第27回 テレワークでの勤怠管理の難しさとは?課題の解決方法や管理のポイントを紹介
第27回 テレワークでの勤怠管理の難しさとは?課題の解決方法や管理のポイントを紹介
生産性向上や人材確保、健康経営といった企業課題を解決するために、働き方改革のひとつとして導入が進んでいるテレワーク。確かに働き手にとってはメリットが多いものの、企業から見たときには「勤怠管理の難しい」というデメリットがあり、多くの企業が頭を悩ませています。そこで、本コラムではテレワークの勤怠管理における課題とその解決策について、詳しく解説します。
- ※本コラム記載の情報は2023年2月時点のものです。
目次
テレワークにおける勤怠管理の難しさ・問題点とは?
まず前提として、企業には従業員の勤怠管理を行う責務があります。このことに関して、厚生労働省が示しているガイドラインに以下のような記述があります。
労働基準法においては、労働時間、休日、深夜業等について規定を設けていることから、使用者は、労働時間を適正に把握するなど労働時間を適切に管理する責務を有している。
厚生労働省「労働時間の適正な把握のために使用者が講ずべき措置に関するガイドライン」より抜粋
オフィス勤務であれば、タイムカードや入退室管理システムで労働時間を管理・把握することはできます。しかし、出社をしないテレワークではそういった従来の方法が使えません。もちろん遠隔で操作できる勤怠管理システムはありますが、退勤の打刻した後に業務を行っているかもしれず、勤務の「実態」を正しく把握できるかどうかは別問題です。テレワークでは、従業員の勤務状況が「目に見えない」という根本的な原因があります。従業員の労働時間を把握する責務を負っている企業としては、この問題を確実にクリアする必要があるのです。
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コミュニケーション不足も大きな問題
テレワークを実施する際には、勤務時間や実態を把握する難しさ以外にも、企業にとってはもうひとつ大きな問題があります。それはコミュニケーション不足に陥る可能性があるということです。オフィス勤務であれば従業員同士が同じ空間にいるため、雑談も含めて自然とコミュニケーションが生まれます。しかしテレワークでは従業員同士が物理的に離れた場所にいるため、直接顔を合わせる機会がありません。また多くの企業ではWeb会議ツールを導入することで、従業員同士で会話ができる場を設けてはいるものの、対面に比べるとオンラインは感情が伝わりにくいというデメリットがあります。人は言葉だけではなく、表情や身振り手振り、姿勢など、さまざまな情報から相手の気持ちを読み取っているため、情報が制限されるオンラインでは、意思疎通を図るのが難しくなるのです。
コミュニケーション不足は、企業にとって重大なリスクです。「従業員同士の活発な議論がなかなか生まれないため、商品やサービスの質が向上しない」「意思疎通ができていないので、チームとしての足並みがそろわない」など、業務品質の低下や生産性の低下につながる可能性が高いからです。
企業側がテレワークの勤怠管理で重要視すべきポイントとは?
上記のとおり、企業はテレワークを行う際に「勤怠管理」に加えて、「コミュニケーション不足」の2点に注意する必要があります。そのため遠隔で勤怠管理を行いつつ、円滑かつ活発なコミュニケーションが生まれるような体制やシステム作りを同時に実現していくことが望ましいと言えます。
以下の「労働時間・勤怠の管理」「気軽にコミュニケーションを取れる環境」では、企業として知っておくべき知識や情報をもう少し掘り下げて解説します。正しく理解したうえで、解決策を考えていきましょう。
労働時間・勤怠の管理
従業員の労働時間を把握する責務を企業が負っていることについては、厚生労働省の示すガイドラインを紹介しましたが、労働基準法において労働時間の把握は、適正な賃金の支払いをすることが主な目的だと解釈されてきたのです。そこで、働き方改革関連法によって労働安全衛生法が改正され、長時間労働を是正するために従業員の労働時間の把握が義務化されたのです。
ここで重要なことは2つあります。1つ目は、労働時間の把握が法律によって明確に義務化されたということです。2つ目は、長時間労働の是正、つまり労働環境の改善が目的であるということです。企業が勤怠管理を行う際には、労働時間を正確に把握するとともに、従業員の働く環境に十分に留意する必要があるということを理解しておきましょう。
気軽にコミュニケーションを取れる環境
コミュニケーション不足による業務品質の低下や生産性の低下といった企業側のリスクについては説明しましたが、従業員自身にとってもコミュニケーション不足は悪影響を及ぼす厄介な問題です。たとえばオフィスで仕事をしていると、自分が行っている業務が同じ空間を共有している同僚の役に立っていることを実感するシーンは多くあります。しかし離れた場所で別々に仕事をしていると、誰かの役に立っているという実感が希薄になり、自分の業務の目的ややりがいを見出しにくくなります。それと同時に上司にきちんと評価をしてもらえているかも不安になります。
これを防ぐためには、オフィスで仕事をしているときと同じように、気軽にコミュニケーションが取れる環境を整えることが重要です。一人ひとりの従業員が、同じ企業もしくは同じ部署に所属しているメンバーとしての一体感を覚えられれば、モチベーションを維持しやすくなります。勤怠管理をしながら、コミュニケーション不足にならないような対策を講じるようにしましょう。
テレワークでの勤怠管理の問題を解決する方法とは?
勤怠管理ツールを使った打刻
テレワークでの勤怠管理の方法として、最も簡便なものはWebの勤怠管理ツールを導入することでしょう。テレワークを行う従業員それぞれが、始業時と終業時に勤怠管理ツールで打刻をするだけで、労働時間を記録することができます。従来ならタイムカードとエクセルの出勤簿で管理していたものが、ツールだけで管理できるため非常に便利です。ブラウザー上で操作できるものやスマホアプリとして提供されているものなど、さまざまな種類のサービスがあります。しかし打刻した時間を記録することはできますが、それ以外の時間の勤務実態までは可視化できないというデメリットがあります。
チャットや電話で報連相をしっかり行う
就業時間中の報告・連絡・相談を、随時チャットや電話で行うという方法も簡単に導入することができます。多くの企業では前項で挙げた勤怠管理ツールと併用することで、始業と終業を記録しつつ、同じ部署内のメンバー同士で常にお互いの勤務状況を把握することができるようにしています。
特にビジネスチャットツールを導入すれば、業務の進捗状況を手軽に共有することができ、相談もしやすいため、コミュニケーションが活発になります。無料で利用できるサービスもあるため、今ではテレワークに欠かせないツールとなっています。
Web会議システムの接続を使い分ける
ビジネスチャットツールと並んで、もはやテレワークの必須ツールと言えるのがWeb会議システムです。その名前のとおり会議を行うために利用することが基本ですが、これを常時接続するという方法もあります。映像と音声をリアルタイムで伝えることができるため、在席確認に活用することができます。またオフィスと同じように相手の状況が常に見えているので、相談するタイミングを計りやすくなります。密に連携をとらなければならない業務には適した方法と言えるでしょう。コミュニケーション不足への対策としても有効です。
ただし常時接続は監視されていると感じるケースもあるため、状況に合わせて使い分けるのがおすすめです。
通知機能やタスク管理を共有するツールの使用
業務の進捗状況を共有するために、プロジェクト管理ツールを活用するという方法もあります。プロジェクト管理ツールを使えば、誰がどの業務を担当していて、現時点でどこまで進んでいるかといった情報を一元管理し、可視化することができます。これにより勤務実態を把握することが可能です。デメリットとしては、メンバーそれぞれが各自で進捗状況を随時更新する手間がかかってしまうことです。
手間がかからない方法としては、システム上のアクションを通知する機能を持った業務システムを活用するのがおすすめです。誰がいつシステムにアクセスして、どんな操作を行ったのかを管理者に対して自動で通知してくれるため、進捗状況をリアルタイムで把握することができます。またログを見れば、後からでも勤務状況を確認することができます。
テレワークに便利な勤怠管理ツールの選び方とは?
勤怠管理ツールを選ぶ際に、抑えておきたいポイントは3つあります。1つ目は、作業状況が記録できることです。作業中のPC画面を共有できたり、営業職であればGPSで位置確認ができたりと、業務実態を見える化できる機能があるものを選ぶのがおすすめです。2つ目は、クラウド型であることです。自宅はもちろん、サテライトオフィスやカフェ、出張先など、どこからでもアクセスできるほうが便利です。3つ目は、社員にとって使いやすいことです。勤怠管理に手間がかかって業務自体に支障が出てしまうことや、打刻ミスで労働時間が正確に把握できないというリスクはできるだけ避けるようにしましょう。
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テレワークの勤怠管理なら日立ソリューションズにお任せください
日立ソリューションズでは、テレワーク時におけるさまざまな企業課題を解決するソリューションを提供しています。
そのひとつが「仮想オフィスサービス」です。Microsoft Teamsと自動連携し、バーチャルオフィス空間を創り出すことができます。Microsoft Teamsは、ビジネスチャットツールとして多くの企業で採用されていて、テレワークにおいて手軽なオープンコミュニケーションを可能にしています。しかし本コラムでも説明したとおり、従業員のモチベーションを低下させないためには、チームとしての一体感を生み出すことが重要です。「仮想オフィスサービス」は、チームメンバーの状態や仮想オフィスのフロアを可視化することで、「一緒にいる感覚」を演出します。これにより、オフィスワーク時と同じレベルのささいなコミュニケーションが可能になるだけでなく、勤怠管理で重要な勤務実態を把握しやすくなります。働き過ぎの抑止力にもなるため、健康経営にもつながります。
また、長時間労働の防止に役立つ「PC自動シャットダウンシステム」というサービスもあります。あらかじめ設定しておいた時間になるとPCを自動的にシャットダウンし、翌朝まで利用不可にすることができるため、労働時間をしっかり管理し、働き過ぎ防止につながります。
そのほかにもテレワーク時の業務を円滑にするさまざまなサービスがありますので、詳しい内容は下記サイトをご覧ください。
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まとめ
テレワークは多様な働き方を可能にする勤務体制で、人手不足になる日本社会においては、今後ますます浸透していくでしょう。その中で企業は労働時間の把握、従業員の健康維持、モチベーションの向上、生産性の向上といった多くの課題に対処しなければなりません。そのためには、本コラムで紹介したような勤怠管理やコミュニケーションに関わるツールが不可欠です。ツールを販売しているベンダーが紹介している他社の事例も参考にしながら、自社にあった勤怠管理・コミュニケーション方法を検討しましょう。
- ※本コラム記載の情報は2023年2月時点のものです。