お役立ち情報
企業人事に提言。働き方改革にとって本来必要な残業削減の方法
「リシテア/就業管理クラウドサービス」より勤怠管理・労務管理のお役立ち情報のご紹介です。
働き方改革の一環として、大企業では2019年4月から、中小企業では2020年4月から導入された時間外労働の上限規制。導入から数年が経つものの、いまだに残業時間の削減が思うように進まない、上限内に収まっても従業員の負担解消にはつながっていないという企業もあるでしょう。
さらに、2023年4月からは、これまで中小企業には猶予措置がとられていた「月60時間超の残業割増賃金率」が企業の規模を問わず適用となり、月60時間を超えた時間外労働の割増賃金率が50%に引き上げられます。企業にとっては人件費の増加を防ぐ観点からも、残業削減の必要性がさらに増しているといえるでしょう。
この記事では、働き方改革に残業削減が必要な理由や推進するメリットについてあらためて解説し、残業を減らす具体的な方法と企業の取り組み事例をご紹介します。
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目次
働き方改革において残業削減が必須な理由
働き方改革とは、少子高齢化による生産年齢人口の減少や、育児・介護との両立をはじめとした働き手のニーズの多様化などの労働問題を解決し、多様な働き方を選択できる社会の実現を目指そうというものです。働きたい人が意欲や能力を存分に発揮できる環境をつくり、よりよい将来の展望を持てるようにすることを目的として、柔軟な働き方の推進や長時間労働の解消、雇用形態の違いによる格差の是正などに国を挙げて取り組んでいます。
働き方改革の一環として残業時間の規制がおこなわれる背景には、日本の労働環境において長年の課題となっている「長時間労働の常態化」があります。長時間労働は従業員の心身への負担が大きく、仕事とプライベートの両立を困難にします。また、労働生産性の低下や残業代の増加など、従業員だけでなく企業にもさまざまな悪影響がおよびます。
テレワークや在宅勤務、フレックスタイム制などを導入し多様な働き方を可能にしたとしても、残業が多いままでは働き手が将来の展望を持ちづらく、安心して働くことはできないでしょう。働く意欲を持つ人がいきいきと活躍できる社会をつくるためには、従業員の負担となっている長時間労働の解消が必要不可欠です。
残業削減による働き方改革を推進するメリット・デメリット
残業削減を含めた働き方改革は企業に多くのメリットをもたらしますが、厳しい残業規制は新たな問題を引き起こす可能性があるため注意が必要です。
残業削減を推進するメリット・デメリットには次のようなものが挙げられます。
残業の削減を推進するメリット
離職防止と定着率向上
従業員のワークライフバランスを改善するためには、テレワークやフレックスタイム制をはじめとした柔軟な働き方とあわせて、心身の負担の要因となる長時間労働の是正が必要です。残業削減によりワークライフバランスが整い、私生活の充実やスキルアップに充てる時間を持てるようになれば、従業員の満足度やモチベーションが上がり、離職を防止し、定着率の向上につながるでしょう。
パフォーマンスや業務効率の向上
長時間労働が解消し、心身ともに健康な状態で働けるようになれば、集中して業務に取り組めるようになり、パフォーマンスの向上につながります。また、定時までに終えることを意識して働くことで、無駄な作業をなくす意識が芽生えるため、業務効率の改善にも効果が見込めます。
人件費や光熱費などのコスト削減
残業削減により従業員の人件費を抑えられることは、企業にとって大きなメリットとなります。特に2023年4月からは、大企業だけでなく中小企業においても月60時間を超えた時間外労働の賃金が50%割増になるため、残業削減の重要度がこれまで以上に増している状況です。
また、従業員がオフィスに出社している場合、人件費以外にも、残業を減らすことでオフィスの空調や照明、PCにかかる電気代などの光熱費を削減できることもポイントです。
残業の削減を推進するデメリット
残業削減を推進することでさまざまなメリットがある一方、残業を減らすために厳しい規制ばかりをおこなってしまうと、従業員が勤怠記録を付けないまま自身の判断でサービス残業をおこなう「隠れ残業」が発生するおそれがあります。
従業員による隠れ残業は、長時間労働の是正や労働状況の正確な把握を妨げる原因となります。残業削減を推進するうえでは、単に「残業を減らすこと」を訴えかけるのではなく、仕事量の調整や業務フローの改善など、従業員の長時間労働を引き起こしている根本的な原因を解消していくことが求められます。
働き方改革と残業削減に必要な3つの取り組み
残業の事前申請制やノー残業デーを導入していても、自社の残業削減が思うように進んでいない場合、まずは残業削減に必要な基本的な取り組みを見直してみましょう。
残業削減には「労働時間の正確な把握」「作業効率の向上」「従業員の意識改革」の3つを柱に取り組むことが重要です。
労働時間を正確に把握する
従業員の労働時間を正確に把握することは、残業が多い従業員や部署、時期などを特定し、対策をおこなうために必要不可欠です。従業員一人ひとりの勤怠情報の記録・管理を、従業員と管理者の双方にとって最小限の負担で効率的に実施するには、勤怠管理システムの活用が有効です。
残業削減につながる勤怠管理をおこなうには、次のような機能を備えたシステムが望ましいでしょう。
- PCログオン・ログオフ時刻連携の打刻方式がある
- 勤務状況から残業の増加を予測しアラートで通知する
- 従業員の作業実績を記録する工数管理と連動できる
- 従業員本人や管理者が勤務状況を一目で把握できる
残業削減は一度成功したとしても、その後も維持できるとは限りません。システムによる残業状況の把握を続け、残業が増える傾向があればすぐに対策をおこなうなど、取り組みを継続することが大切です。
作業効率を向上する
長時間労働を是正するには、現在の業務のやり方や分担を見直し、より効率的に業務をおこなうことで、全体の労働時間を減らしていく必要があります。作業効率の向上に有効な取り組みとしては、業務標準化による属人化の解消や、工数管理による業務量・進捗状況の可視化などが挙げられます。
また、従業員同士のコミュニケーションが円滑になると、個人が業務を抱えすぎることなく周囲で分担・フォローできるようになるため、チームワークの向上によって効率化を図ることも重要です。
従業員の意識改革をおこなう
残業が常態化している企業の多くは、従業員に「残業するのは当たり前」「上司や同僚が残業をしていると帰りにくい」という意識が根づいています。残業を削減するためには、これらを「残業は当たり前ではない」「自分の仕事が終わったら帰る」という意識に変えなければなりません。
従業員の意識を変えるには、経営陣や管理者が率先して定時に帰宅する、定められた時間でオフィスの照明やPCを落とす、タイムマネジメントに関する研修をおこなうなど、さまざまな面から多角的に取り組む必要があります。また、勤怠管理システムによって勤務時間や残業時間を可視化し、自分自身の勤怠情報についてリアルタイムで確認できるようにすることも、従業員の意識改革につながるでしょう。
働き方改革で残業削減に成功した企業の事例
企業では、労務管理の見直しや業務フローの変更、システムの刷新など、さまざまな面から残業削減の取り組みをおこなっています。
ここでは、働き方改革で残業削減に成功した企業事例をご紹介します。
労務管理の見直し:馬野建設株式会社
技術職種の採用や新卒社員の定着に課題があり、人手不足の状況が続いていた馬野建設。魅力ある職場づくりの実現に向けて、残業削減の取り組みを実施しました。
同社では、残業時間抑制のための社内ルールとして、残業計画表の提出を従業員に義務づけました。残業が60時間を超える場合は追加人員を投入したり、上司が効率化の助言をおこなったりすることで、計画的に業務を標準化していきました。
取り組みの過程で意識改革の難しさを感じることもありましたが、評価基準の変更や外部講師による勉強会など、従業員の残業抑制意識を高める工夫も実施しています。その結果、月平均28.6時間だった残業時間が2年後には14.1時間まで短縮し、有給休暇取得率も平均で約20%向上しました。
出典:中小企業庁ウェブサイト(https://www.chusho.meti.go.jp/index.html)
『シリーズ「働き方改革」の成功例』(中小企業庁)をもとに株式会社日立ソリューションズ作成
業務の仕組み化:株式会社マエダハウジング
顧客満足を最優先としていたマエダハウジングでは、順調に業績が上がる一方、複数名体制による顧客対応に時間をとられ、残業が常態化していました。
同社では業務のやり方を見直し、過去25年間で2万件の実績をもとにマンションリフォームの5つのプランとオプションを設定。商品をパッケージ化しモデルルームで再現することで、見積書作成のスピードが上がり、1名体制による打ち合わせも可能となりました。
こうした業務の仕組み化により、1人あたりの月平均残業時間を約40%削減することに成功。顧客からも商品を選びやすいと好評を得ており、働き方改革の取り組みが顧客満足度の向上にもつながっています。
出典:中小企業庁ウェブサイト(https://www.chusho.meti.go.jp/index.html)
『シリーズ「働き方改革」の成功例』(中小企業庁)をもとに株式会社日立ソリューションズ作成
システムの見直しによる生産性向上:株式会社サカタ製作所
サカタ製作所では、社内の講演会に招いた専門家から長時間労働の弊害を指摘されたことを機に、システムや設備の見直しによる生産性の向上に着手しました。
同社がおこなった取り組みは、基幹業務システムのコンピュータを刷新し、受注状況を考慮した最適な生産計画を作ることです。さらに、見積もりを効率化するために自社で見積回答システムを開発し、顧客がWebサイトから利用できるようにしました。
これにより、従来は3日を要していた複雑な見積もりをたった5分で作成できるようになり、1人あたりの月平均残業時間は約18時間から約1時間まで大幅に短縮されました。
出典:中小企業庁ウェブサイト(https://www.chusho.meti.go.jp/index.html)
『シリーズ「働き方改革」の成功例』(中小企業庁)をもとに株式会社日立ソリューションズ作成
適切な残業削減をおこない、働き方改革を推進しよう
働き方改革の目的でもある、働き手がよりよい将来の展望を持てる環境をつくるには、残業時間の削減と長時間労働の解消が不可欠です。そのためには、労働時間の正確な把握や従業員の意識改革が必要で、勤怠情報を正確に記録・管理し、勤務時間や残業時間を可視化できる勤怠管理システムの活用が有効となります。
「リシテア/就業管理クラウドサービス」なら、職種や個人ごとに警告閾値を設定することでフォローが必要な従業員を把握でき、36協定設定やアラート通知などの機能で長時間労働の防止につなげることができます。適切な勤怠管理や労務管理が可能なシステムの導入を検討したい方や、選定にお困りの方はお気軽に当社までお問い合わせください。
記事公開日:2023年7月27日
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