ルーティン業務を効率化するには?
RPAを用いた効率化方法をご紹介!
企業が生産性向上や収益向上のために取り組むべきことのひとつとして挙げられるのが、ルーティン業務(ルーティンワーク、ルーティン作業)の見直しです。ルーティン業務は、ほとんどすべての業界業種で行われていて、企業活動において必要なものであり、それ自体が悪いわけではありません。ただし、ルーティン業務は、改善される機会もなく、昔からの慣習をそのまま引き継いで行われているケースが多いため、無駄な作業が発生してしまっていることがよくあります。そのため、見直しをすることによって、業務を大幅に効率化できる可能性があると言えます。
本コラムでは、ルーティン業務が生む課題や効率化するための具体的な方法、さらに業務自動化に有効なRPAについて解説します。
ルーティン業務とは?
ルーティン業務の意味
ルーティンは「日課」や「決まった所作」という意味の英語です。スポーツ選手が意識を集中したり、パフォーマンスを安定させたりするために、決まった所作をすることを指して使われることがあります。
ルーティン業務とは、毎日や毎週など日常的に繰り返し行われる定型業務のことです。定型業務であるため、作業の順番ややり方が決まっていて、多くの場合、作業内容がマニュアル化されています。また、イレギュラーな対応が求められるケースはほとんどなく、誰がやっても品質に差が出にくいという特徴があります。
ルーティン業務の仕事の例
ルーティン業務に該当するものとしては、発注書や請求書といった伝票処理、勤怠管理やそれに伴う給与計算など、PCを用いた事務作業がまず挙げられます。その他にも、例えばマーケティング業務の中で決められたデータを定期的に取得し保存したり、日報や週報といった報告書の作成をしたりする仕事も、これに該当します。また、デスクワークだけでなく作業順序や工程が決まっている製造業務、いわゆるライン作業もルーティン業務のひとつです。
ルーティン業務によって生じる課題
ルーティン業務は手順ややり方が決まっており、ずっと繰り返しているうちに、本当にそのやり方が最適なのかどうかを考えなくなってしまう傾向があります。より効率的に、同じ成果が得られる方法があるにもかかわらず、それを採用できていないとすれば、知らず知らずのうちに企業としての生産性向上を阻害してしまっている可能性があるのです。
また、ルーティン業務はマニュアルにしたがって作業をするだけでできてしまうため、それに従事する従業員のモチベーションが低下してしまうという傾向があります。自分の頭で考えたアイデアを生かすような業務であれば、成果を上げることで、会社や周りの仲間に貢献できていることを実感できます。しかしルーティン業務の場合は、「自分でなくてもできる」「誰がやっても結果は同じ」という気持ちから、仕事にやりがいを見出しづらくなります。従業員がルーティン業務に慣れてしまい、仕事に対して受け身になる癖がついてしまったり、退屈さから離職してしまったりするケースも少なくありません。このようにルーティン業務は従業員が持っている能力を引き出しづらく、本来であればより大きな付加価値を埋めるはずの人材を、生かせていないという状況につながってしまうリスクがあるのです。
ルーティン業務を効率化する方法
上記のとおり、生産性を低下させかねないルーティン業務ですが、決してそれ自体が悪いわけではありません。ルーティン業務は、企業活動を下支えする大事な仕事であり、生産性低下を防ぐためには、いかに効率化するかが重要になってきます。ここからは、その方法について順を追って説明します。
ルーティン業務を洗い出す
まずは普段行っているルーティン業務のフローを一つひとつ詳細に書き出して、可視化します。その際に気をつけるべきことは、無意識に行っている動作も含めて、すべての手順と作業内容を洗い出すことです。
業務の洗い出しができたら、次に各作業の目的を言語化するようにしましょう。いつも決められた手順にしたがってやってきた作業の目的を言語化しようとすると、なかなか難しいと感じることがあるはずです。そうなってしまうのは、自分の中で作業が習慣化してしまい、「なんとなく」で仕事を片付けてしまっている証拠です。一つひとつ細かく洗い出すことで、その作業が「本当に必要なのか」「無駄になっていないか」を確認することができます。
なお、実際にこの洗い出しをやろうとすると、それだけで手間と時間がかかってしまい骨が折れると思います。しかし業務効率化を進めるうえで、課題を見つけ出すこのプロセスが非常に重要な土台になるので、手を抜かずしっかりと取り組みましょう。
作業内容を整理する
ルーティン業務の洗い出しができたら、次に各作業に優先順位をつけましょう。優先度に対して時間をかけすぎている、つまり無駄が発生している作業を見つけやすくなります。ここからは、無駄を削減する方法を具体的に検討していきます。簡単な例としては、作業を行う順番を入れ替えるだけで、無駄なひと手間を減らせるケースがあります。他にも、Aという業務とBという業務があり、それぞれに共通するCという作業があると仮定します。洗い出しを行った結果、Aの担当者とBの担当者で、Cの作業をする際の手順ややり方に違いがあることが分かった場合、どちらが効率的かを検証します。より無駄のない方法を共有することで、組織としての業務効率化を進めることができます。また、Aの担当者がCの作業だけを行ない、Bの担当者がCの作業以外の部分を行うというように、業務のフローを分解し、分担を変えることで効率化できるケースもあります。
このように新たなシステムやツールを使うことなく、作業内容を整理して、まとめ方を変えるだけでも業務効率化を図ることはできるのです。
自動化を検討する
上記のとおり、業務フローや作業分担を変えることで業務効率化が進むこともありますが、限界もあります。膨大な量を扱うデータ入力を手作業で行うには、やはり人手と時間がかかってしまいます。そこで次に検討すべきは「自動化」です。自動化ツールとして、身近なものとしてはMicrosoft社のExcelに備わっている「マクロ」が挙げられるでしょう。マクロを活用すれば、Excelを使ったさまざまな業務を、ボタン一つで自動的に処理することができます。特に「マクロの記録」という機能を使えば、プログラミングをすることなく、誰でも簡単にマクロを作成できます。さらにExcel業務だけでなく、幅広いPC作業を自動化したい場合には、近年多くの企業で導入が進んでいるRPAが有効な手段となるでしょう。
またルーティン業務の自動化は、業務効率化に役立つだけではありません。詳細は「RPAにルーティン業務を任せるメリット」の項で後述しますが、企業や従業員にとってさまざまなメリットがあります。
RPAによるルーティン業務の自動化
RPAについては、皆さんはどのくらいご存知でしょうか?RPAはDXを進めるうえでも、重要な役割を果たすITツールとして今注目されています。ここからはRPAを使った自動化について、「RPAとは何か」から導入するメリットまでを分かりやすく説明します。
RPAとは
RPA(Robotic Process Automation)とは、PCを使って行うデスクワークを自動化することができるテクノロジーのことです。ソフトウェアロボットにPC作業の手順を記憶させ、再現させることで、業務を自動化できるという仕組みです。
なお、RPAという言葉には広義と狭義があるので注意しましょう。狭義の場合、RPAは定型業務を自動化できるツールを意味します。一方広義の場合には、自然言語解析や画像解析、音声解析といったAI(人工知能)の技術を組み合わせた業務効率化ツールを意味します。つまり、広義のRPAであれば、非定型業務も自動化することができます。
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RPAで自動化しやすい業務
次にRPAで自動化しやすい業務ついてですが、ここでは狭義のRPAとして紹介します。RPAに向いている業務には以下の3つの特徴があります。
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定型化されているもの
業務内の一つひとつの作業について工程が決まっているものは、RPAに向いています。RPAは人の作業を真似ることで自動化するため、手順が定型化された単純作業が得意。逆に言えば、人間が何かを判断しながら行っているようなものや例外が発生するようなもの、手順が頻繁に変わってしまうようなものを自動化するのは不得意です。
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大量のデータを扱うもの
大量のデータを一気に処理する必要がある業務には向いています。あるシステムからデータを取得し、その中から必要なデータだけを抽出してレポートを作成するといったことは、データ量が膨大であればあるほど、手作業でやるよりもRPAで自動化するほうが、圧倒的に早く処理することができます。またこの点に関しては、処理能力に限界のあるExcelのマクロよりもRPAに優位性があり、高速かつ安定して作業を遂行することできます。
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反復的に行われるもの
定型的な業務で大量のデータを扱うものの中でも、同じ作業を何度も繰り返す業務のほうがRPAの効果を発揮することができます。毎日や毎週など、作業頻度が高いものであれば、大幅に業務効率化が図れます。
上記3つのような特徴を持つ業務は、直接的な利益を生みにくく、なおかつ、人手を必要とするものである場合が多く、自動化するメリットはかなり大きいと言えます。
RPAにルーティン業務を任せるメリット
ルーティン業務を効率化するツールとしてRPAを説明してきましたが、そのメリットを6つ紹介します。
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人件費が削減できる
RPAを活用することで、手作業で行なっていたルーティン業務を自動化すれば、作業時間を短くすることができます。その作業に割くべき労働力を減らせるため、企業としては人件費を減らすことができます。
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生産性が高まる
RPAで自動化しやすいルーティン業務の多くは単純作業で、利益につながりにくいものです。一方、RPAで自動化しにくい営業活動やマーケティング、サービス開発は、利益に直結するコア業務。RPAを導入することで削減できた労働力をコア業務に集中させれば、企業全体としての生産性を高めることができます。
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人手不足の解消につながる
少子高齢化が進む日本において、人口減少に伴う働き手不足は、今後ますます加速していくと考えられます。人材確保は、企業にとって大きな課題となるでしょう。その点で、人間が行う作業を代行してくれるRPAは、新たな働き手として有効です。しかもRPAなら24時間365日稼働させることもできるため、非常に大きな労働力になります。
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作業ミスを削減できる
人間は必ずミスをします。単純な作業であっても、注意力低下によるヒューマンエラーは避けられません。一方、RPAは人間のように体調や気分によってパフォーマンスが変わることはなく、設定されたルールにしたがって確実に作業を処理します。また、ミスを削減することは生産性低下を防ぐことにもつながります。
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離職を防ぐことができる
RPAを導入することで、従業員は単純作業から解放され、仕事に対するやりがいを見つけやすくなります。また労働時間が短くなれば、プライベートな時間を確保することができ、ワークライフバランスを実現しやすくなります。これらによって離職率を低下させることができるというわけです。
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業務改善のきっかけづくりになる
RPAの直接的なメリットではないのですが、RPAを導入することで、業務の見直しができます。RPAを導入する際には、業務の洗い出しをしたうえで、どの業務を自動化するかを検討します。この洗い出しによって、課題が顕在化。RPAを導入するまでもなく、業務改善が進むことがあります。
RPA導入の成功事例
ここから日立ソリューションズがRPA導入支援を行った企業の事例を紹介します。
清水建設株式会社
2017年からRPAを導入し、業務効率化に取り組んでいた清水建設株式会社。会社全体で約100台のロボットを活用して成果は上がっていたものの、部門ごとにツールを導入していたため、RPAの種類がばらばらでライセンスコストが高くなっていました。また部門間での共有や共通化も難しい状態でした。
そこで当社が支援を行うことで、ロボット開発から運用管理までを一元管理できる体制を整備。RPAツールを一本化し、すべてのロボットの稼働状況を管理サーバーから集中モニタリングできるようになったことで、各部門に対してサポートを行う情報システム部の業務を、効率的に行えるようになりました。さらに、全社展開におけるノウハウを提供したことで、よりRPAを効果的に活用できる環境を整えることができました。
本事例について、さらに詳しい内容はこちらでご確認いただけます。
アズビル株式会社
計測・制御機器を製造するアズビル株式会社では、製品開発に必要な情報を管理・共有するために、製品ライフサイクル管理システム「Windchill」を運用しています。しかし、Windchillにデータを登録したり、変更したりするための煩雑な作業に手間がかかっていたことや、作業が特定の時期に集中していることにより、従業員が残業を余儀なくされていました。また、Windchillの画面表示が特殊な方法でコントロールされているため、RPAを導入するにも検証が必要であるという課題も抱えていました。そこでアズビルでは各社のRPAを使いPoCを実施。日立ソリューションズが提供するツールとノウハウが、Windchillを使った業務の自動化に最適であるという結論に達し、RPAを導入することになりました。
RPA導入の成果としては、Windchillへのデータ登録業務において、約5カ月で200時間相当の工数削減に成功。ロボットに作業を任せることができ、従業員が残業する必要がなくなりました。
本事例について、さらに詳しい内容はこちらでご確認いただけます。
イワキ株式会社
化粧品原料や機能性食品原料、健康食品原料などを取り扱う、ヘルスケア・ファインケミカル専門商社のイワキ株式会社では、働き方改革を進めていました。しかし、同社では月間500万件もの受注があり、各システムを監視する情報システム部の従業員は、なかなか休みが取りづらい状況にありました。また、販売管理システムには、顧客ごとに個別のプログラムがあり、受注プログラムだけでも約200本が稼働。多くのデータ連携処理は自動化していたものの、手作業で対応している業務も残っていたため、業務効率化が進まないという課題がありました。
そこで自動化の対象となる業務の洗い出しを、日立ソリューションズが同社と一緒になって実施。Webからの情報収集や請求書の集計処理といった簡単な定型業務だけでなく、値引き申請の情報をAS/400というIBM社のレガシーシステムに登録するというワークフロー処理もRPAによって自動化し、手作業の削減を実現。また、他部門でのRPA活用を見据えて、ロボットの開発手法の標準化にも取り組みました。これにより、今後さらなる業務効率化を行う土台を築くことができました。
本事例について、さらに詳しい内容はこちらでご確認いただけます。
RPAなら日立ソリューションズにお任せ
まずは日立ソリューションズで販売しているRPAツールの一部を簡単に紹介します。
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Automation 360(旧 Automation Anywhere Enterprise A2019)
「Automation 360」は90カ国以上の国において、3,500社以上の企業に対してRPAツールの提供を行っているオートメーション・エニウェア社が提供する最新のRPAプラットフォームです。オンプレミス、クラウドのどちらにも対応。AIと連携することで複雑な業務も自動化することができます。
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「Workato」は、APIを利用することで、クラウド・オンプレミス問わず、さまざまなシステムの連携を可能にするiPaaS製品です。これによりPC単体ではなく、複数の組織やシステムにまたがる業務プロセス全体までも自動化することができます。
日立ソリューションズでは、前項の事例以外にも、さまざまな業界業種のお客様に対してRPA導入支援を行っており、年間約30万時間という労働時間の削減に成功した、RPA活用ノウハウを持っています。そういったノウハウやRPA導入のための費用などを、資料として配布しています。以下からダウンロードが可能ですので、RPA導入を検討されている方はぜひ参考になさってください。また、RPA関連のセミナーや展示会も開催しています(2022年8月現在、オンラインのみとさせていただいています)。
まとめ
企業としてさらなる成長を遂げるためには、生産性低下を招きかねないルーティン業務には、早めに手を打つべきです。本コラムで紹介したルーティン業務を効率化するための方法やRPA導入のメリット、各社の成功事例を参考にしながら、業務効率化を進めていきましょう。また、ルーティン業務を自動化した場合、働き方が大きく変わる可能性があります。自動化する目的や従業員にとってのメリットを示し、実際にルーティン業務に携わっている現場の方々の協力を得ながら、取り組むことをおすすめします。
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