮想デスクトップとはどのようなものか見ていきましょう。
仮想デスクトップとは
クライアント端末のデスクトップ環境を仮想環境のサーバーに置き、複数のコンピューターからアクセスできるようにするシステム方式を、デスクトップの仮想化といいます。この仕組みにより、会社のサーバーにあるデスクトップ環境を、社員一人ひとりが持っているPCから利用できるようになります。
従来、仮想デスクトップを利用するにはハードウェアスペックの高いサーバーとストレージを必要としていました。コスト面の課題により、仮想デスクトップ方式ではなくターミナルサービス方式が採用される傾向にありました。ただ、ターミナルサービス方式ではアプリケーションの互換性がなかったり、利用者が自由にアプリケーションをインストールできなかったりという課題があることも事実です。近年の技術革新によって、仮想化に必要なハードウェアの低コスト化、国内外さまざまな地域での通信ネットワークの拡大など、仮想デスクトップ方式を導入するために必要な環境が次々と整備されています。
仮想デスクトップでテレワーク環境を整備
テレワークを実現するために必要な要素が、情報セキュリティが確保されたクラウド環境の整備です。テレワークは社内の業務を社外で行うことになるため、PCが盗難・紛失してしまった場合、会社の情報が外部に漏れてしまう危険性があります。
仮想デスクトップは、複数のPCからアクセスできますが、そこで保存されたデータはすべてサーバー内に保存されます。そのため、社外で業務をしている人間がPCを紛失したとしても、データや情報が外部に洩れる心配がないのです。これはテレワーク実現に際して立ちはだかる、情報セキュリティリスクの低減につながります。
導入までのプロセスとルール
仮想デスクトップを導入する際は、適材適所を意識した環境整備が必要になります。どのようなデータを仮想デスクトップで共有したいのかといった目的の違いによって、取り入れるべき仮想デスクトップの方式が違うのです。仮想デスクトップを導入する際は、2つのポイントをしっかり押さえて行うようにしましょう。
実現したい目的を明確化する
ユーザー視点、管理者視点、経営者視点ごとに仮想デスクトップで実現したい目的を明確にします。そうすることで、「使いたかったアプリケーションが使えない」「共有したいデータがうまく共有できない」などといった使い方での失敗を回避することができるようになるのです。
導入前の環境を検証する
仮想デスクトップを導入する前に、導入前時点でのアプリケーションのインストール状況や、どのような負荷がサーバーにかかっているかなどを検証します。これにより、仮想デスクトップの性能不足により、結果リプレースをしなければならなくなったというような失敗を回避できるようになります。
仮想デスクトップ導入のメリット
テレワーク環境の問題を解決する方法として、仮想デスクトップを導入することが挙げられます。仮想デスクトップの導入によるメリットは以下のとおりです。
高度なセキュリティで在宅勤務を推進
仮想デスクトップにより、在宅勤務やサテライトオフィス実現の懸念事項だったセキュリティの問題の軽減が可能です。実データを社外へ出さずに自宅やサテライトオフィスで勤務でき、情報漏洩のリスクを低減できます。
システム管理者の業務も軽減
社外で仕事をする場合、PC1台ずつに対して行っているパッチやアプリケーションの配布などの作業も、仮想マシンが集約されたサーバーに対して行うだけで完了します。
デスクトップ仮想化の導入事例紹介
ここではA社の事例をご紹介します。A社では、就業時間や場所の制限を排除、オンラインコミュニケーションを最大限活用することで、自由な働き方を特徴とするテレワークとコミュニケーションのさらなる活性化の両立をめざして、デスクトップ仮想化を実現するソリューションを活用しています。その実態をもとに、2016年9月から2017年3月末までの間、従業員3000人を対象として、調査しました。
調査の結果を元に、2017年度より、業務のムダを洗い出すワーキンググループの特設、20時以降の残業禁止による長時間労働の縮減など、生産性向上に繋がる制度面の働き方変革に取り組み始めています。
まとめ
デスクトップを仮想化することで、情報セキュリティを確保しながら会社の外で社内の情報やデータを共有し、なおかつ運用コストも削減することができます。いろいろな働き方が認められている現代社会において、ぜひとも導入しておきたいシステムのひとつであると言えるでしょう。
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