RPAの資格とは?
種類やメリット、難易度別の勉強方法まで徹底解説
RPAは、業務効率化と生産性向上につながるツールのひとつとして注目されています。プログラミング知識がなくても導入ができる点がメリットのひとつだと言われていますが、RPAに関する知識やスキルを身につければ、より効果的に活用することができます。ここでは、知識やスキルを身につけるための指針となるRPA資格に関して、その種類から勉強法までを解説します。
- ※本コラム記載の情報は2022年11月時点のものです。
目次
RPAとは一体なに?
RPA(Robotic Process Automation)とは、業務プロセスを自動化するソフトウェアロボットのことです。近年多くの企業が働き方改革に取り組む中で、業務量や労働時間の削減を実現するITツールを活用しており、RPAはそのツールのひとつです。RPAは本来人間が手作業で行っていたデータ入力や転記作業など、単純な定型業務を自動化することができるため、デジタルレイバー(仮想知的労働者)とも呼ばれています。
企業にとってRPAを導入するメリットはいくつかあります。たとえば業務プロセスの一部をRPAで自動化することで、そこに割いていた労働力をより生産性の高いコア業務に向けることができ、生産性を向上させることができます。ほかにも単純作業で発生していたヒューマンエラーの削減や、従業員のモチベーション向上にもつながります。
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RPAの資格にはどんなものがある?
RPAの資格として、国家資格のようなものは現時点でありません。しかし、RPAツールを販売するベンダーがそれぞれ認定資格試験を実施しており、これに合格することでRPA資格を取得することができます。
現在さまざまなRPAツールが販売されていますが、有名なところでは「Automation Anywhere」「UiPath」「WinActor」「BluePrism」「BizRobo!」という5つのRPAツールが挙げられます。このいずれにも資格試験があります。
では、ここからは「Automation Anywhere」の資格試験を中心に、資格の種類や取得するメリット、勉強方法を紹介します。
Automation Anywhere RPA認定試験とは?
前項で挙げた「Automation Anywhere」には、2022年11月現在、学生・教職員向けの「エッセンシャル RPA 認定」、社会人向けの「アドバンスド RPA プロフェッショナル」「マスター RPA プロフェッショナル」という3種類の資格認定制度があります。なお、受験対象者に関しては、以下のように示されています。
業界をリードする Automation Anywhere RPA 資格・認定は、開発者、IT専門家、ビジネスアナリスト、プロジェクトマネージャーなど、組織のRPAの導入、構築、管理に関わる人々を対象としています。
また、Automation Anywhere RPA認定資格を取得することで、社内外に自身のRPAスキルを示すことができるでしょう。
無料受講可能「エッセンシャル RPA 認定」
Automation Anywhere RPA認定試験の中で、難易度が一番低いのが「エッセンシャル RPA 認定」です。試験の内容について、簡単に表にしています。
受験対象者 | 大学生・教職員向け |
---|---|
目標 |
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試験概要 |
ビジネスの課題を解決するRPA技術の価値や利用方法を説明する能力を測るために、筆記試験のほかに、実技としてBot開発テストを実施。
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合格スコア | 筆記試験の合格点は80%(実技試験に進む条件) |
受験料 | 無料 |
前提条件 | Automation 360 RPAエッセンシャル(学生向け)準備を修了していること。 Automation 360 Community Editionを使用したBot作成の実践演習をしていること。 |
基礎知識レベル「アドバンスド RPA プロフェッショナル」
社会人向けの認定試験としては2つ用意されており、「アドバンスド RPA プロフェッショナル」は基礎知識を問うものです。試験の内容について、簡単に表にしています。
受験対象者 | 社会人向け |
---|---|
目標 |
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試験概要 | Automation Anywhere Enterprise RPAプラットフォームに関する知識を測るため、オンラインでの試験を実施。 複数選択問題:60問 所要時間:2時間 試行回数:2回 |
合格スコア | 合格点は80% |
受験料 | 75米ドル |
前提条件 |
BotDeveloper(Automation 360)学習トレイル(6時間)の全コース修了していること。また推奨するコースとして、以下を修了していること。
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最上位レベル「マスター RPA プロフェッショナル」
Automation Anywhere RPA認定試験の中で、難易度が最も高いのが「マスター RPA プロフェッショナル」です。試験の内容について、簡単に表にしています。
受験対象者 | 社会人向け |
---|---|
目標 |
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試験概要 |
Automation Anywhere Enterprise RPA 製品を使用してBotを作成する能力を測るため、筆記試験のほかに、実技としてBot開発テストを実施。
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合格スコア | 筆記試験の合格点は80%(実技試験に進む条件) |
受験料 | 125米ドル |
前提条件 | Automation Anywhere アドバンスド RPA プロフェッショナル認定資格を保有していること。 Automation 360 Community Edition を使用したBot作成の実践演習をしていること。 |
「Automation Anywhere RPA認定試験」を取得するメリットとは?
RPAの技術力の証明になる
上述したとおり、生産性向上を図るためにRPA導入する企業が増えており、それに応じてRPAを扱える人材の需要が増しています。Automation Anywhere RPA認定資格は、RPAに関する知識や技術を持っていることの証であり、就職活動や転職活動をする際に有用であるほか、所属している企業内でのキャリアアップにつながる可能性があります。
また、Automation Anywhere RPA認定試験では、主にAutomation Anywhereの扱い方が問われますが、ほかのRPAツールに通じる知識も多いため、使用しているツールが違っていたとしても、RPA資格として一定レベルの知識を持っている証にはなるでしょう。
知識・スキルが身につく
RPAに限ったことではないですが、知識やスキルを身につけるためには勉強する必要があります。しかし何か目標がないとなかなか勉強する気が起こらないという方も多いのではないでしょうか。
このAutomation Anywhere RPA認定試験があることで、「試験に合格する」という明確な目標を持つことができます。勉強するモチベーションを維持しやすくなり、その過程でAutomation Anywhere やRPAに関する知識やスキルを身につけることができます。
収入が上がる
「RPAの技術力の証明になる」の項で説明したとおり、Automation Anywhere RPA認定資格を保有していることは、就職やキャリア形成において有利になる可能性があります。企業は人材確保のために賃金を上げたり、資格手当を支給したりするでしょう。今後もRPAは多くの企業で導入・拡大が進むと予想されるため、今RPA資格を取得しておくことは非常におすすめです。特に「マスター RPA プロフェッショナル」を取得すれば、高い評価につながるでしょう。
「Automation Anywhere RPA認定試験」取得のデメリットとは?
デメリットと言うべきなのか難しいところですが、資格を取得するためには勉強時間を確保しなければなりません。働きながら資格取得をめざす場合には、仕事と勉強を両立できるように時間を調整する必要があります。また、RPAのようなITツールは時代に合わせてアップデートされていくものなので、資格取得後もある程度勉強を続けていかないと、せっかく身についた知識や技術が使えなくなってしまう可能性があります。
なお勉強時間以外に必要なものとして、上記の表のとおり「アドバンスド RPA プロフェッショナル」と「マスター RPA プロフェッショナル」は受験費用がかかります。
「Automation Anywhere RPA認定試験」に合格するための勉強方法とは?
参考書で勉強する
RPAに関しては、現在さまざまな参考書が発売されています。RPAについて勉強を始めたばかりの方は、まずはRPA全般についての基礎知識やRPAで何かができるのかといったことを知るために、そういった書籍を読んでみるのがおすすめです。
そこからさらに具体的な運用方法などについて知識を深めたい場合には、Automation Anywhereについて書かれた参考書を読むと良いでしょう。
なお、日立ソリューションズの社員が執筆したAutomation Anywhere初の日本語解説書があります。以下でご紹介していますので、ぜひ参考にしてください。
過去問を解いていく
大学受験や高校受験などと同じように、Automation Anywhere RPA認定試験においても過去に出題された問題を解いておくことは、有効な勉強方法のひとつと言えるでしょう。「エッセンシャル RPA 認定」「アドバンスド RPA プロフェッショナル」「マスター RPA プロフェッショナル」それぞれに達成すべき目標は設定されているものの、過去問を解いておくことで、実際の試験でどういう知識が問われるのか、どういう問われ方をするのかを知ることできます。過去問を解くことで自分がまだ習得できていない知識や弱点を把握できるので、勉強する際の重要な手がかりになります。
eラーニングなどのオンライン形式の学習サイトで勉強する
Automation Anywhere RPA認定試験については、「Automation Anywhere University」という公式の資格取得支援サイトが最も役立つでしょう。eラーニング用の学習コンテンツがライブラリとして用意されているほか、バーチャルライブ授業も開催されています。しかも一部のコンテンツは無償で提供されています。
受講対象者の職種をベースに設定された「学習トレイル」や、職種や専門知識のレベルごとに受講すべきコンテンツを絞ることができる「コ―ス」などが用意されており、自分に合った学習コンテンツを選ぶことができます。また各コンテンツの概要や目的に関しては、日本語に翻訳されているので安心です。
実際にbotを作成する
実際にAutomation Anywhereを使ってbotを作成すると、どこまで知識を習得できているのかなど自分の実力を確認することができます。また、「エッセンシャル RPA 認定」と「マスター RPA プロフェッショナル」では、試験内容にbotの作成が含まれているため、どちらかを受験する際には必須の勉強法と言えます。
どういうbotを作成するか迷った場合には、普段の自分が担当する業務で手間がかかっているものを例題として設定し、それ解決できるかどうかを自分のPCで試してみると良いでしょう。うまくいけば、勉強しながら業務効率化を実現できるかもしれません。また所属する会社や部署でRPA導入を検討している場合には、試験的に導入をして、実際にbot作成をしてみるのもおすすめです。困ったときにベンダーからサポートを受ければ、それもご自身の勉強につながります。
「Automation Anywhere RPA認定試験」以外のRPA資格とは?
ここまで「Automation Anywhere RPA認定試験」について詳しく説明してきましたが、上でも述べたとおり、RPAツールごとにベンダーが認定試験を実施しているため、RPAに関する資格はほかにもあります。
ここからは代表的な「UiPath Certified Professional(UCP)」「WinActor(RPA技術者検定)」「BizRobo!検定」「Blue Prism Certification」の4つについて、一つずつ簡単に説明します。
また、いずれの認定資格に関しても、資格取得のメリットやデメリットは「Automation Anywhere RPA認定試験」で挙げたものが当てはまると考えて問題ありません。
UiPath Certified Professional(UCP)
RPAツール「UiPath」を活用するための知識とスキルが身についているかを問うのが、「UiPath Certified Professional」です。UiPath RPAアソシエイト資格試験(UiRPA)とUiPath RPAデベロッパー上級資格試験(UiARD)の2種類の資格試験があります。
UiPath RPAアソシエイト資格試験(UiRPA)
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対象者
RPAデベロッパー初心者やビジネスアナリスト、システム管理者、大学卒業生など
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試験内容
問題解決スキルやプロセス識別スキル、自動化ソリューションを構築する能力があるかを測るもの
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試験時間
90分
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受験料
日本語版で税抜 16,000円
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合格スコア
70%
UiPath RPAデベロッパー上級資格試験(UiARD)
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対象者
高度なRPAデベロッパー、ソリューションアーキテクト、RPAアーキテクトなど、技術的なRPA構築を担うプロフェッショナル
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推奨レベル
RPAソリューション開発に関して半年以上の実務経験があること
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試験内容
複雑で効率的なRPAソリューションを開発する能力を測るもの
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試験時間
120分
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合格スコア
70%
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受験料
日本語版で税抜 22,000円
WinActor(RPA技術者検定)
国産のRPAツールと知られているWinActorの認定資格試験が「RPA技術者検定」です。レベルによって、「RPA技術者検定アソシエイト」と「RPA技術者検定エキスパート」に分けられています。
RPA技術者検定アソシエイト
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試験内容
WinActorを活用する上での基礎知識が身についているかを測るため、WinActorの基本の活用方法を選択形式で出題
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対象者
WinActorの基本的知識を持っている人、WinActorでシナリオ作成経験のある人、WinActorの基礎知識を体系的に学びたい人
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試験時間
60分
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受験料
税込 7,150円
RPA技術者検定エキスパート
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試験内容
実際の業務におけるWinActorを活用した自動化の技術レベルを測るため、WinActorの基本機能を利用したシナリオの新規作成と修正について出題
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対象者
WinActorの機能について深く理解し、実際にWinActorを業務上の改善ツールとして活用したことがある人、WinActorのシナリオ変更やトラブル対応などの経験がある人
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試験時間
120分
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受験料
税込 21,780円
関連情報:NTTデータのDX支援 RPA技術者検定
BizRobo!検定
「BizRobo!検定」はその名前のとおり、RPAツールの「BizRobo!」開発スキルを測るための検定で、Design Studio(DS)検定とDevice Automation/Desktop Automation(DA)検定の2種類あります。Design Studioとは、ソフトウェアロボットを作成するための開発環境のことです。直感的にロボットを作成できるシンプルな操作画面が特徴です。Desktop Automationとは、デスクトップアプリケーションをロボットで自動化するための機能です。デスクトップアプリケーションがインストールされているPCにリモート接続して操作することができます。
「Automation Anywhere RPA認定試験」同様、「BizRobo!検定」にもWebセミナー形式の動画やeラーニングの学習コンテンツが用意されています。
DS検定およびDA検定
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試験内容
4択問題が40問。個別にランダムで出題。
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対象者
BizRobo!の知識が職務上必要となる人、ソフトウェアロボットの構築や開発に携わる人、BizRobo!開発スキル習得をめざす学生や社会人
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試験時間
40分
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受験料
税込 2,200円
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合格基準
正解率70%以上
関連情報:BizRobo! アカデミー
Blue Prism Certification
「Blue Prism Certification」は海外製RPAツールのひとつである「Blue Prism」の認定資格試験です。「Blue Prismアソシエイトデベロッパー認定資格」「Blue Prismデベロッパー認定資格」「Blue Prismプロフェッショナルデベロッパー認定資格」「Blue Prismソリューションデザイナー認定資格」「Blue Prismインスタレーションエンジニア認定資格」「Blue Prismテクニカルアーキテクト認定資格」「Blue Prism ROMアーキテクトエンジニア認定資格」という風に、レベルや対象者ごとに資格が分かれています。以下では日本語で受験可能な「Blue Prismデベロッパー認定資格」の試験について紹介します。
Blue Prismデベロッパー認定資格試験
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試験内容
60問
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対象者
ロボティックオートメーションに関する基本的な知識を持ち、さまざまなBlue Prism環境で作業できる人
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試験時間
60分
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合格点
70%
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前提条件
「Blue Prism開発者認定ラーニングプラン」を3カ月実践しておくことを推奨
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上位資格
Blue Prismプロフェッショナルデベロッパー認定資格
まとめ
RPAがさまざまな企業で導入されている今、RPAに関する一般的な用語や知識を頭に入れておくだけでも、業務に生かせるチャンスはあるはずです。まずはRPA初心者向けの参考書を読んでみるのがおすすめです。独学でもある程度の知識は身につくでしょう。
そこでさらに興味が湧いた方は、ぜひ資格試験にチャレンジしてみてください。RPA資格を持っておくことは、これからの時代において決して損にはなりません。また合格率を少しでも上げるためにも、ここで紹介した勉強法を参考にしてみてください。
- ※本コラム記載の情報は2022年11月時点のものです。
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