ハイパーオートメーションのはじめ方
~取り組みの手順や必要なスキルを解説

近年「ハイパーオートメーション」という言葉が注目されています。「ハイパーオートメーション」は業務自動化の新しい概念として、これからのトレンドとなっていくと考えられています。しかし、まだ新しい考え方のため、実際にどのように始めたらいいのか困っている企業が多く見られます。
そこでこの記事では、日立ソリューションズが自社で実践したハイパーオートメーションから得られた知見をもとに、取り組みの手順や必要なスキルを解説します。

ハイパーオートメーションとは

ハイパーオートメーションは、新しい業務自動化の概念で、RPA、iPaaS、AI、LCAP(ローコード・アプリケーション・プラットフォーム)などの複数の技術を組み合わせて実現します。ハイパーオートメーションでは、複数の業務を含むビジネスプロセス全体を自動化し、従来のRPAを超えた高度な自動化を達成します。

関連情報:コラム「ハイパーオートメーションとは?RPAとの違いやメリット・デメリットについて解説」

ハイパーオートメーションがもたらす効果

ハイパーオートメーションはさまざまな効果をもたらします。
たとえば、導入の過程でビジネスプロセス全体の可視化をするため、無駄な手順を見つけ排除することでプロセスの最適化が可能になります。またほとんどの工程をソフトウェアで自動化することにより、人為的なミスを大幅に減らし、業務の品質向上に寄与します。
さらに作業時間を大幅に削減し、ビジネスのスピードを加速させます。顧客への対応も迅速になり、その結果顧客満足度の向上も期待できます。
そして、ビッグデータを用いた分析によって新たなビジネスアイデアや経営判断をサポートしたり、人材をよりクリエイティブな仕事にアサインすることが可能になり、生産性の向上につながります。

ハイパーオートメーションに取り組むステップ

それでは、実際にハイパーオートメーションに取り組むには、何からはじめたらよいのでしょうか。ここでは、ハイパーオートメーションを成功させるために必要な取り組みのステップをご紹介します。

1.目標を明確に定義する

まずはハイパーオートメーションの導入目標を明確に定義することが重要です。目標を明確にすることで、ハイパーオートメーションで実現したい具体的な価値や効果が定まります。例えば、サポート業務における顧客応答時間の短縮や、タイムリーな納品などです。このときにKPI(Key Performance Indicators)を設定しておけば、効果を測定しやすくなるでしょう。また、目標がはっきりしていることで、自動化に必要なツールや技術の選定も容易になります。

2.推進チームを結成する

ハイパーオートメーションを推進するためのチームを結成しましょう。ハイパーオートメーションでは、複数の部門にまたがる業務プロセスを自動化します。そのため、それぞれの部門からメンバーを選出して推進チームを作り、部署間の連携をとりつつ進めていく必要があります。メンバーには、業務プロセスの知識がある人、自動化に関する知識や経験を含むITの知見を持つ人材を集めることが望ましいでしょう。

3.対象業務のビジネスプロセスを洗い出してどのように改善するか検討する

ハイパーオートメーションの導入にあたっては、まず対象業務のビジネスプロセスを洗い出すことが必要です。どのような作業をどのシステムを使って行っているかを洗い出し、部門間でどのように情報がリレーしているのかを把握します。例外的な処理や利用している情報システムの種類、作業にかかっている時間についても、書き出しておく必要があります。このようにプロセスを見直すことにより、ムダや改善点を発見することもできます。そのうえで、新しい業務プロセスを設計します。

4.ツールを選定し、実装する

新しく設計した業務プロセスを元に、適切なツールを選定します。 ツールの選定は、目的や目標、要件に合わせて行う必要があります。また、ツールの導入にはコストや運用面での負荷などがあるため、事前に評価を実施し、総合的に判断することが必要です。RPA、iPaaS、LCAPなど、さまざまなツールの中から最適なものを選定しましょう。ツールを導入したら、いよいよ実装に入ります。さまざまなシステムや部署に影響が及ぶ可能性があるので、あらかじめ影響範囲を把握し、バグやリリース管理などもしっかり行いましょう。

ハイパーオートメーションに求められるスキル

ハイパーオートメーションには、どのようなスキルが求められるのでしょうか。実は、業務ユーザーでも使える簡単なツールを選定したとしても、ハイパーオートメーションの適用には幅広いスキルや知識が必要とされます。

1.上流設計

ハイパーオートメーションを導入する場合、RPAなどによる自動化を適用するよりも広範囲の業務が対象になります。それゆえ、その業務全体を把握し、そこから課題を抽出できる力が必要です。そのうえで課題を解決し、全体最適を考慮したプロセス設計を行う力が求められます。

2.現行業務にとらわれずにプロセス改善する

ハイパーオートメーションは、単に現行業務をそのまま自動化することではありません。プロセス改善やデジタル化と並行して、データを生かせる形にすることが重要です。それによって、より効率的なプロセスを構築し、データを活用して業務の生産性を向上させることが可能になるのです。

3.ツール選定

ハイパーオートメーションを適用するためのツール選定においては、さまざまなツールが候補として考えられ、また複数のツールを組み合わせる必要があるため、多種多様なツールの知識が必要です。そのうえで、1つのツールにこだわらず、適材適所にツールを使い分けることが大切です。

4.従来のシステム開発的思考

部門間をまたがる業務全体にハイパーオートメーションを適用するとなると、影響範囲が大きくなります。そのため、いわゆるシステム開発の下流工程が重要になってきます。バグ管理やリリース管理はもちろん、排他処理、トランザクション、パフォーマンスなど、実装面でも考慮が必要です。実装のツールはローコード・ノーコードで簡単に使えるものを選定したとしても、プロジェクトの進行には従来のシステム開発的な考え方が必要とされます。

まとめ

ハイパーオートメーションは、これまでのRPAだけによる自動化よりも、さらに高度な自動化を実現し、もたらされる効果も高いといえます。
しかしながら、自社で取り組みを進めるには、一定のシステム構築のスキルが必要とされるため難しいことがあります。そのような場合は、プロに相談するのもよいでしょう。

日立ソリューションズは、既にRPAやiPaaSなどさまざまなテクノロジーを活用したハイパーオートメーションを実践しています。
ハイパーオートメーション、業務自動化についてお困りの際は、ぜひ日立ソリューションズにご相談ください。

  • 本コラム記載の情報は2023年6月時点のものです。

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