第24回 オンライン展示会・バーチャル展示会のメリット・デメリットを徹底解説!目的別の選び方も紹介

企業にとって展示会は、自社の認知拡大や見込み顧客の獲得などに役立つ、重要なマーケティング手法のひとつです。しかし新型コロナウイルス感染症(COVID-19)流行の影響により、従来の展示会が開催できなくなる事態が発生。それを受けて、非接触のバーチャル展示会が増えてきています。本コラムでは、バーチャル展示会のメリット・デメリットや事例、おすすめのツールなどを紹介します。

オンライン展示会とは

オンライン展示会とは、Web上の仮想空間(バーチャル空間)で開催する展示会のことです。オンライン展示会は、バーチャル展示会やWeb展示会と呼ばれることもありますが、本コラムではオンライン展示会とバーチャル展示会とを区別しています。詳しくは次項で説明します。また、オンライン展示会の対義語として、イベント会場に展示ブースを設置して来場者を集めて開催する従来型の展示会は、リアル展示会やオフライン展示会と呼ばれています。
オンライン展示会を開催する目的はリアル展示会と同じで、自社の商品やサービスをPRすることで見込み顧客を獲得したり、既存顧客との接点強化を図ったりする場として活用されています。その目的を達成するために、新商品のバーチャル展示、動画を使ったサービス紹介、講演やセミナーなど、さまざまなコンテンツをWeb上で展開します。リアル展示会と比較してメリット・デメリットがありますので、そちらも後述します。
なお、最近ではオンライン展示会とリアル展示会を同時に開催する企業もあり、ハイブリッド開催と呼ばれています。

バーチャル展示会との違い

オンライン展示会とバーチャル展示会は、同じ意味で使われていることもありますが、厳密にいえば、オンライン展示会の一種がバーチャル展示会です。Web上で開催する展示会の中で、空間を3D技術で構築したものをバーチャル展示会と呼んでいます。
では、2D展示会と3D展示会のメリットとデメリットについて説明します。2D展示会のメリットは、3Dに比べて出展コストが安いこと。また、パッケージ化されているものが多いため、準備にそれほど時間がかからないということです。逆にデメリットとしては、Webサイトの延長になりがちなこと、他社との差別化がしにくいことが挙げられます。3D展示化は、2D展示会に比べて没入感が高く、来場者の滞在時間が長くなり、満足度が高くなる傾向にあります。また仮想空間を自由に構築することができるため、ブランディングしやすくなります。逆にデメリットとしては、3DCGの準備には時間がかかってしまうこと、費用も高くなってしまうことが挙げられます。
ウェビナー主体の展示会を行うのであれば2D展示会が、自社の魅力をじっくり伝えてファンを獲得する展示会であれば、バーチャル展示会(3D展示会)がおすすめです。

  2D展示会 3D展示会(バーチャル)展示会
メリット コストが安い
動作が軽い
没入感がある
ブランディングできる
デメリット 特別感や独自性を演出しづらい 時間とコストがかかる

ウェブブラウザー型とアプリインストール型

オンライン展示会を開催するためのツールやプラットフォームが、さまざまなベンダーから販売されていますが、大きく分けてウェブブラウザー型とアプリインストール型の2種類あります。ウェブブラウザー型は、Google ChromeやSafari、Microsoft Edgeといった一般的なブラウザーで簡単に利用することができます。一方アプリインストール型は、PCやスマートフォンに専用のアプリケーションをインストールする必要があります。
この違いを踏まえて、それぞれのメリットとデメリットを紹介します。ウェブブラウザー型のメリットは、WindowsでもMacでも利用でき、ハイスペックPCである必要がないこと。デメリットは、アプリインストール型に比べるとコンテンツの自由度が高くないことでしょう。アプリインストール型のメリットは、機能が充実しているため、アバターの作成など魅力的なコンテンツを提供しやすいこと。デメリットとしては、インストールする手間がかかることや、PCのスペックやOSといった利用環境に一定の条件があることが挙げられます。
来場するモチベーションが高いファン向けのBtoCのイベントなどであれば、アプリインストール型でも良いですが、なるべく幅広い方に来場してもらいたいBtoBのバーチャル展示会であれば、ウェブブラウザー型がおすすめです。

  ウェブブラウザー型 アプリインストール型
メリット 専用アプリが不要
OSやスペックを問わない
より魅力的なコンテンツを提供できる
デメリット コンテンツ幅にやや制限がある 利用環境に条件がある

オンライン展示会のメリットは?

新型コロナウイルスの影響で一気に注目されるようになったオンライン展示会ですが、参加者にとってはインターネットを通じて気軽にアクセスできるという利点があります。そのため、BtoB、BtoCを問わず、さまざまな業界やシーンで活用されるようになってきています。
ではオンライン展示会を開催する企業にとって、従来型のリアル展示会と比較して、具体的にはどんな利点があるのでしょうか?
ここからは「コストの削減」「天候や感染症の流行などの影響を受けない」「ユーザーの行動の可視化」「オンライン上で名刺交換が可能」「遠方の顧客へのアプローチが可能」「一度出展したら再出展が可能」というメリットについて、一つずつ詳しく紹介していきます。

コストの削減

展示会を開催するためにはコストがかかりますが、大きく分けて2種類のコストがあります。ひとつが管理コストで、もうひとつが出展コストです。
管理コストは、開催するための準備や当日の運営に必要な労働力と時間です。リアル展示会であれば、会場の設営のためにその場所に足を運ばなければならないので、交通費と移動時間がかかってしまいます。当日も出展ブースに張り付いている必要があります。一方オンライン展示会であれば、会場設営も当日の運営もオンライン上で完結。移動コストがかかりません。
出展コストは、出展スペースを借りたり、会場を設営したりするための費用です。一般的にリアル展示会では、各社合同で行われるような展示会イベントでスペースを確保するためには、30万から50万円かかると言われています。それに加えてブースやパネル、販促物などを制作する費用がかかります。一方オンライン展示会であれば、利用するツールやイベントにもよりますが、10万円ほどで自社のブースを持つことができるものもあります。

天候や感染症の流行などの影響を受けない

冒頭でも触れたように、オンライン展示会がリアル展示会の代替手段として広まった理由のひとつには、新型コロナウイルスの流行があります。今後コロナウイルスを含めて何らかの感染症が流行してしまった場合に、リアル展示会は急遽中止になってしまうリスクがありますが、非接触で開催できるバーチャル展示会なら中止を回避することができるかもしれません。また台風や大雨、突風などの荒天の際には、公共交通機関が計画運休を実施する可能性があり、リアル展示会であれば来場者が激減するリスクがありますが、オンライン展示会はその影響を受けません。

ユーザーの行動の可視化

オンライン展示会を開催するために各社ベンダーが提供するツールやプラットフォームを利用する場合、ツールやプラットフォームの種類によっては来場者の行動データを取得し、可視化できる機能を備えているものがあります。開催当日オンライン上でコミュニケーションがとれなかったとしても、ブース内のどのコンテンツに興味を持ったのか、滞在時間はどれくらいだったのかなどを、後から確認することが可能です。この行動データは、次回の展示会はもちろん、マーケティング活動全体に活用することができます。

オンライン上で名刺交換が可能

前項と同様、利用するツールやプラットフォームによっては、オンライン上で名刺交換ができるものがあります。リアル展示会であれば、受け取った名刺をフォルダなどで保管するか、名刺管理アプリケーションにデータを入力しなければなりません。一方オンライン展示会であれば、アプリケーションと連携させることで入力する手間は省けるほか、紛失するリスクもありません。また名刺交換機能以外にも、自社のブースにアクセスした人の所属企業や連絡先といったデータを閲覧・取得できるようなツールもあるため、展示会後の営業活動に活用することができます。

遠方の顧客へのアプローチが可能

リアル展示会の場合開催場所が重要になります。アクセスしやすい場所にあったほうが、多くの来場者を見込めるからです。しかしアクセスしやすい場所で開催できたとしても、遠方から費用をかけてわざわざ足を運んでもらうのはなかなか難しいという面はあります。それに対してオンライン展示会は、インターネット環境さえあれば全国どこからでも、さらには世界中からアクセスすることが可能です。またリアル展示会の場合には、来場するための時間をあらかじめ確保する必要がありますが、オンライン展示会であれば当日時間が空いたときに少しだけ参加することもできます。つまりオンライン展示会のほうが、幅広い層の顧客との接点を持てるチャンスがあるということです。

一度出展したら再出展が可能

定期開催をしている合同展示会の場合、利用するプラットフォームも同じであることがほとんどです。そういったオンライン展示会に継続出展する企業にとっては、前回のコンテンツを流用することができるほか、過去の経験から出展準備にかかる労力を大幅に削減することができます。もちろん展示内容によって調整が必要なケースもあるかもしれませんが、操作方法や管理画面の使い方を知っていると、作業は圧倒的にスムーズになるでしょう。さらに前回の反省を生かして、自社ブースの改善を行うことができるという点でも、同じプラットフォームを利用するメリットはあります。

オンライン展示会・バーチャル展示会のデメリットは?

上記のとおり、オンライン展示会は開催する企業にとって多くのメリットがあります。しかしその一方で、「商材によっては魅力を伝えづらい」、「集客が難しい」、「サイトの構築が難しい」というデメリットもあります。詳しい内容については以下で紹介しますが、メリットだけではなくデメリットも理解しておくことが、オンライン展示会を成功させるためには大切です。使用するツールやプラットフォーム選びの参考にもなりますので、知っておいて損はないでしょう。

商材によっては魅力を伝えづらい

リアル展示会が優れているのは、来場者に実物を見てもらうことができるということです。実物を見たり、手で触ったり、匂いを嗅いだりといったことで魅力が伝わるような商材を展示したい場合には、オンライン展示会は向いていないと言えます。もしそういった商材をオンライン展示会やバーチャル展示会でPRしたいなら、AR技術を活用したり、商材の紹介動画を作成したり、より具体的なイメージを持ってもらえるようなバーチャルコンテンツを用意するのがおすすめです。またその場で実物を直接見てもらえない代わりとして、サンプルを送付するなど、アプローチ方法を工夫するのも良いでしょう。
なお、リアル展示会よりもオンライン展示会のほうが有利な商材もあります。例えばSaaSのようなサービスであれば、オンライン上で体験をしてもらうことができます。気に入ってもらうことができれば、そのままオンラインで販売することができるため、出展する企業にとっても、来場者にとっても、効率的かつスムーズに取引を行うことができます。

集客が難しい

取り扱っている商材の種類やマーケット規模にもよりますが、オンライン展示会を単独で開催をする場合、来場者を集めるところがネックになるでしょう。メルマガを送ったり、広告を出稿したりするなどして開催告知をしても、ターゲットに十分リーチできるとは限りません。既存顧客のニーズがあるなど、開催するだけのメリットや効果が見込めている場合を除いて、初めてのオンライン展示会を単独で開催するのはおすすめしません。まずは、ある程度の来場者数が見込める合同開催型のオンライン展示会に出展し、集客課題をクリアするほうが良いでしょう。オンライン展示会はリアル展示会よりも開催するためのハードルが低いため、現在さまざまな業界でテーマごとに細分化された展示会が多数開催されています。興味のあるテーマを選んで訪れている来場者が多く、そういった展示会に出展して認知度を上げたり、ある程度ニーズを掘り起こしたりしてから、単独開催を検討しましょう。また合同開催のオンライン展示会に出展しておくことは、単独開催する際のツールやプラットフォーム選びにも役立ちます。

サイトの構築が難しい

オンライン展示会を単独開催する方法として、専用サイトを構築する方法と、ベンダーが販売するツールやプラットフォームを利用する方法の2つがあります。
専用サイトを構築する場合、一般的なWebサイトに比べて、さまざまな機能を実装する必要があります。例えば、商品を疑似体験できるブースを作ったり、来場者と商談をするためにコミュニケーションツールを連携したり、来場者の行動データを管理したりする機能です。これらを実装するには、高いスキルが求められ、手間もかかります。さらにセキュリティ面でも気をつける必要があります。もちろんWeb制作会社に依頼することもできますが、それなりに費用がかかると思っておいた方が良いでしょう。
その点、ベンダーの販売するツールやプラットフォームを利用すれば、ブースデザインやチャット機能など、オンライン展示会で必要な基本的な機能は備わっているため、いちから専用サイトを構築するような手間がかかりません。またきちんとセキュリティ対策を講じているツールを選べば、安心して利用できるでしょう。

オンライン展示会・バーチャル展示会なら日立の「6Connex」がおすすめ

日立ソリューションズでは、オンライン展示会を実現するプラットフォーム「6Connex Virtual Event Platform」を提供しています。
「6Connex」は、展示会はもちろん、カンファレンスやオープンキャンパス、会社見学など、従来オフラインで実施されていたさまざまなイベントをバーチャル空間で実施することができます。
特長は3つあります。1つ目は、オリジナルのバーチャルイベント会場を簡単に作成できることです。質の高いデザインテンプレートを豊富に取り揃えているため、組み合わせるだけで、イベント内容に合った会場を構築可能。来場者に特別な体験を提供することができます。
2つ目は、出展者と来場者をつなぐ双方向コミュニケーションツールが利用できることです。リアルタイムチャットやビデオ通話で、ブースにいるスタッフと来場者が、リアル展示会同様に、気軽にコミュニケーションをとることができます。
3つ目は、レポート・分析機能を搭載していることです。誰が登録し、どこを訪れ、何を見たのかなど、集客状況や来場者の行動データを可視化することで、必要な情報をリアルタイムに把握することができます。
また、日立ソリューションズでは、社内で使用しているツールとの連携やカスタマイズなど、お客様のニーズに合わせた導入支援を行っています。ぜひ気軽にお問い合わせください。

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事例

日立ソリューションズでは、自社内でも「6Connex」を活用しており、事例を2つ紹介します。

  • 「日立ソリューションズ DXラボ」(以下DXラボ)

    日立ソリューションズは企業のDX推進を支援する仕組みのひとつとして、専任のコンサルタントや技術者がお客様に伴走し、アイデア創出から仮説構築・価値検証・ビジネスモデル構築までを一貫してサポートしています。このサービスを提供している場所がDXラボであり、「6Connex」を活用したバーチャル空間です。DXラボにある「ワークショップスタジオ」では、アイデア創出のためのワークショップやディスカッションを行ったり、「工房」ではプロトタイプを作成したり、「DXギャラリー」では事例やノウハウを提供したりすることで、お客様と距離を超えたコミュニケーションを実現。オンライン上でもお客様に寄り添うことを可能にしています。

  • 「事業化発表会」

    日立ソリューションズでは、社内向けの新規事業発表会をリアルとオンラインでハイブリット開催しています。まずは人数を限定し、リアルイベントとして発表会を実施。追って、その内容を収録したものを全社員向けにオンデマンド配信しています。バーチャル空間内で配信することで、ただ収録した動画を観てもらうのではなく、イベントとしての体験を提供しています。また、メインの事業化発表以外の情報にも触れられるコンテンツを用意することで社内コミュニケーションを活性化しています。

まとめ

企業はもちろん、社会全体のDXが進み、バーチャル展示会は今後も増加していくと考えられます。「リアル展示会であまり成果が出ていない」、「新しいことにチャレンジしたい」という方は、本コラムで紹介したメリット・デメリットを踏まえて、ぜひオンライン展示会への出展を検討してください。
まだあまりイメージができていない場合には、まず来場者として、他社のオンライン展示会やバーチャル展示会に参加してみると良いかもしれません。自社に合った開催方法を考えるうえで、実体験は非常に参考になることでしょう。

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