DX推進の妨げとなるサイロ化したシステム運用の解決策とは
~求められるハイブリッドクラウドやマルチクラウド環境の運用~

更新日:2022年7月15日

クラウド化するシステムやDX推進のための運用統合
~JP1とOps IでIT運用に変革を~

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最新のJP1 V12.6のクラウドリフト&シフトに向けた機能強化の概要と、DX推進を妨げるサイロ化したシステムの運用統合を実現する新サービス「JP1 Cloud Service/Operations Integration(Ops I)」の概要、各種ツール(AppDynamics他)連携について紹介されました。

株式会社日立製作所 サービスプラットフォーム事業本部
クラウドマネージドサービス本部 運用管理プラットフォーム部
技師 川合 智海 氏

ハイブリッドクラウドやマルチクラウド環境上でシステムの安定稼働を実現

従来のITのオンプレミスシステムを、クラウドにリフト&シフトしていく動きが進むと、クラウドサービスを含む業務の一元管理の検討が必要になります。また、事業拡大のためのDXや、ビッグデータなどを駆使したデータ駆動型システムを提供するため、クラウドネイティブ技術の利用が進み、その利用に合わせた業務運用も必要となってきます。このような市場動向を踏まえ、商材である「JP1」と「Ops I」について紹介されました。
「ハイブリッドクラウドや、マルチクラウド環境上に業務システムを構築する場合、運用の安定性や高度化の実現は容易ではありません。しかし、「JP1/AJS3」の特徴である、ミッションクリティカルな業務の実行順序制御、企業の特徴に合わせた柔軟なスケジュール設定などの利点を生かせば、ハイブリッドクラウドやマルチクラウド環境上で業務システム構築、運用の効率化、安定稼働の両立が可能となります」(川合)。

クラウド化が進業務システムの安定稼働の実現

「JP1」のバージョン12.6で各種サービスとの連携に対応

今回、「JP1」のバージョン12.6では、クラウド化が進む業務システムの構築や運用をさらに容易にするため、AJS3のクラウドサービス連携ジョブを強化しました。Azure Functionsなど、Azureの各種サービスとの連携に対応。また、AJS3のファイル監視機能を強化し、クラウドサービス上のファイル監視も可能になるため、データドリブンな業務の連携基盤としてもAJS3を活用できます。
「ここで、データドリブンな業務に対して、AJS3のクラウドサービス連携ジョブを活用する例を紹介いたします。例えば、商品販売における将来の販売データを予測する業務がある場合、販売データをAzureのBlob Storageにアップロードし、その後、Azure上で分析を掛け、翌週分の売り上げを予測。さらに、その予測データをダウンロードして、発注、生産の処理を行うなど一連の作業が必要です。AJS3を使うことで、このような既存オンプレミスとクラウドサービスをつないだ業務を、容易に実現することができます」(川合)。

将来の構想では、Google Cloudなど各種クラウドサービスとの連携を強化。また、SaaS、クラウドサービス間のデータ転送、変換、加工を行うデータ連携機能提供も検討しています。これにより利便性が上がると考えています。JP1は、さまざまなクラウドサービス環境でご利用いただけるよう、メガクラウド上での動作は当然として、さらにコンテナ上での利用や、最新OSにもしっかり対応できます。

システム運用統合に必要な標準化、共通化、統制

「既存システムの運用では、属人化、サイロ化している現場が多くあります。DXを見据えた既存運用を効率化していくには、サービス管理から運用管理までの共通化が不可欠です。サイロ化した運用の現場において、システム運用を統合していくには、「運用の標準化」「運用要員の共有化」「運用の統制」が重要だと考えています。そして、これらを実現するのがSaaS型運用統合プラットフォーム、『Ops I』です」(川合)。

「Ops I」を活用してできるシステム運用の標準化

まず「運用の標準化」です。「Ops I」は、従来の、Infrastructure as Codeの考え方を拡張し、作業の他、審査、承認フローやチェックリストなど、運用で必要となるアイテムを、すべてコード化する、Operations as Codeを実現します。運用をコード化することで、すべてのシステムで最新バージョンのコードを利用したり、問題があれば、迅速に前のバージョンに戻すことができて、運用の効率化と品質の維持が容易となります。

Operations as Codeの概要

システム運用の共有化、統制で最適化と可視化を実現

次に「運用要員の共有化」です。システム間で共有された運用要員のうち、要員の保有スキルや該当する作業の経験値をもとに、発生したインシデント対処運用に対して最適な運用要員をOps Iがサジェスチョンする機能があります。管理者は、そのサジェスチョンとともに表示される運用要員の空きスケジュールをもとに適切な作業割当が可能で、結果としてインシデント解決や作業の完了を早めることが期待できます。
続いて「運用の統制」です。Ops Iでは、ISOなどの規格の要求事項と運用項目の関連付けができ、規格ごとに必要な運用がきちんと実施されているか、準拠状況を可視化できます。実施率が100パーセントになっていない場合は、改善の手を打つことができて、実効的な運用品質の管理と維持が可能です。さらに、審査・承認履歴や消化済みチェックリスト、実行ログなどの証跡を運用項目と紐づけて管理していますので、規格ごとの証跡取り出しが容易となります。例えばFISCに関する証跡を、運用項目を通して芋づる式に集めることが可能です。これにより監査対応の負担を大幅に削減することができます。

各種ツールやサービスとの柔軟な連携が可能

Ops Iは、各種ツールやサービスとの柔軟な連携が可能です。Ops I自身は、自前のITSM機能を持っていますが、導入済みのITSMツールと連携した運用作業の統合を促進したり、利用者視点のオブザーバビリティーを提供するAPMツールとの連携も可能です。
「ITシステムの変化に伴う課題に対して、JP1によるクラウド化するシステムの運用高度化の実現と、Ops IによるDX推進のための運用統合の実現をご紹介しました。これらにより、私たち日立はお客様の将来を見据えたIT運用、DX推進に向けたIT運用変革を支援させていただきます」とセッションは締めくくられました。

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