RPAとAIは何が違う?RPAとAIの違いについて解説!

業務効率化やDX推進に役立つものとして、昨今さまざまな業種で取り入れられているRPAやAI。その概要や違い、また有効な活用方法について解説します。

そもそもRPAとは?

RPAとは「Robotic Process Automation」の略語で、「ロボットによる業務自動化」を意味する言葉です。RPAツールと呼ばれることもありますが、これを活用することで、日々の業務の中で人間がPCを使って行っている作業を、人間がやるのと同じように自動的に作業をさせることができます。作業の内容やルールを覚えさせて自動的に繰り返すという仕組みであるため、RPAはルーティンワークに適していると言われています。
RPAは、覚えたルールに従って設定どおりの手順で作業を行います。そのため、作業手順が毎回変わるような業務や、何か判断する必要があるような業務には、あまり適していないと言われています。
また、RPAツールは大きく分けて「デスクトップ型」「サーバー型」「クラウド型」の3つに分類されます。それぞれを簡単に説明すると、RPAが個人のパソコン上で作業を自動化する「デスクトップ型」、RPAがサーバー内で統括的に作業を自動化する「サーバー型」、クラウドサービス内にRPAを導入し、Webブラウザー上の作業を自動化する「クラウド型」という違いがあります。

AIとは何か?

AIとは「Artificial Intelligence」の略語で、「人工知能」を意味する言葉です。ソフトウエアを用いて人間の知覚や知性を人工的に再現したものを指しています。AIは、与えられた膨大なデータをもとに、自ら学習し、自ら判断基準を設定して判断を行うことができます。また、AIはその機能面において、大きく2つに分類されます。ひとつは、特化型AIと呼ばれるもので、ある特定領域の課題に対して自動的に学習し、処理を行うことができるAIです。画像認識や音声認識などの機能を持ったAIがこれに当たります。もう一方は、汎用型AIと呼ばれるもので、特定の課題だけではなく、さまざま課題に対して処理を行うことができるAIです。人間は、経験したことがない課題に対しても、自分の経験や知識を応用して、課題解決へと導きます。その人間と同じような処理能力を持っているものが、汎用型AIに当たります。

RPAとAIの違いは?

上述したように、RPAはあらかじめ設定されたルールや基準に従って作業を行うのに対して、AIは自ら判断をして作業を行うという違いがあります。また、RPAは業務を自動化するシステムであるのに対して、AIはそれ単体で何かをするわけではなく、システムやデバイスに組み込まれることで機能します。イメージとして捉えるなら、RPAは人間指示どおりに作業を代替してくれる「手」。一方、AIはどのように作業を進めるかを人間の代わりに考えてくれる「脳」と言えるでしょう。
しかし、RPAの中でもスペックによって違いがあり、AIを搭載した高度なRPAも存在していることには注意が必要です。
RPAは、下記の図のようにClass1~Class3までに分類されており、対応できる作業に違いがあります。

Class1 Class2 Class3
RPA
(Robotic Process Automation)
EPA
(Enhanced Process Automation)
CA
(Cognitive Automation)
RPA RPA+AI
データ入力、複数のアプリケーションの連携が必要な定型業務を自動化する 形式が定められておらず、処理がされていないデータ(非構造化データ)の収集や分析といった非定型業務を自動化する 高度な人工知能により、プロセスの分析や改善、意思決定までを自動化する

RPAとAIを組み合わせるメリットは?

これまで企業で導入されてきたRPAの多くは、単純作業を自動的に繰り返すRPAです。手作業をする手間を削減できるというメリットはあるが、RPAで自動化できる分野や領域は限定的です。たとえば、作業手順が明確化されていない業務では、RPAに手順を設定することができません。また、イレギュラーが発生するような業務では、RPAが正しく機能しない場合があるので、結局エラーがないかを人間がチェックする必要があり、完全に自動化することはできません。
しかし、上の図で挙げたEPAやCAと呼ばれるもののように、RPAとAIを組み合わせることで、単純作業の自動化だけではなく、自ら学習し、その課題に対して最適な処理を行うというところまでできるようになります。
たとえば、商品の売り上げ予測など、人間が分析ツールを駆使しながら膨大な時間をかけて行っているデータ収集や分析も、RPAとAIを組み合わせることで、人間よりも正確かつ早く行うことができるようになり、生産性を上げることも可能になります。ほかにも、RPAと光学文字認識技術にAIが加わったAI-OCRを組み合わせることで、不定形帳票からでもデータ収集を行い、基幹システムに登録するといったことができるようになります。

RPAとAIを組み合わせた活用事例の紹介

事例① RPA×AI-OCR

ある自治体では、住民から申請された内容をシステムに登録する際に、職員が手入力していたが、申請が集中する時期の作業負担が大きいことが課題でした。
そこで、RPAとAI-OCRを導入。AI-OCRとは、手書きされた文字や印刷された文字をスキャナーで読み取りつつ、学習データに基づいて文字を予測することで、より高い精度で文字認識をする技術のことです。
RPAとAI-OCRとを組み合わせることで、職員は受理した書類を目視で確認し、スキャンするだけで、あとはAI-OCRが書類を読み取ってデータ化し、RPAが自動的にシステム登録を行うことができるようになりました。

事例② RPA×対話型AI

ある保険会社では、顧客からの保険金の請求に関してオペレーターが対応していましたが、人手不足という課題を抱えていました。
そこで、RPAとAIチャットボットを導入。AIチャットボットが顧客と対話しながら、保険金支払い申請のために必要な情報を引き出し、RPAがその情報をシステムに登録することで、保険金の請求手続きを自動化することができました。これにより、オペレーターの業務負担を軽減し、顧客対応にかかるコストを大幅に削減することに成功しました。

まとめ

業務の効率化を進めるうえでRPAは非常に有効な手段ですが、そこにAIを組み合わることで、単純作業だけでなく、人間にしかできないと思われていたような複雑な処理も可能になります。さらに、技術が進化していくことで、人間よりも効率的、かつ確実に作業を進めることもできます。
近い将来、業界を問わず深刻な人手不足になることが予想されている今、RPAとAIの導入に向けた準備をしてみてはいかがでしょうか。

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