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勤怠管理システム導入の注意点
社労士監修
「リシテア/就業管理クラウドサービス」より専門家によるコラムのご紹介です。
現在、働き方改革や新型コロナウイルス感染症の拡大など、さまざまな要因が重なったことにより日常生活や働き方が大きく変わってきています。また、働き方が変化することで企業に大きな負担が発生することもあります。勤怠管理はまさにその代表的な例ともいえるでしょう。近年では勤怠管理システムの導入や見直しを検討する企業が増えてきました。今回は、時代に合った勤怠管理システムを選ぶためには、どのようなポイントに注意すれば良いのか詳しく解説します。
監修者
小野社会保険労務士事務所 代表
小野 高史
大学卒業後、小売業界、社会保険労務士法人での勤務を経て、2014年に小野社会保険労務士事務所を開業。 開業後は、労務相談、労務リスク対策、法改正対応、就業規則作成などのコンサルティング業務を事務所の主軸業務とし、製造業、運送業、飲食業、IT業をはじめ、幅広い業界において、実務的で質の高い労務サポートを行っている。
目次
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勤怠管理業務の変化
働き方が多様化したことや、法改正で「時間外労働の上限規制」が導入されたことで、勤怠管理業務が複雑化の一途をたどっています。それに伴い、勤怠管理システムを導入することの必要性が増しています。それぞれのポイントについて詳しく解説していきます。
働き方の多様化
働き方改革によってテレワークやフレックスタイム制などを導入する企業は徐々に増えてきていました。そんな中、一層の拡大・本格化の要因となったのが新型コロナウイルス感染症の拡大です。コロナ禍においては、人との接触機会を大幅に減らすことが求められるようになり、テレワークやフレックスタイム制へ移行が加速。セキュリティ対策の難しさなど、技術的な問題がテクノロジーの進化によって改善された結果、自宅で就業できる環境も整ってきました。
時間外労働の上限規制導入
従来の労働基準法では、「36協定」と呼ばれている労使間での合意における時間外労働の限度時間は、告示で示されているに過ぎず、そのため違反しても行政指導のレベルにとどまるものとなっていました。しかし、「働き方改革関連法」の改正により、時間外労働には原則として月・年ごとに上限が、明確に法律に設けられることとなりました。臨時的な特別な事情がある場合は、「36協定」に特別条項を設けることにより、時間外労働時間をある程度超過することができますが、それでも制限があることに変わりありません。そしてこの「時間外労働の上限規制」は、勤怠管理の難易度を上げることにもなりました。
働き方改革関連法とは
ここまで、働き方改革関連法や新型コロナウイルス感染症の拡大などの要因により、働き方が変化してきたことを説明してきました。では、実際の働き方改革関連法はどのようなものなのでしょう。
働き方改革関連法は罰則付きの法律であり、以下のポイントを守っていない企業に対しては「6カ月以下の懲役または30万円以下の罰金」などが科されます。(雇用形態に関わらない公正な待遇の確保、いわゆる「同一労働同一賃金」については、罰則はありません。)
以下では、主に勤怠管理に関わりの深い3つのポイントを紹介します。
出典:厚生労働省 「働き方改革 ~一億総活躍社会の実現に向けて~(3.85 mb)」
年次有給休暇の取得義務化
年10日以上の年次有給休暇が付与される労働者に対して、5日間は使用者が時季を指定して取得させなければなりません。
時間外労働の上限規制
時間外労働は、原則として月45時間、年360時間以内を基本としますが、臨時的な特別な事情があり労使で合意した場合に限り、これを超えることができます。ただし、その場合であっても、合意は月100時間未満(休日労働を含む)、年720時間以内(休日労働は含まない)までとし、また仮に合意の範囲内であっても、実際の時間外労働と休日労働の合計は複数月(2~6カ月)平均で80時間以内とする必要があります。
雇用形態に関わらない公正な待遇の確保
同一企業内における正規雇用と非正規雇用の労働者間で、基本給や賞与の差といった不合理な待遇差を設けることが禁止されます。
導入・運用のイメージを想定しよう
前述のとおり、法改正によって企業側は今まで以上に従業員の労働時間の管理徹底が求められます。タイムカードやエクセルでの勤怠管理では、リアルタイムで労働時間を把握することが難しく、知らぬ間に時間外労働の上限を超えてしまっていたなど、法改正への対応漏れのおそれがあります。このような点においても、勤怠管理システムの導入は重要となってくるでしょう。
ただ、勤怠管理システムは導入しただけで成果が上がるものではありません。むしろ、導入した後の運用が重要であり、しっかりと定着・活用させるためにどのような取り組みが必要かを考えておく必要があります。
ベストな勤怠管理について考える
勤怠管理システムにはさまざまな製品がありますが、単純に機能比較からシステム選びをしないことが重要です。まずは自社の勤怠管理について現場の意見をヒアリングしながら実情を把握し、どのような運用が理想なのかを考えましょう。そのうえで、自社に合った勤怠管理システムを選ぶ必要があります。勤怠管理システムの中にはトライアル期間を設けているものも多いため、実運用を想定しながらトライアルを利用してみましょう。
勤怠管理に付随して解決したい業務はないか
勤怠管理システムの中には、日々の勤怠の打刻機能以外にも、有給休暇の申請機能や工数管理など、勤怠管理に付随した機能が備わったものもあります。このようなシステムを導入すれば、勤怠管理と合わせて有給休暇の取得日数を管理したり、適正な工数管理を行ったりといったことも可能になるでしょう。複数のシステムを使い分ける必要がなくなることで、申請する側である従業員の負担が軽減できるほか、工数の適正化や作業のムダを削減し業務効率化を図ることにもつながります。
導入後のサポート体制を確認
勤怠管理システムは導入後の定着こそが重要であり、運用を確実に定着化させる要素の一つとして、サポートが充実しているかどうかは大きなポイントといえます。勤怠管理業務では就業規則や勤怠ルールに基づき、申請承認作業や集計作業をする必要があります。就業規則の内容に変更が発生し、システムに変更を加えなければならない場合には、運用サポートを受けられた方が安心です。また、導入後の定期的な機能改善や法改正への対応有無についてもポイントとなります。
勤怠管理システム選びの準備はできましたか?
働き方改革やコロナ禍といったさまざまな要因により、働き方の多様化が進んでいます。しかし、従来の働き方が変化すれば、勤怠管理もそれに対応する必要があります。働き方改革関連法に対応しつつ、自社の労務環境にマッチしたシステムを選ぶためには、導入段階だけでなく運用後のイメージも想定しておかなければなりません。この機会にぜひ勤怠管理システムの導入や見直しを検討してみてはいかがでしょうか。
記事公開日:2021年12月20日
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