部門別RPA活用事例をご紹介!人事・総務・経理・営業・
開発部門に加え、工場や生産現場などの実例つき
大企業を中心に、中小企業でも導入が検討されはじめてきたRPA。RPAを実際に導入した企業では、具体的にどのような業務で活用されているのでしょうか。産業RPA活用アドバイザーである福田 敏博さんが、自ら進めてきた工場や生産現場での活用実例とともに、部門別のRPA活用事例を紹介します。
産業RPA活用アドバイザー・産業サイバーセキュリティコンサルタント
福田 敏博 氏
JT(日本たばこ産業株式会社)に入社し、たばこ工場における制御システムの設計・運用・保守などに携わる。その後、ジェイティ エンジニアリング(株)へ出向。システムエンジニア、プロジェクトマネージャー、コンサルタントとして、数多くの産業系システムの構築を手がける。
現在は、経営工学(マネジメント)・IT(情報技術)・OT(制御技術)を融合したコンサルティングに強みを持って活動中。産業サイバーセキュリティの分野では、第一人者として著名である。また、「スライドさばきの達人」といわれる独自のセミナー講演も定評。
著書:『ひとり情シスのためのRPA導入ガイド』『ひとり情シス「セキュリティ寺」へ駆け込む!』(リックテレコム)、『図解入門ビジネス 工場・プラントのサイバー攻撃への対策と課題がよーくわかる本』(秀和システム)
目次
RPA導入は“部署ごと”ではなく“工程”で考える!実際の活用事例を紹介
RPAはエクセルへの単純入力作業など、人の判断が入らない「定型作業」を自動化するツールです。その特性から考えると、RPAを導入しやすい部署は帳票作成などの業務を多数抱える経理や人事などの、バックオフィス系と言えるでしょう。
実際に企業のRPA活用事例をチェックしていても、バックオフィスで使われているケースは、やはり多く見かけます。ただし、産業RPA活用アドバイザーとしての意見を言わせていただくと、RPAの導入しやすさは“部署ごと”に考えるよりも、その部署に“導入できる工程”があるか、ないかで考えるべきです。どの部署の仕事にも、多かれ少なかれ、人の判断が入らない「定型作業」はあるものなので、それならどのような部門でもRPAを導入することができるものです。わかりやすいように、私の経験からバックオフィス系業務以外でのRPA活用例を紹介していきます。
業界でも珍しい!?工場や生産現場でのRPA活用事例
私はRPA活用のメインの場であるバックオフィスではなく、工場や生産現場へのRPA導入の専門家として活動しています。この業界の中でも非常に特殊なポジションですが、そのような場所でもRPAを活用できるのです。
データ連携のインターフェイスプログラムとして活用
たとえば、生産現場の機械に付随するシステムで、計測データが収集されているとします。本来はそのデータを、そのまま上位システムのデータベースへ連携するような、カスタマイズをしたいところです。しかし、レガシーなシステムだと改修に膨大な費用がかかるなど、現実的に難しい場合があります。そこで、データ連携のプログラムのようにRPAを使うことを考えました。それぞれのシステムには外部データ(CSVファイル)の出力や入力を、人が操作できる標準画面があります。その画面操作をRPAで自動化することで、システム間のデータ連携を低予算で実現することができたのです。
品質管理のための報告資料用のデータ抽出に活用
また、品質管理のコアな部分では、会議用などでエクセルを酷使した報告資料をつくるケースがよくあります。そこも多種多様な生データから集約(いろいろなシステムからデータを抽出)するといった点では、意外にRPAが活躍できます。
生産現場は品質管理などが非常にシステム化されているものですが、資料をまとめる際はそのシステム内からいろいろなファイルの情報を用いて、加工することがあります。RPAは使いづらいイメージがあると思いますが、こういうところでもRPAは活躍することができるのです。
人事・総務、経理、営業など…部門別RPA活用事例をご紹介
私の専門である工場や生産現場以外にも、RPAは広い分野で活用されています。部門ごとに、具体的にどのようにRPAが活用されているのか見ていきましょう。
人事・総務部門
人事や総務部門は、勤怠管理におけるデータ収集業務や給与計算業務など、定型業務が非常に多く、RPAの自動化が行いやすい部署です。全社員の毎月の勤務時間、有給休暇の残数、社員の引っ越しによる社会保険の書類変更などは、とても手間がかかる業務のため、ここをRPAで自動化することで、工数削減を行うことができます。
経理部門
経理部門も、伝票などデータの入力およびそのデータの集計など、RPAが導入しやすい業務が多い部門です。そのほか入金データをCSVファイルとしてインポートしたり、会社が取引した金額を細かく記載する帳簿を作成したり、入金と売掛金を突き合わせてデータを修正していく支払消込といった幅広い会計作業があり、RPAを活用するのにもってこいです。実際にRPA導入企業の多くは、経理部門でRPAを活用しています。
営業部門
バックオフィス以外の営業部でも、RPAの活用は可能です。営業部には、見込み客のリストづくり、見積・請求書の作成、在庫確認のメール送信など、内勤系の業務であれば工夫次第でRPAを導入して自動化できます。RPAをうまく活用すれば、営業の本来の仕事である“顧客とのコミュニケーション”に、より多くの時間を割くこともできるようになるでしょう。
開発部門
開発部門では、エンジニアが作成したプログラムが想定通りに動作するか、チェックする過程があります。この過程でRPAを活用することで、複数のブラウザーでテストを実施し、終了後には担当者にメールが届く、というところまで自動化することができます。また研究開発の分野であれば、スタンドアローン(独立)の装置でなければ、各種分析装置からのデータを集約するのにも活用できる可能性はあります。
RPA=バックオフィス系部門で活用するもの、と思われがちですが、実際には営業部や開発部などでも利用されているケースがあります。冒頭でもお伝えした通り、やはり“部署ごと”で考えるのではなく、「自分が担当しているこの業務は、自動化して効率化できないか?」と業務を見直してみることが大事なのだと思います。
RPA導入後のトラブル対応策には、運用管理サービスを活用する手も
このように、さまざまな部署で活用することができるRPAですが、これまでも書いてきた通り、「導入すれば自動化・効率化できる」というものではありません。
では人事・総務や経理部門などいわゆるユーザー部門の方々は、最初にどこでつまずくのでしょうか。産業RPA活用アドバイザーとして今まで見てきた限りでは、RPAに関する知識がそこまでなくても、シンプルな自動化であればシナリオをつくることができるが、少し複雑な作業を自動化しようとしてシナリオをつくると、うまく動かない、エラーが起きて止まってしまう、というケースが多々あります。
このときに、情報システム部門などにすぐに頼ることができて、明確な回答をもらうことができる、サポート役がいればいいのですが、すぐに対応してもらえないこともあるでしょう。その時現場の社員がどうしているかといえば、TwitterなどのSNSで救いを求めている…といったケースも、最近ではよく見かけます。それほど頼れる人がいない環境で、初めて扱うRPAを的確に活用するのは簡単ではない、ということは容易に想像できます。
そんなときに頼れるのは、複数のRPAツールの運用や操作を一元管理することができる、RPA運用管理サービスを提供する会社の、ヘルプデスクです。運用管理サービスはRPAの管理・運用だけでなく、困ったときにサポートを受けることができます。RPAの使い方で悩んでいる企業は一度、検討してみることをおすすめします。
まとめ:RPAはどのような業種・職種の業務でも、活用できる可能性が高い!
RPAは人事や経理、総務などのバックオフィスだけでなく、営業、開発、生産の現場などでも活用することができます。もし現在の業務で自動化できそうなものがあれば、検討の余地があるでしょう。ただし導入後のフォロー体制についても考えておく必要があります。とくに全社横断でRPAを活用する際は、複数のロボットを管理するための運用管理サービスの存在が欠かせません。
業務効率化の手段として、RPAをうまく使いこなしていきましょう。
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