as a Service (〇aaS)大全
- iPaaS, IaaS, PaaS, SaaSなどの違いとそれぞれの魅力を解説

SaaSやiPaaSなど、○aaSという言葉を目にする機会が増えていますが、それぞれの意味や特徴をご存知でしょうか? この記事では、トレンド技術の知識を身につけたうえでどう活用していくべきかを考える手がかりとして、用語の解説や事例紹介をしたいと思います。

as a Serviceとは? なぜ増えているのか?

SaaSやiPaaSといった単語に含まれている「aaS」は、「as a Service」の頭文字を取ったものです。「SaaS」は「Software as a Service」、「PaaS」は「Platform as a Service」の略語ですが、「as a Service」は「サービスとしての」と訳すことができるので「サービスとしてのソフトウェア」「サービスとしてのプラットフォーム」と訳すことができます。この後で紹介する「IaaS」「iPaaS」のほかにも、「BaaS」「DaaS」「MaaS」「AIaaS」など、現在数多くの「○aaS」が登場しています。

では、なぜ「○aaS」が増えているかというと、その背景にはクラウド技術の浸透があります。少し前までは、サーバーやネットワーク機器を自社で揃えて、各企業が独自のシステムを構築する、いわゆるオンプレミスが主流でしたが、初期費用がかかることや運用負荷が高いことが課題でした。そこで登場したのが、初期費用や運用負荷を抑え、誰でも手軽にIT環境が手に入るクラウドサービスです。従来、製品(モノ)として提供していた機能を、サービスとして提供するのが「○aaS」であり、ハードウェアやソフトウェアなど、IT環境を構築するための製品をサービスとして提供し、クラウド上で使えるようにしているのが「SaaS」や「PaaS」というわけです。

IaaS、PaaS、SaaS、iPaaSの違い

次に「IaaS」「PaaS」「SaaS」「iPaaS」の4つについて、意味やメリットについて解説します。それぞれの特徴と違いを理解するための参考にしてください。

IaaS(Infrastructure as a Service)とは?

IaaS(Infrastructure as a Service)とは、ネットワーク、サーバー、OSなどのITインフラをクラウド上で利用できるサービスのことです。ハードウェアインフラを自社で保有する必要がなく、ストレージやネットワークのリソースなどを必要な分だけ活用ができるのが特徴です。事業規模に合わせて拡大・縮小するなど、システムに柔軟性を持たせることができます。サービスの具体例としては、「Amazon EC2」や「Azure Virtual Machines」がこれに該当します。

PaaS(Platform as a Service)とは?

PaaS(Platform as a Service)とは、アプリケーションを稼働させるためのプラットフォームをクラウド上で利用できるサービスのことです。PaaSでもサーバーやハードウェアは提供されますが、ミドルウェアまで提供される点が、IaaSとの違いです。IaaSはPaaSと比べて仕様上の自由度が高いものの、インフラの設計や管理などを自分で行う必要があります。PaaSはIaaSよりも自由度は劣りますが、インフラの設計や管理を気にすることなく、アプリケーション開発に注力できます。サービスの具体例としては、「Google Cloud Platform」や「Salesforce Platform」がこれに該当します。

SaaS(Software as a Service)とは?

SaaS(Software as a Service)とは、ソフトウェアの機能をクラウド上で利用できるサービスのことです。レイヤーの違いで言うと、ミドルウェアまで提供されるのがPaaS、アプリケーションまで提供されるのがSaaSです。CD-ROMやDVD-ROMなどのパッケージ製品として販売されていたメールソフトや会計ソフトは、PCにインストールして利用しますが、SaaSであれば端末に依存することなく、インターネット経由で利用できます。サービスの具体例としては、「Slack」や「Zoom」がこれに該当します。

iPaaS(Integration Platform as a Service)とは?

iPaaS(Integration Platform as a Service)とは、オンプレミスまたは異なるクラウド環境にあるシステムやアプリケーションをつなぎ、データ統合や機能連携を可能にする統合プラットフォームサービスのことです。IaaS、PaaS、SaaSは提供されるサービスのレイヤーの違いで分けることができましたが、iPaaSはこれらとは少し質が異なり、異なる環境下にあるシステムやアプリケーションをつなぐことを目的としたサービスで、業務効率化を図ることができます。サービスの具体例としては、「Workato」や「Zapier」がこれに該当します。

なぜiPaaSが注目されているのか

SaaSなどのクラウドサービスの普及に伴い、iPaaSの需要も拡大しているですが、その背景にはクラウドサービスの増加による課題があります。ここからは、その課題やiPaaS市場の状況、さらにiPaaSの活用事例を紹介します。

クラウドサービスが増えることで生まれる課題

クラウドサービスは、コストや手間を抑えて、手軽に自社に必要な環境やアプリケーションが手に入るため、事業規模を問わず、多くの組織で利用されています。特にSaaSは分野ごとにさまざまなサービスがあり、社内の各部門で別々のSaaSを導入。これにより社内の部門ごとにデータが孤立し、データ連携が難しくなるケースがあります。また、さまざまなクラウドサービスを組み合わせることで、より効率的に業務を行いたいというニーズがある一方で、複数のクラウドサービスを管理・操作することによる煩雑さが生まれます。
データの孤立や管理・操作の手間といった課題をクリアするのがiPaaSであり、需要が急速に拡大している理由でもあります。iPaaSを活用すれば、クラウドサービスを連携し、データ連携を自動化し、業務全体を効率化することができるのです。

拡大するiPaaSの市場規模

iPaaSの市場規模に関しては、下記のように予測されており、今後も拡大を続けていくと思われます。

グローバルインフォメーション社プレスリリース「iPaaSの市場規模、2026年に139億米ドル到達予測」より抜粋
iPaaS(Integration Platform as a Service)の市場規模は、2021年の37億米ドルからCAGR30.3%で成長し、2026年には139億米ドルに達すると予測されています。

iPaaS市場拡大の一因として、新型コロナウイルスによって、全世界のさまざまな業界で遠隔操作や在宅での業務遂行が重要な課題となったことが挙げられます。あらゆる企業で、クラウドサービスの導入が進み、統合プラットフォームであるiPaaSへのニーズも急速に高まりました。今後はリモートワークがさらに一般化し、技術革新によって新たなクラウドサービスも次々に登場すると考えられるため、それらを連携するiPaaSの市場も成長するでしょう。

関連情報:
コラム「iPaaSとは?業務の自動化に革新をもたらす製品や事例を紹介」

iPaaSを活用した業務効率化の例

iPaaSのメリットは、データ連携や機能連携をすることによる業務効率化にあります。例えば、チャットツールと業務管理システムをiPaaSで連携した場合、以下のようなことが可能になります。
従業員がチャットツールで申請を行うと、その情報が自動で業務管理システムに登録されたうえ、管理者にはその旨がチャットツールで通知。管理者が内容を確認して承認すると、システムのステータスが自動で変更され、申請者には自動で通知が届きます。手間のかかる申請・承認業務から無駄な作業時間を削減し、業務を効率化することが可能です。ほかにも、名刺管理を行うSaaSとオンプレ環境の顧客管理システムをiPaaSで連携すれば、名刺を登録すると自動的に顧客管理システムにも登録されるといったことができます。

関連情報:
「Workato 活用例」

まとめ

この記事では、○aaSについての基礎知識とiPaaSのメリットなどを紹介しました。業務効率化ツールとしてRPAはすでに浸透してきていますが、iPaaSはクラウドサービスの連携による業務効率化が図れる有用なサービスです。テクノロジーごとの特長を理解し、適材適所で活用していきましょう。

なお、日立ソリューションズでは、iPaaSの代表的なサービスである「Workato」の導入支援を行っています。「Workato」はオンプレミス・クラウドを問わず多種多様なアプリケーションをノーコードで統合できることが強みです。もし導入を検討されている場合は、ぜひ日立ソリューションズにご相談ください。

  • 本コラム記載の情報は2023年12月時点のものです。

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