なぜクラウドシフトがDXに必要なのか? クラウドリフトとの違いも解説

デジタル技術を活用することで、ビジネスはもとより日常生活をより豊かなものへの変革するDX。少子高齢化という社会問題もあり、政府もDX推進に取り組んでいますが、その際に不可欠だとされているのがクラウド移行です。中でも「クラウドシフトが重要」と言われていますが、ここではクラウドシフトのメリットや、クラウドリフトとの違いなどについて解説します。

DXを推進するためのクラウド活用とは

DXという言葉は、2004年にスウェーデン・ウメオ大学のエリック・ストルターマン教授が提唱した概念を表すもので、その必要性はかなり前から説かれていました。以前から日本国内の企業でもDXに取り組んでいる企業はありましたが、経済産業省は2018年に発表したDXレポートの中で、「2025年の崖」という言葉を使い、真のDXが進んでいないことを指摘。DXを本格的に実現するために乗り越えなければならない課題として、既存システムの老朽化やブラックボックス化などを挙げました。

現在これらの課題をクリアするためにはクラウドの活用が不可欠だと言われているのですが、どのシステムを、どんなサービスを使って、クラウド移行をしていくかを検討する必要があります。そこで、ここでは「SaaSの利用」「クラウドリフト」「クラウドシフト」という3つのアプローチについて紹介します。

方法① SaaSの利用

一つ目は、自社で保有しているオンプレミスのファイルサーバーやグループウェアサーバーなどの情報系システムをSaaSに置き換える方法です。SaaSは導入のハードルが低く、最も手軽にクラウド移行を実現する方法と言えます。

以前は多くの企業がオンプレミス環境に自社のシステムを構築するのが一般的でしたが、現在はメールをはじめ、情報共有ポータル、ストレージ、バックオフィス業務やマーケティング業務に関わる機能まで、さまざまなアプリケーションがSaaSで提供されています。そのため、オンプレミスでシステムを構築する企業は減少し、代わりにSaaSを利用する企業が増えています。ただし、企業やその業務内容によっては、必要なシステムやアプリケーションをSaaSで代用できないケースがあることには留意しておきましょう。

方法②クラウドリフト

二つ目は、オンプレミスのシステムをIaaSに乗せ換える方法です。
前項で少し触れたとおり、①の場合、コアコンピタンス領域の業務システムに関しては、SaaSでまかなうことが難しいケースがあります。そこで、オンプレミス環境で稼働する仮想マシン上のシステムをそのままクラウド環境に移行するというのが、この二つ目の方法です。一つ目がアプリケーションの移行だったのに対して、二つ目はシステム全体を移行するという点が異なります。

メリットは、システムの中身を作り変える必要がないので、手間をかけず短期間で移行できるところです。一方、デメリットは、IaaSを利用することでハードウェアの保守・運用業務はなくなるものの、それより上のレイヤーにあるOSやミドルウェア、アプリケーションのアップデートなどの保守・運用業務は残るため、大幅な業務改善にはつながらないところです。

方法③クラウドシフト

三つ目は、オンプレミス環境からクラウドへ移行する際に、業務システムを新たに開発、導入する方法です。

クラウドリフトよりさらに本格的なクラウド移行をするための方法で、コンテナやサーバーレスといった最新技術、PaaSを中心とした環境に移行することによって、ミドルウェアやアプリケーションの運用における業務改善につながることがメリットです。デメリットは、アプリケーションなどをクラウドネイティブなものに作り変えることが必須となるため、クラウドリフトよりも手間とコストがかかります。また、クラウドサービスや最新技術に精通したエンジニアが必要で、実施するためのハードルは高いと言えるでしょう。

なぜSaaSの利用、クラウドリフトだけでは不十分なのか

クラウド移行を実現するために、まずは手を付けやすいシステムからSaaSを利用したり、クラウドリフトをしたりすること自体には、特に問題はないでしょう。しかし、達成すべき目的がクラウド移行ではなく、DXであることを忘れてはいけません。DXを達成する、つまり業務効率化や生産性向上を徹底的に実現するためには、SaaS利用やクラウドリフトは十分ではなく、クラウドシフトが必要となります。

クラウドシフトなら、クラウドのメリットであるスケーラビリティを最大限に生かすことができ、開発の生産性や運用の効率性を高めることができます。また、APIを使用してほかのシステムやサービスとのデータ連携がしやすく、iPaaSと相性が良いため、ハイパーオートメーション、ひいてはDXを実現しやすくなります。

まとめ

この記事では、クラウド移行の方法として、「SaaSの利用」「クラウドリフト」「クラウドシフト」という3つの方法を紹介しましたが、忘れてはいけないのは、クラウド移行が目的ではないということです。あくまでDXを推進し、生産性を向上させることが目的です。そのためにはクラウドシフトが必要になることは説明しましたが、自社内のエンジニアで実現するのが難しい場合は、最新技術に精通した外部パートナーに依頼することも検討してみましょう。

日立ソリューションズなら、クラウド移行だけでなく、その先にある運用や活用を見据えたサポートが可能です。

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